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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
148/402

バグありレギュレーション

まあ遅刻ということでね、もう1話あります。

 カン!



「ちっ、また弾いたか。運がいいなあ、お前」

「...お前の運が、悪いだけじゃないか?」

「それはない。なんたってその1回と他6回以外の計32回、俺の斬撃は当たってるからな」

「そんなに...当たっていたか...」



 肩で息をしながら問答に答える。すでに戦闘は5分をこえ、限界も近くなりつつある。



「...すっ、ふぅぅぅ...」



 深呼吸で息を整え、聖剣を正中線に構える。



 見るべきは、目の前の「久苦の魔王」だけ。



「おーおー、おっかないねえ。なんでまだそんな顔ができるのかな?」

「愚問だな。俺でも倒せるなと感じたから、ただそれだけだ!」



 真っ直ぐ、ただただ速く斬る。



「。旧き神、火山の守り手よ」



 でも少し横に移動されて当たらない。



 だから二撃。一撃目と同じ速さの攻撃をもう一度繰り出す。



「。そのかけら、我が手に宿るべし」



 横一文字の切り裂きは、上半身を逸らすことで間一髪で避けられ。



 だがそれも、想定済み。



「そこだ、<火球>!」



 初めてみせる<詠唱>による魔法...



 いかに[超反応]で避けるからと言っても、初めて見せる魔法であれば!



「いやいや、お前詠唱してたじゃんw」



 ブリッジの状態で腕と脚だけで跳び上がった奴は。



 そのまま壁を蹴り、こちらに突進してきた。



 2本を剣を重ねたその姿は、まるで極太の矢のようだ。



 ギャイン!!



 しかし剣の腹でそれを受け止め、拮抗状態を作り出す。



 ...力に差はない。技量に差はない。あるのは、スキルと武器の性能だけ。たったそれだけだ。でもそれだけで、勝敗というのは決まってしまう。



「[身体強化]!」

「何!?」



 相手をそのまま押し返す。同時に、剣の強度が耐えきれなかったのか<魔王>の剣が中程から折れた。



 ...やはりそうか。



「あーあ、愛用していた剣だったんだがなあ。どうしてくれんだよ、ええ?」

「...見えてきたぞ、攻略の糸口が」

「はあ?」



 初見殺しは対応する。でも、それはあくまでも自分にくる攻撃だけみたいで。



 さっきみたいな拮抗状態が崩されることまではわからないらしい。



「予知みたいなものをしてきているわけではなく、ただただそれに反応しているだけ。しかも、攻撃に関しては反応できるけどそれ以外はできない」



 つまり...



 ...耳をすませば聞こえる。いくつかの足音が。



「マイゲスがなんであんなスキルを取得したかようやくわかった。確かに、あれは避けようのないものだ」



 また剣を構える。ただし、今回は受け身だ。



 こちらからは一切攻撃のそぶりを見せない、防御の構え。



「...俺、武器が無くなったんだが?」

「調べてあるぞ。あんた、計30種以上の武器を使えるんだってね」



 少し驚いた顔をする<魔王>。だがそれも束の間、すぐに先ほどまでも油断しきっている表情に戻る。



「そんなとこまで調べられちゃってるのかあ...なら、別に隠す必要もねえな」



 奴の手の中に武器が現れる。



 先の尖った金属棒、それに垂直になるように作られた持ち手。



 間違いない。あれがトンファーだ。初めて戦う、いやそもそもまともな対人戦が初めてではあるが、戦ったことはないのだ。



 しっかりと注意しろよ、俺。



「そんじゃあ...行くぜ!」



 突進してくる<魔王>。しかし、その手に握られたトンファーが、まるで体を守るかのように張られている。



 カウンターを決めるのは難しいか。



 剣でそのトンファーにふれ、軌道を逸らす。その間にギリギリで当たらないよう移動する。



 ..次の瞬間、聖剣が上へ吹き飛んだ。



「な!?」

「へっ、<勇者>サマならそうすると思ったぜ!」



 トンファーが一瞬だけ俺の聖剣を弾くかのように下から上へ跳ね上がったのはわかったが、まさかこれほどとは。



 だが、さすがに吹き飛ばされたぐらいじゃ問題はない。



 そのまま徒手空拳で<魔王>を掴みかかる。狙うは...腕!



「んなおっせえ掴みに引っかかるかよ!」



 無論当たらない、だが...






 聖剣は、その隙を見逃さない。



 ジャキン!



「...は?」



<魔王>は、腕が吹っ飛んでいた。



「が、あああああああ!?」

「はあ...はあ...くっ...」



 噴き出る血の雨をよそに、聖剣を拾い直す。



「くっそが、なんで反応しなかった!」

「あくまでも、それは攻撃に反応するだけなんだ。反応するわけないだろう」

「なん...だと!」



 そう、あれは攻撃ではない。ただただ剣が落ちてきて、それが落ちてくる場所とタイミングが合致しただけだ。



 "まあタイミングと軌道の修正くらいは行いましたが。その作戦のほとんどは彼が一瞬のうちにやろうと決めたことです"



 つまり、俺の作戦勝ちというわけだ。



「チッ、ここは一旦引くしかねえか...」

「逃すとでも!」



 追撃の一撃を喰らわせに走る。



 が、その瞬間。



 ドゴン!



 爆発音と共に煙が舞い上がった。



「よし!そのまま視界不良にしといてくれ!」

「待て!」

「そう言われて待つ奴はいねえよ!」



 煙の中で剣を振り回すのは、かえって危ない。それで攻撃されでもしたら一貫の終わりだ。



 ただただ煙を中を走り抜けると、<魔王>はすでにこの場にいなかった。



 ...見失った、か。



「...いや、この何処かにいr」

「うわああああああ!」

「!?!?」



 この声...マイゲスか!



「待ってろ、今助けにいく!」

一体マイゲスの身に何が!?

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