成長の奇跡⑤ ~勤勉~
ちょっと情報量多めです。
家に帰ってくる。と、母さんはそのまま僕をリビングの椅子に座らせて、僕の目の前のテーブルに本をおいた。タイトルはそう、「5歳までの!魔法教本」。もちろん腕時計(仮)から取り出したのは言うまでもない。
しっかし本当に分厚いな、この本。もはや鈍器になりそうだが......1d2程度だろうか。
「よーし、それじゃあお勉強を始めましょう!」
部屋着に着替えた母さんがそんなことを言った。まだ3歳なのだが、いわゆる英才教育と言うやつだろうか。
まあ面倒ではない。それどころか、ありがたいとさえ思う。
「えーっと、まずは......」
と言いながら教本をめくっていく母さん。はてさて、一体何から教えてくれるのだろうか。
「じゃあ、まずは<メヌー・リング>ね!」
そして、勉強が始まった。<メヌー・リング>と言うやつかららしい。
「<メヌー・リング>って言うのはこれのことよ!」
結構ハイテンションで進んでいくらしい。そして僕に見せたのは腕時計(仮)。なるほど、それが<メヌー・リング>か。
「この<メヌー・リング>は、私たち人間なら誰でも出せるものなの!出せるとっっっても便利だから、マリアも出してみましょう!」
...もう実技らしい。教本の意味とは一体...
「出し方はとっても簡単!(出てこい!<メヌー・リング>!)って考えるだけよ!」
いや、ここで考え込んでも仕方ない。素直に先生に従おう。
えーっと。来い、<メヌー・リング>よ。
スッ、と音もなく何かが手首に巻きつく。だが重さはなく、まるでそこにないかのような感触。
...なんか、結構すんなり成功したな。本当にとっても簡単らしい。
「わぁ!本当に成功したわね!一番最初っから思考だけで成功するなんて、さっすがマリアね!」
そしてさらっととんでもないことをさせていたらしい。いや、まだ僕3歳なのに何をさせているんだこの母親は。
「そして、できることはいくつかあるわ!<ステータス表示><インベントリ>が、今あなたのできることよ!」
うわぁ、まるでゲームだぁ。じゃなくて、思いっきり<ステータス表示>って言ったよね!?日本語ではないけれども!
ブォン、と音がしていつぞやに見た板が<メヌー・リング>の上に出てくる。うおっ、これか。
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[名前] マリア
[性別] 女性 [年齢] 3
[職業] 召喚師(クトゥルフ神話)
HP 10/10 MP 20/20
ーステータスーーーーーー
筋力 5
体力 5
敏捷 7
知性 15
精神 65
魔力 7
ースキルーーーーー
言語理解 Lv6
召喚 (クトゥルフ神話) LV1 (1)
魔法の才 Lv3
(<魔王>の因子 Lv100 (MAX))
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あれ?なんか前見たやつと違うような...
「その反応...まさかもう成功したの!?まだ何も教えてないのに!やっぱりマリアは天才よ!!ああ、他人からは自分のステータスは見れないから安心してね!!」
そしてさらに加速する情報量の多さ。この調子だと<インベントリ>も......あ
ブォンと、気づいたときには遅かった。
ーインベントリーーーーー
麻袋
ーーーーーーーーーーーー
あ、レストランのメニュー表みたいな感じなのね。
...この麻袋って何だろう。えっと確か、タップだったよね。
ぺちっ、と麻袋の文字を押してみる。すると文字から青白い光が溢れ出て......
目の前の本の上に、小さな麻袋が出てきた。
「ああっ!?!?」
と、奇声みたいな声が聞こえて。次の瞬間、ドサッという音。
...え、ちょっと、母さん!?
「...はっ!」
そして急に立ち上がる母さん。大丈夫なのかな...
「はあ、はあ、ふ、フフフフフフ。あ、危うくマリアの天才っぷりに驚いて気絶するところだったわ......」
いや、思いっきり気絶してましたよ。
「そしてその麻袋は...宝珠型ね。キラは武器型だったけど、やっぱり麻袋には規則性があるのかしら」
キラ...ああ、兄の名前か。いやまじか、兄の名前キラなのか。発狂ロールとかふらないように祈らなくては。
「...ああ、マリアには言っていることはよく分からないわよね。麻袋は、初めて<インベントリ>を開くとき限定で入っているもので、形が沢山あるの。あなたの麻袋は宝珠型と言って...ここからは、自分で確かめた方が早いでしょう」
そう言うと、母さんはニコニコとした表情で見守り始めた。多分、麻袋の開き方もわかると思っているのだろう。まあ分からなくもないのだが。
えっと、形自体は巾着みたいな形をしてるから......ここをこうかな。
口の部分を開く。中には、確かに宝珠とも言えるものが入っていた。
めっちゃハイテンションな理由は次回わかる………かもしれない。