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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
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対バースト② ちゅ〜る

そういえば、とあるスキル説明でこの世界は狂気とは無関係みたいなこと言ってましたけど。



あれ嘘ですね。運営がイスの偉大なる種族なんだもん。

「...いや...まだだ!」



 その瞬間、俺は剣を空中に投げすぐに<回収(サージ)>で引き戻し、それを思いっきり蹴り飛ばした。



 この反動で俺は横に動く...そしてそこには俺が影になっていたことで全く見えなかったと思われるシートの矢が飛んできているはずだ。



「...!」



 体を捻って避ける、そこに戻ってくる剣が襲ってくる。



 それには爪で弾くことで対処してくる。しかし、俺は弾かれた時点で剣を握っている。



「お、おおお!!!」



 弾かれた反動を利用した遠心力を乗せた攻撃。避けることは非常に困難なため...爪で受けるしかない。



 なぜならさっきまで攻撃していた、つまり防御が薄くなっている場所に対してこれで攻撃すれば流石に肉体に当たってしまうからだ。薄い膜程度なら貫ける威力があると俺は確信している。



 そして、それは実際そうなのだろう。しっかりと爪で受けてくる。鍔迫り合いのような形だ。



 ...あとは。



「はあああああ!!!」

「っ!?」



 すぐに連続攻撃に移る。右から左、上から下まで、あらゆる面から斬りまくる。



 もちろん爪で弾いてくるが、その都度微調整。爪の付け根のあたりに毎回当たるようにする。



 こうすることで同じ箇所に攻撃が当たり続けていくため、どんどんその部分が脆くなっていく。先ほどまでなかったヒビが爪に走っているのもわかる。



 そして、落下しながら10秒ほど攻撃し続けた時、



 パキーン!



 遂に硬い爪が折れた。そして折れた今が絶好の攻撃チャンスだ。



「な!?」

「そこだ!!<貫撃>!!」



 狙いは...爪の断面!



 焦って回避しようとするバースト...だがもう遅い。



 ...グサリ



 刺さり、そこからさらに力を加え奥まで捩じ込む。



 ここまでが<貫撃>。そしてここからが<円撃>。



 先ほど行ったのは横振りの<円撃>だが、今回は縦。



「<派生:円撃(ベデルレイジ)>!!」



 この<円撃>という<魔技>、実は縦にすると範囲ではなく威力が大きく上昇する。



 というのも、<魔力>の刃を剣そのものが纏うので、切れ味がとても良くなる。



 ただ弱点として<円撃>は出が遅いというのがあるが...<派生(ベデル)>させてしまえば問題ない。



 <魔技>を<派生>させることで隙を生むことなく攻撃を続けられる。まあ代償として筋肉疲労とMPの減少があるが、それにあまりある性能の魔法だ。これのおかげで倒すことのできた魔獣も何体かいたからな。



 ...思考を戻せ。爪の断面という驚くべき小ささを誇る対象に綺麗に当てることに成功し、そのまま肩の方まで向かった剣。



 そこからの<円撃>によって、彼女の腕は裂けた。



「にゃああああああああ!?」



 獣の痛がっている雄叫びがっ!?



 あ、あの状態で蹴り飛ばすとは!



 高速落下。重力と同時にバーストの体重も乗っかっているので



 ドゴーーン!!!



 地面にぶつかった時の衝撃は凄まじい。地面にとても大きいクレーターができるほどには。



「あはっ、遂に壊されちゃったんだ!」

「ちっ!」



 俺の真上で吹っ飛ばし合う両者。その勢いだけでも吹き飛ばされ、地面に転がる。



 ...メーノが近い位置にいてくれたことが幸いか。



「...メーノ、できれば早急に、がはぁ!?」

「さっさと回復しなきゃでしょ!少しの痛みくらい我慢して!」



 大量の魔法陣が俺を覆う。どうやら刺されただけの外傷よりも全身の骨折を優先してくれているみたいだ。



 さすがはうちの回復役。慣れた手つきですぐに回復していく。



「全く...あなたは無茶しすぎなのよ」

「これでも全然無茶はしていないがな」

「どの口が言うんだか...あ、そうそう」



 と言ってメモをポケットから出すメーノ。



 急になんだ?



「カミラったら、急に渡してくるんだものね...」

「カミラからの伝言か」

「そう。忙しそうで、メモを書いたらすぐに演算に戻っていったわ」



 まあ確かに、おそらくこのパーティの戦闘時に最も働いているのがカミラだからな。



 作戦、状況判断、指示。本来はリーダーである俺がやるべきだが、これらに関してはカミラの方が上手くしかも専念できる。



 いつも助かっているんだがな。



「あいつはすぐ無理をするからな。この戦闘が終わったら<勇者>に少しの休息期間を作るべきだろう」

「...あんたにだけは言われたくないって、絶対あの子も思ってるわ」

「な、なんで」

「あと伝言の内容。「弱点見つけたから、隙を作って。弱点に関してはバーストは心を読んでいるため教えずに行動してもらう」。以上よ」

「お、おう。わかった」



 生返事してしまった...が、これは朗報だな。弱点がわかったということは彼女を倒す糸口を掴めたということ。



「これで治った...無茶、しないでね」

「さっきからしていないと言っている。メーノこそ、無茶を」

「あんたに言われたかないわよ」

「そ、そうか」



 軽く体を動かし、しっかりと体が動くことを確認。そのままダッシュで戦闘区域に向かう。



 ...バーストは半分になっている腕を修復している最中だった。



 まるで腕が生えてくるかのようにボコボコと再生されていく。あれを止めるのは相当苦労するはずだから、それをするよりも身構えていた方がいいだろう。



 再生が完了すると、バーストは軽く腕を振った。そして、さっきまで全て折れていた爪が瞬時に生えてきた。



 ...バケモノだな、あれは。魔獣にだってそんな速度で再生はできない。



「はああああ......ここまで私に傷をつけたのは貴様が初めてです、人間。シュブ=ニグラスが味方についているとはいえなかなかやりますね」

「俺も、お前レベルで強い存在と戦ったことはない。最も、俺はできればもう戦いたくないが」

「では降参しますか?」

「しないよねえ!!」

「するわけないだろ」



 そのまま切り掛かる。同時に動いていたシュブ=ニグラスも一緒に殴りかかっている。



 衝撃は十分、しかしどちらも直線的すぎたのだろう。半歩ずれることで回避される。



 残MP的に<派生>は使えるが、これ以上使うと他の魔法が使えない、つまり手数が減ってしまう。



 休息なしでボス級と2連戦している影響が出ているな。が弱音は言ってられない、回避姿勢をとることで距離を離す。



 さて、回避が終わったことで次は相手の攻撃が来るわけだが...対象をシュブ=ニグラスに定めたか。



 おそらく弱いやつとの戦闘に強いやつの邪魔が入るよりも、その逆の方がいいと判断したのだろう。実際それが一番正しいだろうしな。



 なら、俺がやることは1つ。



 <インベントリ>を開く。すぐにMP回復のための<ポーション>を取って体でそれを割る。少し痛いが、飲んでいる暇はない。



 ...液体が肉体へ染み込んでいく。これでMPに余裕ができたはずだから、<派生>も使っていける。



 と、あちらの勝負もついたか。飛んでいくのは...バースト。



 壁に激突。あとはそこに追撃をしに



「グール、来ます!」



 カミラの大声が聞こえる。グール、つまりナグとイェブとかいうやつが動くのだろう。



 地面がボコボコと盛り上がってくる。しかも大量に。さすがはアンデットと言うことなのだろう。



「<聖護(ホーリーソウル)>!!」



 と、メーノが<聖護>を使ったか。この魔法はアンデット系魔獣から一切攻撃対象にされなくなる魔法。



 俺にもかけられたからか、少し優しい暖かさを感じる。一部<ダンジョン>では必須の魔法、あの時もメーノが覚えていてくれて助かったが、今回も助けられそうだ。



 そして遂に地面から出てくるグールたち。現状攻撃対象になるのはバーストのみのため、全てのグールがそちらに向かうことになる。



 見ていた感じ邪魔にしかならないだろうが、それでも隙を生むと言うことに関しては...



 ...ん?シュブ=ニグラスが...あれは何をやっている?



 グールどもの心臓を穿ち、それをまとめて...肉盾というやつか。



 容赦のない扱い方だな。確かに一時的な盾にはなるし、それにその一時がとても重要ではあるのだからとても意味のある行動なのだが。



 さすがに真似はできないな。グールの間を縫って近づき、隙を作るための渾身の一撃を当てるほかない。幸いなことにグールが壁になって隠れることができるから近づくことも容易だ。



 シュブ=ニグラスは...突進した後、ボロボロになったグールをバーストに投げ、それを目眩しにして死角からの一撃。



 もちろん避け、いや避けてないな。あえてまた壁に飛ばされることで距離を取る算段か。



 確かにグールは気にかけなくていいだろうが、それでも限度はある。しかも今回は肉壁を作って突進してくる以上肉壁を剥がしながら周りのグールに攻撃するというのはなかなか難しい。そもそも目を離したらその隙に狙われる可能性があるのだから、シュブ=ニグラスからは目を離せないしな。



 あくまで5m範囲のグールしか巻き込めない。ということなのだろう。



 ...もはや壁もボコボコだな。もう地面から近い高さの壁には全てぶつかった跡がある。



 そして最も新しくできたその跡の一つから降りてくるバースト。ダメージはないものの消耗は...いや、ないか。確か1年はあのままでいられるという話だ、これくらいの戦闘で消耗していては話にならないだろう。






 瞬間、強い殺気を目の前の生物から感じた。



 何があっても全員殺すというような、そういう殺気。生物が出していいレベルのものではなかった。



 ...軽く腕が震えているな。感じたことのない強さだったからか、あるいはスタミナがもうほとんど残っていないのか。



 これは、どっちもだろう。



 ...手刀が振られ、それは空を裂く。



「跳躍!!!」



 声。それで意識を取り戻しすぐに真上に飛ぶ。



 そして、周りのグールたちの首も飛んだ。()()



 よく見ると、バーストは横振りの手刀をした後のようなポーズを取っていた。軽く意識を失っていたが、おそらく手刀でこの範囲の攻撃を繰り出したのだろう。



 ...弱点はわかった。攻撃を通す方法もわかった。だが、追い詰められているのは自分たちなのかもしれない。



 そんな思考を振り払い、着地しすぐに攻撃しにいく。

よくありますよね、神話生物と戦っている時。


倒す方法見つけたけど、その倒す方法がものすごく難易度が高いこととか。

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