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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第三章 勇魔大会狂殺
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処理⑧ 終戦

最近忙し過ぎてあんまし長く書けない...



だが次回は長い。(確信)

 そのまま右手の魔力をぶつけ...いや、避けらr



 ゴッ...



「っ!?」



 瞬間、脇腹に強烈な痛み。奴が蹴ったのだ。



「っしゃあああああ!!」



 思いっきり蹴り飛ばされる僕。その速度は音を乗り越え、まるでワープしたかと思うくらい一瞬で壁に激突した。ただ受け身は取れたけども。



 ......ィィィィイイン



 音が聞こえ、すぐにその場を離脱。3秒後には、激突箇所に大きな穴。



 修理大変そうだなあ。



「ちっ、すばしっこいな」

「あんたの方がよほど速いよ」

「そりゃそうだろ!俺は今、肉体がネコマタのそれなんだからなあ!」



 巨体で壁を走ってくる。その前に壁を掴んでいた手を離しその場を離れる。



 ...ギリギリか。まだ相手の攻撃が直線的だからいいけど、さっきみたいにカウンターを食らうのはきついな。



 遠くで奴は着地、そしてすぐさま僕の方へ。



 今はちょうど壁から離れてギリギリで突進を避けた時。緊急回避は出来なさそうなので、すぐに防御姿勢を取る。



 頭を抱え、丸くなる。ボールみたいだけど、これで心臓と頭は守r



「意味ねえよ」



 ふと、そんな声が聞こえ。



 また、僕は蹴り飛ばされた。しかも背中を蹴られて。



 背骨が変な音を鳴らす。ひどい痛みが僕を襲いながら、いくつかの家の上を滑っていく。



 背中側からの衝撃と痛みで体を反りながら滑っていたのだ、体のあちこちが屋根の瓦との摩擦で抉れていく。



 が、それくらいなら問題ない。



 煙突に右手を引っ掛けて止まる。腕に引きちぎれんばかりの衝撃が走るが、このまま滑っていく方がやばいだろう。



 痛みを堪え、なんとかして立つ。そんな僕を見ながらゆっくりと歩いてくるのは殺人鬼。



 いつの間にか体格は僕の3倍、手足は肉食獣のそれ。もはや魔獣と言っても過言ではないその姿で、まるで僕がどう逃げようと追いつけると言うかのように歩いてくる。



 ...勝てるかどうかわかんねえなこれ。戦力差がありすぎるしそれを覆す情報もないし、なんなら相手側は戦力差+ある程度の僕の情報を持ってる。



「おいおい、もう抵抗は終わりかあ?」

「そんなわけ、ないだろ。少し疲れて休憩しただけだ!」



 ここまでずっと右手に溜め込んでいた<魔力>を煙突にぶつけ、爆発させる。もちろん煙突部分は粉々になり、それが飛び散って煙幕のようになる。



「ハァン、煙幕か。なかなか頭回るじゃねえか」



 そしてすぐに靴を脱いで逃走。裸足であれば音が出にくくなって逃げやすくなるだろう。



「どこに逃げるノですか?」

「そうだね、とりあえずは...図書館かな」



 この戦いに勝つには情報が足りない。時間停止の弱点とか、ネコマタという種族についてとか、僕は何にも知らない。



 そして、この世界にはスマホなどというものはない。本で、自分で調べるしかない。



「調ベる時間、でキるでしょうか...」

「わからないけど...それでもあてもなく逃げるよりはマシだよ。身体能力は全て負けてるんだからさ」

「それナら、イスの偉大なる種族の隠れ家はドうでしょうか。あそこに逃げ込めれバ...」

「逃げ込めたとしても、ドアの隙間から時間停止して入ってきたら意味がない。むしろ危険な状況になってしまうかな」



 ただ、最終手段にしておくのはいいかもしれない。今は、あいつをこの手で殺すために動いているんだからさ。



「そウです...来マす!」

「煙幕くらいじゃやっぱり意味ないか!ショゴス!僕の顔は元に戻しておいて!」

「ワかりました!」



 顔の形が変わっていく感触を味わう余裕はなく、すぐに路地から大通りへ。



 今の時間帯はお昼を少し過ぎたあたり。まだまだ通りに人はいる。



 ...そういえば、この街の図書館ってどこにあるんだ?



 他の人に聞く余裕は...いや、あいつなら。



(クトーニアン!休憩中だろうが緊急の仕事だ!今すぐこの街の図書k)



 ガン!!!



「がはぁ!」



 くそ、若干油断していた。今の姿で大通りを歩くことを少しは躊躇うかなと思ったんだが...



 腹に蹴りが直撃。そしてそのまま打ち上げられる。



「ヒャッッハアアアアア!!!」



 奴はそのまま打ち上げられた僕に追いつき、まだ上昇中の僕に握った両手を思いっきり真下に向かって打ち込んだ。



 もちろん、そのまま僕は落下。地面にキスをする。



 一般人なら高所恐怖症になるぞ、これ。



 速度が速過ぎて受け身が取れず、うつ伏せの状態から起き上がる。



 が、そんな隙を見逃さず蹴り飛ばす殺人鬼。



 温情というものは...ないか。この世界に限っては特に。



 とは言っても、この蹴り飛ばしは少し優しい。地面を抉るような軌道ではなく、まっすぐに僕を飛ばしているからだ。



 これが、空を飛ぶ感覚なのだろう。地面スレスレだけど。



 カシャァァン!



 そんなことを考えているうちに、いつの間にか僕は建物の中に入っていた。



 ガラスにぶつかって、その他たくさんの何かにぶつかって...あ、人にもぶつかった。



 ドオォン!



 そして、建物の最奥で止まる。流石の僕とはいえども、ここまで肉体の消耗が激しいと、起き上がるのもままならない。



「大丈夫ですか!?」



 近くの人が駆け寄ってくる。いかにも司書ですみたいな格好の女性で...司書?



 周りを見渡す。たくさんの本棚が倒れていて、それは僕がぶつかったことによるものだと認識できる。



 なるほどね、たまたま目的地に来たわけだ。



「ぼ、僕は大丈夫ですから...お姉さんは、早く逃げてください...」

「全然大丈夫じゃないですよ!」



 そういって<インベントリ>から短杖を取り出す。先端に緑色の宝石が付いている。



「<解放(リース)>」



 お姉さんがそういうと、僕の体に大きな魔法陣が浮かびあがる。



 そして、僕のいたるところの傷が治り始めた。



 この感覚は...あ、前に姉さんがやってくれた<治癒(ヒル)>と同じ感覚だ。



 とは言っても<治癒>なんてお姉さんは一言も発していないから...って、そんなことを考えてる時間はないだろう。



「ほっ」

「わわっ、もっと安静にしていないと!?」

「そうしたいのは山々なんですけど...ん?」



 音が聞こえてくる。金属音だ。



 武器と武器がぶつかっている、そんな音。



「さ、先ほどこの街に魔獣が出没しまして。街の戦える人が戦闘をしているんです」



 魔獣?魔獣って...あ、あいつか。



「なら今のうちだな。お姉さん、質問あるんですけども」

「な、なんですか?」

「実は今、早急にネコマタについての情報が得たいのです。ネコマタについて書かれている本ってどこにありますか?」

「え、ええ!?こんな状況で調べ物ですか!?そんなことよりも今すぐ逃げたほうが」

「僕は逃げるわけにはいかないので。どこにありますか?さっさと言って、逃げた方がいいですよ?」



 そういうと、渋々、かなり不本意な感じでとある方向を指差してくれた。



「ありがとうございます。戦闘に巻き込まれると危ないので、早く逃げてくださいねー」



 指差された方向には、倒れてしまった本棚と散らばっている本。



 とりあえず、片っ端から表紙を見ていって...



 ...あった、<ネコマタの秘密>って書かれてるし、これなら良さげだな。





 瞬間、音が消えた。金属音が、一斉に止んだ。



 それに気づいた時には、すでに本を開いていた。だから、その攻撃をむざむざと食らった。



 またもや、背後からの攻撃。さっきまで喰らっていたのとは訳が違うほど強力。





 外に吹き飛ばされるが、目の前には殺人鬼。



 手に生えたとんでもなく大きな爪によって、思いっきり切られる。



 ズバァ!!



 ただ、切られたとしてもすぐに治る。ショゴスが直してくれるからね。



 問題は、本ごと切られたことだ。



「!?」

「残念だったなあ。俺の弱点でも探そうとしてたのかあ?」



 当たってるよ畜生。すぐに左手で切られた本を拾う。



 バラバラで、もう本としては機能しないだろう。それでも一応読んでみる。



 が、それを確認して思いっきり殴り飛ばすのが殺人鬼である。



 吹っ飛ばされる僕。だが本は離さない。今のところ情報を得るための一番の近道だからだ。



 ただ...ここまで粉微塵だと僕には読めないな。



「ショゴス、重要そうな情報があったらすぐに言って」



 そういうと、左手が本を包み込んだ。手の中に本があって、変な感覚を味わう。



 そして、奴もやってくる。



「まだ死なねえのか。(ラダ)の<ダンジョン>を周回してるような奴らはもう何十回も死んでるんだがな」

「あいにく、僕は生き延びるためにはなんだってする生き物でね...」

「マ、マスター...」

「ま、いいや。さっさと死ねや」



 どこからともなく聞こえてきた声が途切れ、上から奴が降ってくる。



 もちろん避ける、が足に掠める。その衝撃は、自分の体を地面に叩きつけるにはとても十分で。






 そして同時に、もう一つの意味で僕には衝撃が走ったのだ。



 半透明の左腕の中で並べられた紙切れ、その全容を見たのだ。



<なぜ、人間が獣の耳や尻尾を持っているのかはわからないが...少なくとも、元となった獣と人間のハーフが先祖であることは間違いないだろう>

もしやしなくても...です。

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