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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
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兄弟

次回からは普通の長さになります。もうちょっとだけお待ちください。



あと、前回のやつ1日遅れでした。すみません。

「シートの兄貴って確か、あの家出してそのまま帰って来なかったやつだっけか」

「ええ。3年前、父と仲違いを起こしまして」



 3年前...こいつは見た感じ17歳くらいだから、14歳かそこらの時ってことか。



「何で仲違いを?」

「くだらない話なんですが...」

「まあまあ重要な事だから、話してくれない?」

「...プリンを、底から食べるか上から食べるか、で...」



 予想以上にくだらなかった。ただのプリンでそうなるのね。



 恐るべし、プリン。というかこの世界にもプリンあるのか。



「地球のように卵を使っていますよ、魔獣の卵ですけどね」

「カラメルもあるの?」

「もちろん」



 それは一度ぜひ食べてみたいな。昔食べたものとどういう違いがあるのか知りたい。


「って、つい話が脱線してしまった。かなりの手練っていうのはわかったけど、そもそもこいつはどこにいるの?」



 冷静になり、すぐにシートに質問を投げかける。



 そもそも居場所が分からなければ何も始まらないし。



「どこにいるかは分かりません。家出してからずっと音信不通、調べても兄に関する情報は何もありませんでしたから」

「つまり、ますますこの主犯格がシートの兄と似ているのが怪しくなるわけだね」



 うなずくシート。家族を心配するのは家族として当たり前だからね、ただ...



「ただ、こいつは主犯格なんだよね」



 ホログラムを指さす。Tボーンのホログラムは特に感情を持っているわけでもなく、ただただそこに立っている。



「そうだな。プリンであろうとなんであろうと、たとえ仲違いしても家族は家族。お前はこいつを殺せるのか?シート・サントニーよ」



 奴の持つ<完全射出(パーフェクトショット)>は相当に強い。もしかするとこいつを倒すのにも必要になるかもしれないわけで。



 であるなら、それ相応の覚悟があるかどうか確かめなくてはならない。身内を貫くことの出来るという、強い覚悟のね。



 ...だが、シートは頭を縦に振らない。振れなかった。



 その顔は、なんとも言い難い表情だ。自分に対して、あるいは何かに対して、苦しいか、それとも怒りかをぶつけている。



「...そのことは一旦後にしようか。ムギ女王陛下、こいつらの拠点はわかるのですか?」

「お、おいちょっと待ってくれ!」



 そう言ってソルスの前に静止するかのように手を突き出したのはマイゲスだ。



 別に聞いた事は普通だったと思うのだが、どういうことだろう。



「なんだ、マイゲス。俺は聞いて当然のことを聞いたまでだぞ」

「そりゃそうだが...あ、相手は人間だろう!?それを殺したら、お、俺たちは殺人犯と同じなんじゃねぇのか!?」



 なんだ、意外とマイゲスも一般常識を言うんだな。どの口で言ってるんだかわからんが。



 そう。目の前のホログラムも、街中でタマさんと僕達を襲って来たのも、全部人間。やっぱり諸悪の根源は人間なんだって。



 人間が人間を殺したらそれは殺人であり、この世界でもそれはやってはいけないこと。



 魔獣は人間よりも上位の存在、弱肉強食の摂理において人間の位置よりも上にいるのだから、抵抗は当然。だけども、同じ位置に属する人間同士なのであれば、話は別。



「それはそうだが...じゃあマイゲス、君はネコマタの皆さんを助けようとは思わないのか?」

「そうじゃねえよ!ネコマタは皆優しいんだから、俺だって助けてえよ!だけど、それをすると俺たちは...!」



 言葉につまるマイゲス、それを見て俯くソルス。そしてそのやり取りをなんか少しおかしいなと思いながら聞いている僕。



「和解、というのはないのですか?」

「それができるのであれば、<勇者>としてはそうしたい。だが...」



 そう言って嬢王の方を見るソルス。目線の先には、頷いている女王。



「うむ、有り得んな。こやつらは我らを殺してまわっているのだ、殺しに来るのだから反撃で殺されても何も思うまい。それに...」



 少し考えた後、また喋り出す。



「妾は、こやつが奴隷商にも関わっていると思っておる」

「「「「「!?」」」」」



 戦慄する<勇者>。いやまあ1人は確実に演技なのだけどもね。



「ど、奴隷商は5年前に禁じられたはずでは!?」

「そう、5年前に全ての国の代表が集まった会議で話し合われ、結果奴隷制度は全ての国で禁じられた。だが残念なことにニャージーランドでの行方不明者は後を絶たず、しかもそれは年々増え続けている」

「そんな...」



 奴隷。僕を捕まえようとしていたやつも奴隷商だったか。



 ...奴隷について、理解を深めた方がいいな。



「女王陛下、実は僕転生者でして」

「知っておる」

「ですよね。ええ、なので奴隷についての知識に乏しいんです。教えていただけないでしょうか」



 パチン!



 すると、女王は指で音を鳴らす。そして、ホログラムの形が変わる。



 町、石と木でできた、綺麗な世界だ。



「話は...およそ500年前まで遡ります。齢300の私でも伝えられた話しか知らないほど昔の話です...」

猫又って滅茶苦茶長く生き延びた猫が妖怪として変生した姿なんですね。



なので長寿。ちなみに、いわゆるエルフという種族の互換です。

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