表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
168/402

唐突

さて...今回は結構悩みました。

「<魔法陣>っていうのはそもそも空間に描くものではないわ」

「そうなの!?」



 そしてまず前提条件を崩された。クタニド様に書き方を教わった時は空間だったけど...



「はあ...いい?他の<魔法母体>と比べて<魔法陣>が優れている点は2つ。まず一つが、音があまり出ないこと」



 確かに音が出ない。<詠唱>は特に喋って発動させるものだからその時の声として音が出る。がしかし<魔法陣>にそれはない。<魔法陣>自体の発光はあるけどそれくらいだな。



「そしてもう一つが...これは教科書832ページに書かれているのだけど、この世界には<魔力>がありふれたものとして存在しているの。人間の体にも、石や植物にも、空間や地面にも。そしてそこに蓄積された<魔力>を<魔法陣>は使えるのよ」

「ふむふむ...どういうこと?」



 まるで意味がわからない。前世では世界が元素で構成されていることはわかったけど<魔力>なんていうものは知り得なかった。



 転生者である以上前世の知識に引っ張られてしまう。クトゥルフ神話には魔力という要素があったけど、あれって精神そのものみたいなものだったしね。



「あんまり時間がないから手短に説明するけど、<魔法陣>は描いた媒体、例えば石に書いたとしたら、その石の中にある<魔力>を使って魔法を使えるの。理解できた?」

「あー、バッテリーみたいなものか」

「言ってることはよく分からないけど、多分それであってる」



<魔道具>と似たようなところがあるけど、もしかすると相違点がしっかりとあるのかもしれない。



 これはまだまだ僕が勉強不足な証だな。あとでしっかり調べよう。



「で、召喚...<召喚魔法>に移るけど、この召喚というものは<魔法部類>に属するもの。<魔法属性>とかは自由ってわけなんだけど...試しに描いてもらっていい?確認したいことがあるから」

「え?ああ...」



 とりあえず<ネクロノミコン>を開いて探してみる。いつの間にか手に持っていることに驚いている<勇者>だけど、気にしない。



 えっと、この状況なら...お、この方々かな?



 今回は旧支配者がすごく多いし、この召喚も旧支配者をターゲットにするとしよう。



「...決まったみたいね。そうしたら次は魔法陣を描いてみて。ただし地面に」

「地面に。わかった」



 とりあえず描く。いつも通りに。



 今回は...少し靄がかかりつつ、それでいてしっかりと実体が主張をしてくる、そんなもの。



 ...こんな感じかな。



「...そういうこと。えっとね、とりあえず...ここと、ここ、それとここ」

「そこがどうしたの?」

「ここは<魔力>をどこから消費するかを選ぶために描くところなの。今はあなた自身から<魔力>を吸い取るように描かれているわね」

「はいはい」

「だからこれを...こうする。するとこの<魔法陣>はここの地面から<魔力>を吸い上げるようになるはずだから、他のところも同じように描いてみて」

「おっけい」



 一部を描き直す。この間、確かに何かの糸がプチプチと切れていく感じがした。



 不思議な感触だけど、いやなものではない。ただ...



「よし、それなら...って、一つ描き直し忘れているわよ。ここも...」

「いや、これは直しちゃいけないような気がする」



 これを切った場合、何かまずいことが起こる気がした。



 ただの勘だけどね。



 そうすると、メーノは不敵に笑い、



「そう...ならそのまま続けて。召喚できるならもう召喚した方がいいわね」



 ちらりと戦闘中のメェーちゃんを見る。



 ...ボロボロ、というわけではないけどいいこぶしはもらってるし、バーストには一切怪我がない。



 タオルを投げるわけにはいかないけど、助っ人は用意できるからね。それでなんとかしてもらおう。



「ではやろうか。すう...」



 深呼吸。召喚自体は何度もやったけど、今回は教えられたやつを少しだけ改造したもの。



 ちょっと緊張するが...よし。



「さあ神々よ、我の声に応えよ。




 。それは、今もなお支配しようと画策する旧支配者が1柱」



 瞬間、バーストがとてつもない勢いで投げてきたのは、剣。



 黄金の剣。異常な強さのそれだ。



「。片や霧、片や死肉の双子はまさに異形にして悍ましく」



 しかし、こっちには天下のショゴス。頭を2つに裂くことで避ける。



 もうね、強いどころの騒ぎじゃないですよ。防御面は最強と言って問題ないだろうね。



「。地母神と、空の神あるいは彼方の地の神を親とする災厄の子なり」



 それをみてこっちに走ってくるバースト。流石に援軍は辛いと考えたのだろう。



 だが...もう遅い。



「来い、ナグ!そしてイェブよ!」



<魔法陣>が怪しく光り始める。漆黒とも、深淵とも言える色で。






 まず、感じたのは頭痛。だいぶ軽いものであり、今までのガクン!とした感触は一切なかった。



 これはなかなかいいな。次からはそうするとしよう。



「なるほどこれは」「なかなか面白い」



 声が聞こえる。男とも女とも取れない、言い表すなら機械の声が。



 しかしてそこにいるのは人型...いや、いやいやいや。



 確かに人型だ。だが違う、それは異常だ。いや、なんで結合双生児なんだ。



 体の大部分は共有している。腕は片方に1本ずつ。だが脚が2本と太い脚が1本で、頭と首は1つだけ。いや本当に1つだけか?



「そんなわけないだろ」「こっちこっち」



 くるりと回転するとそこにはもう一つ顔があった。



 というか裏と表...でいいのかな。それで全く違う様子だ。



 表...一番最初に見た方は、まるで蜃気楼のようにあやふやだ。触ったらそこにいないのかもしれないほどに存在が希薄。



「そっちがイェブ」「なかなかすごいだろう?」



 だが裏。こっちはさらにやばい。ドロドロと溶けた肉体が、まるで血液のように循環し、形をなしている。



「面白い肉体でしょ?」「名はナグだ」



 それでいて人型。3本の脚はよく見ると踵が繋がっているのを考えて足が計6もあり、また手も手の甲がないというマジで不思議な状態。



 裏と表の境目なんて見たくもある。いったいどんな状態なのだろうか。



「チッ、面倒な奴が現れましたね!」



 攻撃するバースト、しかし当たらない。



 まるでそこに存在しないかのように、それは空を切った。



「面倒でしょ」「俺たち強いからな」

「「覚悟しろよ、旧神」」



 そして、



「よそ見はいけないよ!」

「しまっ...」



 音が遅れるほどの速度で吹き飛ばされるバースト。



 壁に激突、大きな砂煙が上がる。



「おおー、よくきたねえ。ナグ、イェブ」

「母さん久しぶり」「なかなか会う機会ないからね」

「同時に喋るっているから本当に聞き取りづらいねえ。うんうん、いつも通りで安心したよ」



 わーお、メェーちゃんが母親の顔をしている。



 あのメェーちゃんがだ。あの可愛い可愛いメェーちゃんがだ。



 ...それもまたいい。



「さて、じゃあまあきて早々悪いけど協力してね。バーストをチャチャっとやるからさ」

「りょーかい」「頑張るぞ、俺たち」

「「あんたも見とけよ」」

「は、はい」

ナグとイェブは、旧支配者に属する神話生物です。



ナグは食屍鬼、つまりグールの祖父とも呼ばれている存在で、

イェブは蠢く霧のイェブと言われたりもします。



外見?これでも優しくしたはず...はず?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ