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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
157/403

<ダンジョン>攻略⑤ 探索調査再探索

さあ、探索していきましょー

「次の交差路を右だ」

「はーい」



 血で染まった広い通路を通る。10分もこの光景を見ていいたらもう何も思わなくなるのは必然と言えると思うけど、とは言っても流石にこの量の死体は引く。



 ただ少しだけマイルドになっている点があって、それが死体の全てが冷凍されている点で、そしてこの<ダンジョン>の次のギミックの一つである。



「ヘクシュン!」

「流石に寒くなってきたな...剣の握りが甘くなったのが自分でも感じられる」

「人間なのにその程度でいられるのか...」



 一応この服自体にある程度の気温調節機能が備わっているけど、その程度じゃ全く無理。体感-50まではいってるはず。



 そのためそもそも普通の生物がいられるような場所ではないらしく、ショゴスやクトーニアン達、クタニド様にアイホート様まで出て来れない状況となっている。普通ではない神話生物もそのままだと出てこれないって、つまりはそういうレベルの気温だということだろう。



 とは言っても打開方法はある。例えば生きる炎(クトゥグア)を呼び出すこと、そして<魔力解放>をすること。前者は当然として、後者はこれが行われていることによってバースト様はこの極寒の環境下で突き進むことが可能になっていると考えているからだ。あとはまあ、ティンなら出てこれるかもしれない。もしダメだったらまずいから出さないけど。



「普通、というわけではないがどんどん新しい<ダンジョン>を踏破していく大人達にはこの程度の気温は涼しいだけだと思うぞ」

「進むたびに気温低くなって...ヘクシュン!い、いくんですけどね...」



 なお、


 ーーーーーーーーーーーー

[名前] マリア

[性別] 女性 [年齢] 6

[種族] ■■■■■■/■■■■■/■■■■■■■■■/■■■■

[職業] 召喚師(サモナー)(クトゥルフ神話)

[パーティ] <ギルドズパーティ>

<クエスト>:<ドリューニ商店>の破壊

[ギルド] <未来団>

[到達点] Lv50


 HP 2000/2000(-500) MP 0/2000


 ーステータスーーーーーー


 筋力 222(-50)

 体力 222(-50)

 敏捷 143(-50)

 知性 251

 精神 3280

 魔力 958


 ースキルーーーーー


 言語 Lv50

 召喚魔術 LV80 (1)

 応急処置 Lv65

 再生 Lv90 (ON/OFF可能)

 耐性 Lv100 (MAX)(ON/OFF可能)

 結界術 Lv10

 イゴーロナク Lv■■■■■■

 眷属(クタニド)Lv1(MAX)

 心身強化 Lv25

 例外者 Lv1(MAX)


(<魔王>の芽[1段階] Lv100 (MAX))


 ーーーーーーーーーーーー



 あろうことかMPは0。もう何もできません。しかもこの状況、勇者も同じ。軽い<詠唱>くらいなら使えるらしいけど、MPが永続的に吸われ続けている現状、魔法は使えないと見るしかないだろう。



「それに成長していけばこれくらいは問題なくなる肉体になると思うぞ」

「なんで成長するだけで極寒と灼熱に耐えられるようになるのさ...」

「?成長は普通じゃないか?俺たちはまだ子供、第一成長期の最中だろう?」

「少なくとも前世ではそんな強すぎる肉体にならなかったよ。うん」



 安全...いや、いうほど安全だったっけか?確か...



 ...詳しくは思い出せないな。確か、なんらかの理由で地下深くにコロニーを作って、そこで生活していたことまでは覚えているんだけど、それ以上となると思い出せん。



 なんだったかなー...



「そうか...そこはどうやらとても安全な場所のようだな」

「いやあ...近代兵器とかがない分こっちの方が平和かな。完全実力主義の世界だし」



 いやだよ、実力が共わなきゃ死ぬ地球なんて。殺伐としすぎでしょ。



「っと、このT字路を左に進んだところに目的地があるはずだ」

「はいはい。さーて、鬼が出るか蛇が出るか...」



 扉の残骸を通ってから早15分。T字路の先にはこぢんまりとしたドアがあった。



 ...凍結して開かないが。



「しかもこれ錠自体が凍っているね。赤黒いから、多分血が凍っているのかな」

「低体温症の状況でこの凍った扉を開けようとし、そして開けられず...」



 扉の横の隅には、凍った死体。



「...ここで果てた、ということなのだろうな」

「うーん、どうやって通るの?」



 叩いてみるとコンコンという綺麗な音がなる。一見すると木製のドアだが、内部にわずかに含まれていた水分ごと凍っているのか氷のドアと呼んでも問題ないレベルだ。



 などと観察していると、ソルスが少し後ろに引き下がった。そして足を思いっきり後ろに構えて...



 ガッチーーン!



 ドアを蹴り飛ばす。というか砕けた。



 破片はキラキラと宙を舞い、そして地面に降り注いだ。



「これくらいなら剣を使うまでもない」

「普通に鍵を開けようとしようよ、一回くらい。<勇者>じゃないのか君たちは」

「<魔王>が何を言う。それにそもそも、<ダンジョン>内の開かない扉はこうやって開けることが推奨されている。音は出るが警戒していれば魔獣がきても対処できるし、何より無駄にMPを使わないししかも蹴り飛ばすだけと非常に簡単。理にかなっているとは思うが...?」

「脳筋な推奨だなあ」



 でもまずは扉の先を確認する。



 言われた通り、そこは空間だった。広さにしておよそ30㎥ほど。



「おおー、今までの迷路と違って部屋がある」

「まあ最も...」



 同時に部屋の中に入る。すると後ろの扉が何事もなかったかのように閉じ...いや、そもそも扉が存在しないので閉まらなかった。金具だけパカパカ動いている、変な状況だ。



 だが、もっと変な状況がそこにはあった。



 空間の中央から大きな魔獣が出てくる。外見は...鯛かな。空中で泳いでいるように見える。



 ただ鯛と似ても似付かぬところがあって、それが目と足。胸鰭がなく代わりに甲殻類の虫の足が4本腹から生えており、しかも眼は複眼。一体これはどういうことなのだろうか。虫と魚の融合体なのだろうか。



「<エタイムシ>。寒い屋内に現れ、生きるために必要な最低限の命を刈り取って生活する魔獣だ。(コー)の<ダンジョン>なら数匹同時に出てくるが...」

「目の前には1匹だけ、これなら簡単かな?」

「いや、それでも(ウュゥ)くらいの<ダンジョン>ならボスに抜擢される時があるくらい危険な魔獣だ」

「わーお」



 複眼でこちらを見ている<エタイムシ>。その視線からは殺意と執着、その両方が見てとれる。



 さあて、どうやって戦おうかね。<魔力>はないし...



「くるぞ!!」



 散開、それと同時にくる突進は地面に着弾し、そのえぐれた地面の破片が弾丸となって僕たちを襲う。



 まあ最もこの程度は無視なんだけど。ソルスは...全部聖剣で切り払っているな。すげえ。



 片方の複眼でこちらをじっと見つめてくる。どうやらどっちの方が弱いのか見定めているらしいが...



 ...なるほど、僕の方に向かってくるか。



「ギチチ!!」



 噛みつきを避け、そしてすぐにくる2回目の噛みつきと足による薙ぎ払いを華麗に避ける。結構動きは早いな。それとしっかり僕の方が弱いと理解している。



 でもね。



「背中がお留守だねえ?」

「はぁっ!」



 カキン!



 一撃が背中に入る。が、駄目。背中にびっしりとついた鱗に弾き返されてしまった。



 そして今度は、奴が尾鰭を叩きつけるように振ってくる。もちろん避け...



「ギギ!」



 た。がそのすぐあとに急発進した<エタイムシ>のその尾鰭によるブーストの反動で起こった空気の乱れに逆らえず、吹っ飛んでしまう。



「よっ」



 うまく壁を蹴ってそのまま地面に着地。が、そこには<エタイムシ>の突進。



 着地狩りまでしてくるとは、これは知能が高そうですね。



 まあ、



「ティン!」



 ガッキィィィ...



 当たらないのだけど。



 僕と<エタイムシ>の間に入ったティンは、持っているそのでかい槍で薙ぎ払う。もちろんその程度の攻撃に当たってくれるわけではないが...



 隙はできた。薙ぎ払った反動でそのまま槍を捨て、腰にぶら下がっている短剣?をいくつか掴み、投げるティン。



 すでに後ろに引き下がった後で回避が困難だったのかその短剣?をいくつか避けることができず、それは<エタイムシ>の口の中に2本、そして右眼に吸い込まれていった。



「ギギャアアア!!」

「叫んでいる暇はないぞ!」



 もう片方の眼にはソルスが斬りつけ、ズタズタになってしまった。相当痛いだろうなあ、あれ。



「ギギギャア!!!」



 暴れ回る<エタイムシ>。痛みで目の前が見えていないのか、離れている状態でもずっと暴れている。



「...」

「はぁぁぁ...」



 弓、それも2m越えの大きな弓を構えるティンと、聖剣を鞘に入れて力を溜めているソルス。



「ギギ...ギギャ」

「...!」

「<一閃(iai)>!」



 痛みがある程度引いてきたのか<エタイムシ>は一番最初に発見した僕を見た...が、すでに遅かった。



 70cmはある矢が両眼を貫き穴を開ける。その穴に聖剣が入り、光の軌跡を描きながら内側から<エタイムシ>が捌かれていく。



 尾鰭の方までしっかりと両断すると、死体は足から崩れ落ちて倒れ込んだ。これで討伐成功といったところか。



「ふう...なんとかなったな。他の魔獣は?」

「来てないよ。ずっと扉の方見てたし外の音も聞いていたけど何もない。バースト様が全部殺し尽くしているのかも」

「可能性は高いな」



 っと、そういえばやっていなかった。



「ティン、お疲れ!と言いたいところだけど、まだまだ戦闘があるはずなんだ。問題なく戦えそう?」



 そう聞くと、ティンは大きく頷いた。しっかりと槍と短剣を回収しているし、次のことを考えてくれていたみたいだ。



「マリア・ヒルド。彼は味方でいいんだな?」

「いいよ。まあ君が僕を殺そうとしてきたら君を殺すと思うけどね」

「少なくとも今は殺さない。安心しろ......そうだな、この先は長いからな、<エタイムシ>の肉で軽く何かを食べるか」

「お、いいねえ。外は警戒しておくから、調理とか僕とティンの分とかもよろしく」

「あいわかった」

次回は食事回...ではないです。食事はするけどね。

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