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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
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<ダンジョン>攻略④ 再開

少し短め

「大丈夫か...マリア・ヒルド...」



 10分ほど経ち、威圧感がようやく消えて動けるようになった頃、ソルスはそう言ってきた。



「まあ、なんとかね...そっちは?」

「...体のいたるところの骨が折れているのがわかる。と言ったところか」



 そういうと、ソルスは<インベントリ>から何かを取り出し、それを飲み始める。



 あれは...<ポーション>かな?



「ぷはっ...あと10分ほど休憩したいところだが、そうもいかないな」

「そう?僕はバースト様に任せていいんじゃないかと思うけど」

「ダメだな。確かにあの獣は強いが、魔王は倒せない」



 扉のあった場所の方へ歩くソルス。



「というと?」

「...過去に<魔王>が出てきた事例は知っているな?おそらく授業でやったはずだ」



 頷く。確か、今回含め<魔王>と<勇者>の戦いは計5回。



 そして両者共に回数を重ねるうちに数が増えていて、1回目と2回目が1人、3回目と4回目が3人、そして今回が5人。



 まあ<魔王>側5人なのはあくまで予想でしかないけどおそらく5人だろう。どう見ても<勇者>の数と<魔王>の数は意図的に同じにされているように見えるし、<勇者>を神聖皇国が隠蔽しているなんてことは考えたらキリがなくなる。



「やったやった。で、それがどうしたの?」

「その全てにおいて、<魔王>は<勇者>によって殺されている」



 ...えっと?



「<魔王>は<勇者>に殺される、ってこと?」

「厳密には、<魔王>は<勇者>以外の存在によって殺されない、だ。あくまでも神聖皇国の仮説ではあるが、信頼に値することではある」

「なんじゃそのチート能力」



 他の理由で死なないのどういうことなんだろう...



 でもよくよく考えてみると、そもそも<魔王>は普通の人間よりスペックが高いわけで、暗殺とか魔獣に殺されるとかそういうのは慢心しない限りないと言っていいだろう。



 しかも<魔王>はバレたら死ぬことなんて一般常識だけで理解できるだろうし、何がなんでも隠れて生き延びて、その中で情報を掴んで...ってそりゃ普通には死なないわけだ。



「だからおそらく「探久の魔王」も<勇者>...それも対応する<勇者>が倒すことになるだろうな」

「対応する?」



 対応する<勇者>なんて初めて聞いたので即刻聞き返す、が反応はない。



 というわけでカミラ、解説を頼む。



「<魔王>が覚醒するとき、それに合わせて<勇者>も覚醒します!この時<魔王>の特殊スキルに対抗できるスキルを取得するため、対応する<勇者>と呼ばれているんです!例えば「探久の魔王」であれば私だったり、「久苦の魔王」であればマイゲス、「血楽の魔王」であればシートですね!」

「他の二人は僕かもう一人の<魔王>ってことなのね。了解。ちなみにどの<勇者>がどの<魔王>に対応するかはすでにわかっているの?」

「はい!マリア様はソルスですね!」



 はええ、まじか。<完全射出(パーフェクトショット)>は確かに強いと思っていたけど、対<魔王>のスキルというのがメインなんだな。



 ...僕に対応する<勇者>、ソルスは一体どういうスキルを手にするのだろうか。とても気になる。



 と、閑話休題。



「答えてくれないのなら話を変えるとして、さっきも聞いたけど、なぜ僕を助ける?ぶっちゃけるが、あの時僕は脱水症状による弱化及び環境に耐えられないが故に<神話生物>の手助けがほとんど得られず、また僕の体力やスタミナもことごとくそこを尽きていた。聖剣を突き刺すことくらい余裕だろうに、なぜそれをしなかった?」



 なおガチである。本当にあの時は思考だけが回っていた状態で、運動よりも思考にリソースを割いていた。



 なのに、こいつは殺さなかった。なぜか。



「私があの<魔王>を殺せるようになるまでに時間がかかるから、その時間稼ぎをしにソルスは先行したんです!」

「...恩を返す、というのもあるが、少なくとも俺自身の実力では長い間の戦闘はできない。あの熱地帯を進むだけで俺は体力を消耗し、その全てが回復できそうもない状態で向かわねばならない。なら、少しくらいの助力を求めても不自然ではないだろう?」



 なるほど、理解した。



「ははーん。つまり君は僕に助けを求めているわけだ。でもさ、僕が君n」

「マリア・ヒルド、お前はあの獣を止めないのか?」



 獣...バースト様か。



「話を遮ってくるね...まあでも、止めようとは考えないかな」

「なぜだ?あの獣は誰がどう見ても暴走している、お前に被害がいく可能性があるんだぞ?」



 少し驚いたように聞き返してくるソルス・バミア。まあ確かに被害はあるだろうし、確かにさっきあったんだけど...



 ...まあ普通なら教えてくれなさそうなことも教えてくれたし、少しくらいなら教えるか。



「はっきり言おう。僕は未来永劫、彼らを使役することは無理だ。一部を除いてね」

「...何?」

「無理なんだよ。よく考えてみろ、道端にいる虫が鳴いていたところでとろうとしていた行動を変えるか?変えないだろ?彼ら<神話生物>にとって僕や君たちは道端にいる虫、いや石ころ同然の存在なんだ。気にかけてくれるだけマシだと思っていい」



 ショゴスやクトーニアンなど、比較的協力してくれやすい存在はいる。いやクトーニアンは少し怪しいけど、ただまあ神々よりはまだマシだろう。



 そう、神々は無理だ。メェーちゃんに<魔力解放>をした時もそうだったけど、彼らは自分を抑えている。解放されることによってそのための枷が外れ、時間制限が、あるいは自分で終えているのかはわからないけど、それまでは自由気ままに行動しているだけ。



 虫が飛んできたらはたき落とし、優しくしてくれるのであれば殺すか生かすか利用するかなどし、あとは楽しむ。結局のところ1体1体が天災と言って過言ではないどころかむしろフィットしているのはそういうことを圧倒的実力でやってくるからなのだ。



「...<召喚獣>とは違う、そう聞いていたが...そもそも使役すらできていないとはな」

「なもんで僕は今までも、そしてこれからも本気を出すことはできない。そして、あんな風に本気を出している神々を止めることは...」



 話しながら進んでいたため気にしていなかったが、ふと前を見るとそこには扉の残骸。






 そしてその奥には、山ほどの人間だったものの残骸。



 血の匂いで頭がくらくらするけど、いい加減にこの匂いにも慣れてきたのか頭痛は小さめ。



「な...!?」

「もう誰にもできない。たとえそれが神であろうと、やれることは対話ではなく殺し合いだけなんだよ」

特にバーストに関しては、暴走したら手をつけられません。



本来の性格が戻ってきているわけですからね。

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