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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
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hyperreactivity boss skip 略してhbs

トンファーが出てきたらあえて反撃をさせる。すると意図しない攻撃によって<魔王>が逃げる。



という技ですね。意図されてなかった挙動なのでバグ技ですが。

 叫び声の大きさと聞こえてきた方向、それらとここら辺の脳内マップを照らし合わせて大体の位置を予測する。




 ...最短距離で2分!いや、壁を壊せば...




「聖剣■■■■よ!」

 "ええ、わかっています。力量第2段階解放、重さに注意してくださいね"




 剣の装飾が剣内部に吸い込まれ、各パーツが展開を始める。




 ,,,最初は驚いたが、使い慣れるとワクワクしかないな、これ。




 いわゆる第一段階が通常のバスタードソードで、ならばこの段階の剣の種類はツヴァイヘンダー(両手剣)と言って差し支えないだろう。




 展開が終わり、質量が戻ってくると一気に重さを感じる。大人4人分の重さはあるであろうこの剣をしっかりと構え...




 ============================================



 "ソルス!"

「はっ!」



 起き上がり、周りの確認を瞬時に行う。



 ...どうやら気を失っていたらしい。あの<魔王>と戦闘をしていた休憩室に僕はいる。



「...そうだ、マイゲスが!」

 "マイゲスなら大丈夫です。メーノを向かわせましたので"

「そ、そうか」



 右腕を確認すると、確かに通話が切れた瞬間だと思われる画面が<メヌー・リング>に映し出されていた。



 ...疲れが三度俺を襲い、尻をつく。さっきの戦闘だけで精神をすり減らしたのか、もうちょっと寝たい気分になる。



「...いや、その前に。なあ聖剣」

 "なんでしょう"

「君に名前はあるのか?手に入れて振っていた時から、君は自分のことを聖剣としか名乗らなかったが...」



 なぜか、それが気になった。夢で見たあれも...何か、名前があったような。



 "...私には名はありません。ただの聖剣です"

「そうだったのか」

 "ですがそれに気付いたということは...今がその時ということ"



 その時ってどういう...



 "勇者よ。あなたは私に名付けを行う義務があります"

「...普通に知らなかったんだが」

 "当たり前です。名前に疑問を持つまで、開示はされませんから"



 普通に開示してもいいと思うのだが...まあいい。



 名付けか。4歳の頃に父上が買ってくれた犬にポチという名前をつけてから久しいな。



 ポチ...家に帰れてないから最近は会っていないけど、大丈夫だろうか。



 "たった1匹で(ペウ)の<クエスト>、しかも討伐系を攻略してくるのですから、まず殺されることはないでしょうね"

「うーん、すごい説得力」



 で、今はポチのの話ではなく。



 ...流石に聖剣ポチは嫌だよな。



 "さすがの私とて拒否権くらいはありますからね"



 わかってる。そしたら、そうだなあ。



 過去、文献には聖剣の名は残っていない。これは<魔王>に武具の強さで勝利したわけではないということを後の世に伝えるためと言われている。



 おそらく、毎回あったんだろうな。こんな感じで聖剣に名前をつけることが。今まで4回<勇者>が生まれているのだから、名付けの回数も4回。



 そして、俺が5回目となるわけだ。



「とはいっても俺の名付けは感覚だからな、適当なものになっても知らないぞ」

 "変な名前はキッパリと断ります。が、基本的に私はマスターであるソルス、あなたの所持品なのです。気負いはしなくて結構ですよ"

「なら適当なものを考えつくまで思考を練るとしようか」



 目を瞑り、考えることだけに集中する。



 ...いつ見ても思うが、この暗さが深淵と呼ばれるのはいささかおかしいのではと思う。



 深淵とは、あまりにも深すぎる場所。光の届かない、全く何も、幻覚さえ見ないような場所のこと。



 だがそこはここじゃない。目を瞑っただけで見れるなんて、そんなの...






 次の瞬間、俺は無意識的に剣を構えていた。いや、何か敵が現れたわけではない。



 感覚、そう感覚だ。ものすごい悪寒というか、悪い予感がした。



 あのままずっと目を瞑っていたら、まるで何かに見られてしまうような...そんな感じだった。



 脂汗が全身を流れる中、思考に集中するために目を瞑ることもできなくなった俺は、聖剣をまじまじと見つめることにした。



 ...白銀の綺麗な刀身には丸みの帯びていないカクカクとした刃文が描かれている。柄は皮でできているが、一体なんの生物の皮なのかはわかっていない。そしてシンプルな十字の鍔には、またもや出自不明の、反対側が透けて見えるほど透明度が高い黒い宝石が埋まっている。



 やはりいつ見てもかっこいい。そして何より強い。バスタードソードであるが故に扱いは難しいが、一般的に周回などを行なっている人たちが使っている剣よりもはるかに切れ味がよく、耐久性に優れている。



 耐久性に関しては特段他の剣と違っていて、今まで刃こぼれをしたことが一切ない。もちろん鍛治師に出したり手入れを欠かさなかったりというのはあるが、ドラゴンの鱗に思いっきりぶつけても傷ひとつつかないのは明らかに異常だと言えるだろう。



 そう、だからこそまともな名前をつけてあげたいと思ってしまう。のは、俺だけではないだろうな。



 その瞬間、俺の頭にひらめきが生じる。



「...アルカマ」

 "アルカマ...確かどこかの転生者が言っていました。月を表す言葉ですね"



 月とは、夜にのぼる光を放つ星。あれの別名ということか。



 ただ、なんか変だな。もうちょっと他の名前を...



 "ではそれで行きましょう。<聖剣アルカマ>、それが私の名です"

「え、いいのか?もっと他の名前の方が」

 "いいのです。この名前気に入ったんです"



 ...なら、いいか。気にいったものを手放すのは惜しいからな。



 "...太陽と、月。ですか"

「ん?なんか言ったか?」

 "いいえなんでも"

ちなみに周回とは<ダンジョン>をボスを倒さずに強制脱出することを繰り返し、<ダンジョン>内にある宝だけをかき集めるものです。


基本的には<クエスト>をしていない人たちがやります。



なので、マリアとソルスはしません。悲しい。

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