幕を下ろした後、という意味の幕間
短めですが、同時にもう一話あります。
...バタン!!
「報告します!先ほど<勇者>がガウス王宮魔法使い殿の死体を発見されたとのことです!」
「...なんだって?3年前に行方不明になったのではないのか?」
「私もそのように聞き及んでおりますが、しかし<勇者>側からの報告によると、これは事実のことです!」
「国王にはもう伝わっているか?」
「伝わっております!王宮側から入ってきた情報ですので!」
「...わかった。それで、<勇者>は死体を回収したのか?」
「いえ、どうやら回収できなかった模様です!なんでも、触れたら即座に灰になったと」
「ただの死体が、か」
「そしてもう一つ。我々にとってはこちらの方が重要なのですが...どうやら、その死体には首がなく、心臓のある部分に穴があったとのことです」
「なんだと!それについて詳しく教えてくれ!」
「で、でもこれ以上の情報はこちらにも渡っておらず...」
「......そうか、報告ご苦労。少し一人でやりたいことがある、外に出たのち人払いを頼む」
「わ、分かりました」
...カチャ
.........ピッ
「こちらからの連絡は初めてだな、マリアよ」
"まあ、そうだね。久しぶり、父さん"
「要件はわかっているな」
"まあどうせガウスとかいう殺人鬼についてでしょ。<勇者>も発見したらしいね"
「待て、なぜガウス殿が殺人鬼になる?死体の様子を見る限りはれっきとした被害者だろう。」
"ノンノンノン、あいつこそが殺人鬼だよ。本当は捕まえる予定だったんだけど、強過ぎて捕獲できなさそうだから僕が殺したんだ"
「な...こ、殺した!?<時属性>を操る我が国最強の魔法使いを!?」
"ええ...あんな奴が最強なの?むしろ殺して正解だったやつじゃん"
「(絶句)」
"あ、そうだ一つ言わなきゃいけないことがあった。母さん、生きてたよ"
「!?、なんだっt」
"でも、殺された。あの殺人鬼に、僕を庇ってね"
「ぇ......」
"その報復も兼ねて、奴は殺した。最も、僕自身ではなくしn...<召喚獣>が殺したけどね"
「......そう、か...」
"報告は以上、報酬はお姉様に渡して。僕はまだまだ帰って来れなさそうだからさ"
「...なぜ...お前はそう...冷静でいられる...?」
"冷静?僕が?ありえないよ。さっき宿泊している宿のトイレで小一時間泣いていたんだから"
「...」
"...そろそろ、通話も終わるよ。僕も校長から宿題が出ているからね"
「...マリア」
"何?父さん"
「戦争について、知っているか?」
"急だね...うん、知ってる"
「そう、か...わかった。すまないな、時間をとらせて」
"大丈夫大丈夫。僕も父さんと話せてよかったよ"
「...死ぬなよ」
ピッ
「......いかに彼女が強く、その<召喚獣>が強くとも、か」
「誰の言葉です?それ」
「俺の即興の言葉だ、とは言えん。厳密には、父が残したとある<勇者>に対する言葉だ」
「ほうほう」
「曰く、その<勇者>は強かった。あらゆる敵を倒せたらしい」
「魔獣とかですねえ」
「そうだ。その強さは圧倒的、他の<魔王>も全て彼1人が倒したとのこと」
「そんなに強かったのですね。となると...現在はどこに?」
「...強過ぎた彼は<魔王>を全て倒した後、人類に見限られ、殺された」
「殺された」
「弱点はなかったが、他の<勇者>の助力も相まって殺せた、らしい」
「仲間には手を出せない系主人公という奴ですか」
「その最期の時に奴が言った言葉。それが、いかに俺が強く、その仲間たちが強くとも。結局その他大勢が最も強く、それは俺ほど強くても勝てない。という言葉だ」
「スパイスがいい感じにマッチしてますね。私、その言葉大好きです」
「だろうな」
「それで?なぜあなたはその言葉に当て字をしたのですか?」
「...マリアは強い。そして<時属性>は時を操るという関係上、相手にしたら基本勝てない魔法。そんなものに勝ってしまった彼女は、いつか父の時代にいた<勇者>と同じ運命を辿るのではないか、とな」
「予言しましょう。彼女は辿りません」
「...ほう」
「なぜならば...彼女はすでに決まったゴールへと向かっているから。それから外れるようなことは、例え彼女が死ぬことになったとしてもありえないでしょう」
そろそろ不穏になってきましたね...