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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
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勇者の幕間②〜「久苦の魔王」戦前〜/はい、よーいスタート

ささ、始まります。

「<ダンジョン>ってことは、わ、私に対応した<魔王>ということですね!」




 "そう。「探久の魔王」が使う特殊なスキルは[試練]。とある<ダンジョン>を創り出し、その中に対象を閉じ込めてしまうというものです"




「へえ。んじゃあそいつを潰してからもう一つの<魔王>を殺せばいいんだな?」




 "そこからが問題なのですが...先ほど、報告がありました"




「どのような?」




 "...「久苦の魔王」。生まれた時からそれを追っていましたが、その反応が途切れました"




「追跡が困難になった、ってことか?」




 "ええ、その認識で間違いありません。<魔王>が死ぬ時は、いつだって<勇者>に殺される時のみでしたから"




「生まれた時からそれを追っていたって...相当に危険視したのね」




「名前からして強そうですし、実際それは本当に強いのでしょう」




 "「久苦の魔王」とは、彼が生まれた後すぐに名乗った名。情報が秘匿されていてそれ以上は分かりませんでしたから、これ以降は「久苦の魔王」と呼称しますが..."




「が...?」




 "異常、としか言い表すことはできませんね。彼の持つスキルは「超反応」、我々が追跡していることをやつは理解していたのです"




「え、あ、た、多分あの神聖皇国イマジが誇る裏の仕事をする人たち、<裏警察(バックドア)>が務めているのですよね!?」




 "無論です。<勇者>の支援こそ我々神聖皇国イマジの本願、それこそ全勢力をもって彼を追い続けていました。<裏警察>の追跡を感知するのですから、それ相応の強さを持っているはずなので"




「私たち<勇者>のため、ということですね」




 "ですが、このタイミングで彼はいなくなりました。急に、どこかに行ってしまった"




「最後にいたのはどこなんですか?」




 "聞きますか?"




「聞かないと話にならないので」






 "では。「久苦の魔王」が最後にいたのは..."



 ============================================



 "起きてください!<魔王>です!!"

「っ!」



 体を捻り、眼前まで迫る剣を避ける。



 が、追撃は避けられない。もう1つの剣の攻撃を直に受ける。



 ...だが、そこまで想定済み。左足を上げることで鞘で剣を打ち上げる。



 そしてそのまま左足で目の前の敵を蹴り飛ばす。



 ズドン!



「がっ!」



 すぐに飛び上がり、<ポーション>を飲む。体が癒えたのを確認して聖剣を構える。



「...ただ寝ていたわけじゃなさそうだ。一体何をしていたんだい?」



 自分が叩きつけられた壁から出てきてすぐ、そう聞いてくる<魔王>。



 そんなこと、既にわかっているだろうに。どうやらこの<魔王>は話をすることが大好きらしい。



「思考だ。「久苦の魔王」はニャージーランドで消息を絶ったわけだけど、ではどうやって消え失せたのか。っていうね」

「へえ。答えは出たのかい?」



 ニヤニヤしているが、しっかりと二刀を構えている。不意打ちの隙はなく、俺もその隙を作らないようにしなくてはならない。



「協力、これが答え。「久苦の魔王」である君を「探久の魔王」は隠したんだ。<ダンジョン>の内部にね」



<魔技>を出す準備をする。<魔力>を聖剣に流し入れ、集中力を研ぎ澄ます。



 今見るのは...目の前の<魔王>。それだけだ。



「だからわざとこの<ダンジョン>に入った...「久苦の魔王」、お前を殺しにきたんだ!」



 上段からの斬撃。<魔技>であるが故にたったこれだけの行動の速度が異次元の速さになっている。



 まさに神速の一撃、名を<即撃(ブート)>。今までこの攻撃を避けた魔獣はいない...






 だが、やつは避けた。まるで余裕があるかのように、当たる直前で避けた。



 そのまま右と左から剣が向かってくる。確かあれは...マイゲスが使っていたな。<挟撃(シザー)>というやつだ。



 足を唸らせ飛び上がる。聖剣の遠心力を使ってすぐに<挟撃>の範囲外に行き、



「はっ!」



 空を蹴ってすぐに着地、その時に<魔王>の剣を地面に足で叩きつける。



「うおっと」



 ここまで5秒と経っていないが、なのにやつは余裕そうで。剣が叩きつけられたことで手が引っ張られているはずなのに、奴の手は動いてすらいなかった。



「せあっ!」



 だから、考える暇を与えずに横振りの斬撃。神速とまではいかないが、俺だって鍛えている。音速は余裕で超えているはず。そう、そのはずなのだ。



 だが、避ける。少しの姿勢も崩さずに、そして、



「おっと、この程度?」



 まるで俺をおちょくるかのような言動。いや実際煽っているのだろうな。俺の精神的動揺を誘うために。



「そうだな、その程度だ」



 瞬間、空中に刃が現れてやつの方へ飛んでいく。エネルギー刃だ。



「っとと、危ないねえ」

「それでも当たらないか」



 さすがは[超反応]。スキル自体が非常に協力だな。



 ...だが。



「だが残念だ。お前は鍛えていないのだから、俺を傷つけられない」

「じゃあ試してみる?」



 いつの間にやら取り戻していた、二刀を振りかざしてくる。それも意識外である背後から。



「っ!?」



 咄嗟に避ける。まさか背後から攻撃が来るとは思わなかったが...



 これは[超反応]以外にも優秀なスキルがありそうだな。



「はあ!」



 攻撃する、避けられる。反撃される、防ぐあるいは避ける。それを繰り返す。



 ...普通に強い、と言っていいだろう。元々ここにいるだろうと予想はしていたけど、まさか俺の方に来るのは予想外だった。



 でも、倒せないことはないだろう。相手に当たりはしていないが、いつかは当たる。



 攻撃を続け、疲労させるんだ。



「ふっ、せあああ!」



 がむしゃらに、しかし致命的な一撃を精密に狙って攻撃を繰り出していく。



 その一撃の一つを当たりでもしたら死ぬ。たとえ当たるのが俺でさえも死ぬだろう。



 でも、それでも。圧倒的なプレッシャーがあるにもかかわらず、やつは汗ひとつ流さずに避けていく。



 対して、段々と疲れてくる俺。人間である以上、スタミナの回復は遅い。



 既に斬り合いを始めて1分。その間全力を出し続けているのだから、それはもう疲労がとんでもないことになっているのだ。

この<魔王>は1話で死ななかった...つまり、どっかの誰かよりも強いということです。

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