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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第四章 猫又狂獣人叫
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国同士の条約って多分こんなノリで決めたりしない(偏見)

猫カフェ、また行きたいなあ。

「さて、お互いにお互いをある程度知ることができたのだ。なぜこのニャージーランドにきたか、教えてもらおうか」



 まあ兎にも角にもそのことを知りたいよね。うん。



<魔王>になる存在である僕が何で危険な状態になっている(ことを知らずに)ニャージーランドにきたのか。知らなければ夜も安心して眠れないということだろう。実際僕は危険人物なんだし。



 でもね、バーストがいないのよ。



「ええ、お教えしますとも...といいたいところなのですが、今ちょうどここにくる理由になった<神話生物>が出かけておりまして...」



 メェーちゃんに呼びに行ってもらってから5分は経つ。それでも来ないとなると、何かがあったことを考えとかなくてはならないね。



 他のネコマタを助けているのはわかっている。だから僕が呼ぶのではなくメェーちゃんに呼びに行ってもらっているんだからね。



「出かけている?その<神話生物>とやらはお前の<召喚獣>では...」

「枠に収まらない、と言ったはずですよ?」

「...失敬、聞き逃していたわけではないが、どうやら妾は<神話生物>を甘く見ていたらしい」



<神話生物>を甘く見るて...足先が震えてるの、見えてますからね。



「甘く見る、というのはよくないですね。もしかすると街一つ、いや国一つ潰してしまうかもしれませんから」

「...その忠告、この身に深く刻ませてもらうとしよう」

「その方がよろしいかと」



 まあ甘く見るのだけは絶対にやめといたほうがいいよね。僕ごと疑心暗鬼になっておいた方が身のためだよ。



 僕の目的が目的だからさ、女王様にも死んでほしくはないわけで。



「さて、話を戻すか。その<神話生物>がこの場に来たのなら話すことができるのだったな」

「その通りです」

「...では、そうだな。何か聞きたいことがあれば聞こう」

「よろしいのですか?僕は結構根掘り葉掘り聞くタイプですよ?」

「構わん、がそのためには一つ条件がある」



 む、条件か。一体何なのだろう。



 質問をするための条件なのだから...何か貢物とか?



「何、単純なこと妾とy」



 ドガシャーン!!



 瞬間、謁見室の扉が吹っ飛んだ。文字通り、吹っ飛んだ。



 ...大事なことなので2回も考えたが、それくらい驚いた。



 急だったからね。ただ、そんなことを行ったのが誰なのかは予想がつく。



 そう、振り向けばメェーちゃんがそこにいるのだ。



「メェー!(大変!バーストが動かなくなっちゃった!)」

「何だって!?」



 え、が、瓦礫に挟まったとか、それとも...



 いやいや、神話生物が死ぬもんか。あいつらはまとめて不死かたくさんいる種族なんだからな。



 で、でもそれなら何で動かなくなったんだ?



 いや、というかそーゆーこと考える前に女王に謝ることが先決だろうが!



「女王様!誠に申し訳ありません!門をすぐに直しますので......あれ?」



 見ると、女王はすでにいなくなっていた。何なら椅子が転がってるし。



 え、どゆこと?



「アー、おそらくですが謁見室カら出てみればわかるかと思います」

「女王は外にいるのか...あの一瞬で外に出たと、そういうことね」

(あと出ればなぜバースト様が動けないのかがわかります)

「そこまでわかるんだ...そしたらショゴスは左腕に、クトーニアン達は引き続き警戒をよろしく」

「(了解しました)」



 定位置に戻っていく二人。女王には見せたけど、他のネコマタに見せるわけにはいかないからね。



「クタニド様はそのまま僕についてきてくださいね...え?」

「...羨ましい...」



 え、え?どゆこと?



 ============================================



「「「「「癒される〜」」」」」

「こういうのも悪くありませんね」

「そういうことかい。心配して損したわ」



 外に出てすぐわかった。そう、ネコマタたちはバースト(ぬこ)に魅了されていたのだ。



 5人ほどがバーストと戯れあっている。無論その中に女王も含まれている。



「ああ...可愛いなあ...」



 羨ましいってそういうことだったのね。確かに今の姿でも、本来の姿でもクタニド様はこうはならn



「それは私が可愛くないということですか〜?」

「いふぁいでふ、ふぉふぉほひっふぁららいでくららい」



 なお結構ガチでつねっているのかマジで痛い。僕にとってはご褒美ですけどね。



「おっと、そうでしたね」

「ふっふっふ。変態には何も効かn、っあ!?」

「ではこうするとしましょう」



 こめかみがああああああ!!



「...ところデ、バースト様を助ケ出すのでは?」

「そ、そうだった...」



 痛みに打ち震えながら猫の集団に近づく。



 ...少しぶすっとしているメェーちゃんを撫でながら。



「えっと、ネコマタの皆さん、できればそろそろ離れていただけると...」

「もう終わりか!妾来たばっかりなのに!全然もふもふし足りないぞ!」

「...ではもう少しだk」

「そうか!ならばこの猫を愛でるとしよう!」



 これ絶対ただの人間、それこそ僕なんかがやったら八つ裂きだなと思えるくらい、女王はバーストを愛でていた。



 ネコマタ、ずるい。



「もちろん僕にはいくらでもメェーちゃんを抱きしめていいという権利があるからむしろこれは対等な状況とも言える」

「メェー!」

「喜んでくれて何よりです、メェーちゃん」



 ...でも話も進めないといけないからね。そろそろ本題に入るとしよう。



「えっと、そろそろ終わりにしてください。僕がここにきた理由が話せますので」

「む、そうか。それは、仕方ないな...」



 すっっっごく惜しそうにバーストを渡してくる女王。



 すでに両手は埋まって...メェーちゃんは定位置か。しっかりとバーストを抱き抱える。



「モフられた感想は何かある?」

「なかなかに良かったですよ。まだされていたいという気持ちが芽生えるほどには」



 どうやら相当にネコマタを気に入ったらしい。これはさらに目的が重要になったぞ。



「...ところで、今あなたが僕に引き渡したこの猫こそが理由なのですが」

「そうだったのか」

「そうだったのです」



 とりあえずバーストを地面に下ろす。すると、なんと勝手に女王の頭の上に乗った。



「これは守りがいがあるというものです。以後ネコマタは死ぬ気で守りなさい、マリア」

「もちろんです」

「しゃ、喋るのか」

「<神話生物>ですからね。人間以上の知性は持ってますよ」



 頭の上に乗られて、しかもしゃべられた女王は少し困惑気味。



 だけどちょっと嬉しそう。



 ふと、バーストと目が合う。その目は...あれだな。



(あとは任せた)

(はい、わかりました)



 どうやら定位置から動きたくないらしい。やはり頭の上というのは落ち着くみたいだ。



「さて、まずはその猫のご紹介をば。彼女はバースト、<神話生物>にの中でも猫あるいは信者の守り神として扱われる者です」



 と同時に赤子を贄として用意させたり外敵を絶対排除しようとする野蛮なゲフンゲフン。



「ほう、このものがバーストか」

「っと、タマさんの反応と違うのですね」

「うむ。確かにタマや<バースト教>に属する者達なら狂喜乱舞するだろうが...妾はそういうわけではない」

「なるほど」



 信仰しているかしていないか、ってことか。納得。



「それで、僕がこのニャージーランドに来た理由は...」

「大方、我らを守るといったところだろう。バーストという存在は、我々を守る存在らしいからな」

「おっと、そこまでわかってらっしゃいましたか」



 まあ宗教で存在すると女王は言ってたし、それに僕自身がバーストがどういう存在なのかを伝えたのだから、むしろ聡明なのであれば確実に理解できる状況ではある。



 となると、話は早いか。



「先ほどもお伝えしましたが、僕は<魔王>となる者。ですがそれでも<神話生物>を制御することはできません。今回は、バーストのわがままと、僕の個人的な恩を返すためにここに来たのです」

「恩?」

「アナというネコマタに命を救われまして」



 すると、途端に驚いたような顔をする女王。アナ、という言葉に反応していたな。



「アナ、と言ったのか?」

「ええ。メアリーという者と旅をした、あのアナです」

「そうか...彼女は今はどこにいる?」

「わかりません。ですが、天上で静かに暮らしていることを僕は願っています。」



 なぜわからないのか、というのは、そもそも死体が見つからなかったからだ。



 殺人鬼に食われたし、その殺人鬼は風化した。だから死体が見つけられないのだ。



 それに確実に死んだわけではない。食われたあと、過去で何があったのかわからないからだ。



 もしかすると逃げ出すことに成功しているかも...そんなことを僕は考えていたい。



 ...僕の意図を汲み取ったのか、悲しい顔をする女王。



「彼女のおかげで、僕は助かりました。彼女がいなければ、今僕はあなたの目の前にいません。その恩を返そうと思うのは、人間としてとても普遍的ではないでしょうか」

「...」



 沈んでいる、というのが正しいか。影に落とされたその表情はまるで、とても大事な人を無くしたかのようで。



 だが、その表情を見せたのはほんの一瞬だけ。すぐに女王は顔を上げた。



「わかった。だというのなら妾からの願いがある」

「できることであればやりましょう」



 ただしなんでもは言わない。ん?今何でもってbotがこの場にいたらまずいしね。






「単刀直入に言おう。妾たちを救ってくれ」

「...それ、<勇者>の仕事ではありませんか?」

「<勇者>にはすでに頼んだ。そして同時にお前、いやマリアにも頼むのだ」

「ええ...」

そう、すでにこの町に<勇者>はいるんですね。

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