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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
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なんだかんだでドナドナされていく

時間がなかったので少し短め。

 謁見室しかない王宮、そこから<創樹>を挟んで反対側に家はあった。



 一応<創樹>はこの国の中央にあるため、反対側に回ったとしてもあまり景色は変わらない。



 いや、厳密には風景は結構変わっている。どれくらい変わっているかというと、火事や爆発が一切ない。なんなら門も開いている。



 まあ確かに反対側に回るだけで10分かかったけど、だからとて安全という訳では無いだろう。



 だが。今目の前にある景色はとても安全なもの。平和と言っても過言では無い。



 ...何がどうなったらこうなるのやら。



「ふむ、こちら側がここまで平和なことに疑問を感じるか」

「あー、まあそうですね。僕達が通ってきた場所はまさに紛争地域といった場所だったので」

「何とかこちら側に抜けないよう、抑えているだけなのだがな」



 抑えているだけですか。それだけでこうも様相が変わるものなんだなあ。



 でまあ、とりあえず町の風景は一旦置いておいて。



 目の前の家。それは豪華と言って差し支えないものだった。とはいってもキンキラキンってわけじゃない。シンプルが故に豪華に見えると、そういうことだ。



 ツリーハウス。大きな木の上に家があるものを指すが、これは違う。<創樹>の上に作られている訳では無いからね。



 だけど、部屋一つ一つは<創樹>から吊り下げられている。ロープかなにかで吊り下げられているのだろうが、それは普通の、市販で売られているようなものでは無いだろう。どう見ても僕の頭くらいの横幅はある。



 吊り下げられた部屋自体は完全に木造、前世の世界のはるか昔に日本で建てたれたものと同じような、いわゆる組み木の技術が使われている。



 そして、この吊り下げられた部屋は全て橋で繋がっている。ロープと木材のものだが、なかなかに頑丈で全く揺れない。そして何よりここからの景色は...言うまでもなく、綺麗だった。



 石畳と木材の調和が綺麗なこの町にはネコマタがたくさんいる。まるで何も起こってないかのように、普通に暮らしている。



 子供は走り回り、奥様方は道端でお喋りをして、屈強な男どもは建物を作っている。



 ...これがこの国の、日常の風景ってことなんだね。



「さあ、ここが客間だ」

「そういえば、何で謁見室しかない場所を王宮って言っているんですか?ここの方がよっぽど王宮ですよ」

「言いたくて言っているわけではないのだが...あそこを王宮と偽っておけば、奴らの狙いは王宮になるからな」

「ああなるほど。誘導しているわけですか」



 ============================================



「お待たせしたな、<勇者>達よ」

「いえ、問題はn...」



 固まる<勇者>達。大方、「いやなんでお前がここにいるんだよ!」とか思っているのだろう。僕の思考と同時に喋った奴がいたから、当たったわけだ。



「やっほー、<勇者>のみんな」



 凍りつく部屋。むしろ暑い時期なのに、何でなのだろう。



「...ああ、そういえばお前達は敵同士か」

「「いや、知らなかったの!?」」



 思わず叫んでしまう。何ならソルスと被ってしまった。



「知らなかったわけではないぞ。ただ妾の頭の中から抜け落ちていただけだ」

「それはそれで問題でしょ...僕は問題ないけど、<勇者>にとっては大問題だからね」



<勇者>達をわざと上から目線で見る。少しムッとしている奴もいるけど、まあ問題ないね。



 何せ、こっちにはメェーちゃんとクタニド様がいるのだから。



「あれ、クタさんも一緒なんだ」

「でしょうね...クタさん、まさかとは思いますが...」



 質問する弓使い。その顔は苦虫を噛んでいるようだった。



「ええ、もちろん。私は最初からこちら側です」

「...そう、ですか...」



 悔しい、いや悲しいか。過去に何らかのことがあったらしいな。



 というか<勇者>の過去に関わりがあるて、クタさんは一体いつからこの世界にいたんだ。



「んー、前回の<勇者>が死んでからすぐくらいですか?」

「マジかよ」



 ...ん?てことはクタニド様からいろいろな情報がもらえる可能性が微レ存?



「exactly《その通り》」

「...そろそろ話し合いを進めたいのだが、いいか?」



 あ、女王が少し呆れてる。しょうがないね、脱線しまくったから。



「ああ、問題ない」



 いや、<勇者>が勝手に決めてどうするよ。



 まあ僕も問題ないけど。



「なら進行は妾で進めさせていただくぞ...まずは、この国の現状から話させていただこう」



 パチン!



 と指を鳴らすと、なんと立体映像が出てきた。ホログラムと言ってもいい。



 ...人体。男の人間がTの状態で固まっている。Tボーンなのか。



「わーお、テクノロジー」

「こいつが妾の国を襲った犯人。名前は不明だが、なかなかの手練れらしいぞ」



 屈強ってわけではなさそう。服までしっかりと再現されているから見えないけど、もしかすると細マッチョかも。



「武器は不明、だが遠距離攻撃も近距離攻撃もしてくると言っていたな」



 顔はかなりのイケメン。APPなら9/45といったところか。



「そして...ん?どうしたシート?」



 言葉を止め、弓使いの方を見る女王。



 こいつシートっていうのか。






「...この人、私の兄に似ている...?」



 ...楽しくなってきたね。

まさかの兄貴。

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