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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第三章 勇魔大会狂殺
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処理⑦ 処理

ほんのちょっと短め。

 剣と魔法と短剣2本が交差する。1秒に何回も。



 顔の前で鍔迫り合いをしているかと思えば背中側から飛んできた<氷槍>を撃ち落とす。



 遠距離で魔法をよけていたかと思えば、今度はいつの間にか超接近戦に突入する。



 これが...戦闘のプロが行う動きか。僕には到底できそうもないな。



 カカカカカカキン!



 文字通り火花が散っている空中は、さながら花畑のようで。しかし、その花畑は触れれば一瞬で切り落とされるとんでもない危険地帯。



 離れてみている、いや厳密にはみている他にやることがない僕は、それを眺めていた。ショゴスを待ちながら。



「持ってキました。再生作業ヲするので、少々お待ちくださイ」



 お、これから再生が始まるらしい。というのも、今の僕は4分裂している状態。



 頭と胴体をそれぞれ真っ二つにされたのだ。むしろ、なぜ自分は生きているのだろうか。主人公補正とか、もうそういう次元じゃないような気がする。



「そうですね...一番の原因はクタニド様の眷属になったことカと。マスターはご自身のスキルを確認シましたか?」



 まあ、一応したよ。[眷属(クタニド)]も確かに持っていたけど...でも流石にこれは有り得なくないか?



 だって、ねえ。頭すら半分になっているのに冷静に物事を考えられるし、バラバラになった体の全ての感覚がまだ残ってるんだから。



「それハおそらく(ショゴス)を限定的とはいえ取り込んだからかと」



 ど、どういうこと?



「私はたとエ自分の体がどこにあろうと関係ありません。自分の体なのであればそれを操ることがでキます。これはショゴスという種全体におケる要素であり、ショゴスが真っ二つになった程度ではびくともしないのはそういう要因がアるからです」



 ほ、ほうほう。つまり、その要因を僕が取り込んだから、ショゴスと同じように物理攻撃程度ではびくともしなくなったと?



「アくまでも可能性ですが、それでモその可能性は高いはずです」



 おお...なるほど、確かににショゴスは物理攻撃ではびくともしない。基本的に魔法あるいは炎か何かで体を消滅させるような攻撃をしなければ有効打にはならない、という作品(クトゥルフ神話)の方が多い。



 で、僕は左手を使ってシュド=メルに対して<魔力解放>を行ったその時に、無理やりリーチを伸ばすためにショゴスの体で左手を作ってそれを僕の左腕として動かした。その時、確かに僕の体にショゴスの体が馴染んだ時があったけど...



 でも、本当に左手だけよ。体全体になるのはちとおかしいのでは?



「確かにそれだけではおかしいでスが、あの後マスターは今目の前で戦っている者の手によッて死の淵に立ちました。クタニド様と出会えタのはそのためでしたよね」



 まあ、そうだね。



 あいつの毒によって、母さんは殺されて僕も殺されかけた。



「あノ時、ミ=ゴは毒抜きを行いマした。体内で無力化させたのですガ、行ったのはそれだけデす。ツまり、毒によって傷ついた体はクタニド様しか触れていないノです」



 うん、サラッと言ってるけどミ=ゴはあの致死毒を無力化させてるのね。さすミゴだな。



「そうですネ。ですがあくまでも体外の機材によっテそれは行っているので、再生治療なドは全てクタニド様が行ったのです」



 お、胴体が元通りになった。あとは首をつなげるだけか。






「たダ、おそらクなのですがこの時に私とマスターが融合してしまったのです」



 ん?融合?まさか、取り込むってそういうこと?



「はイ。一度ごちゃごちゃにかき混ぜらレた感触が一瞬だけありましたので。毒が消えてボロボロになった体を人間として作り替えることで体を回復サせたのかと思います」



 .........?ちょ、ちょっと待って、考える時間をくれ。



 ......



 ......



 ......



 ......えっと、つまり、だ。例えるなら、齧られて商品として機能しないレーズンパンを、レーズンごとこねることでパン生地に戻した後、パンとして整形して焼き上げレーズン味のパンにしたと。そういうこと?



「そういうことですね。どうやってパンをパン生地に戻すのかがわからないのも全く同じです」

「...あ、あ。ゴホン、だろうね。僕も全く想像がつかないわ」



 首が綺麗に、傷ひとつなく接合されて、僕は声を取り戻した。



 ここまでどうやって酸素を得ずに脳か活動していたのかは議論の余地があるだろうが今はしない。



 軽く足を動かす...うん、全然問題ない。



「とはいってモ、私の体は私の体でアりマスターはマスターです。マスターの意志のままに体を変形さセることなどはできませんから、そコだけご了承ください」

「わかってるよ。僕もそこまではしないよ...今は、ね!」



 そのまま跳んで奴の元へ。まだ再生したばかりだというのに、僕の体は軽く、あっという間に辿り着いた。



 そして、思いっきり頬をぶん殴る!



「ふん!」

「な、うがっ!」



 思いっきり吹っ飛ぶ殺人鬼。しかし、すぐに受け身をとって体勢を戻してくる。



 ま、この程度じゃびくともしないよね。



「...本当に...あの状態から、復活したんだ...」

「あはは...僕も信じられませんけどね」



 そんな会話をアナさんとする。余裕が少しだけある証拠だ。



「クソが...一体どうやって、あの状況から生き返った...?」

「まあ、お前は知ることはないだろうさ」



 そして奴が話しかけてきた時に思いっきり飛びかかる。



 今の僕は絶好調。スタミナは完全回復しており、ずっと追いかけていたあとの回避とは比べ物にならないほどのスピードで詰めることができる。



 もちろん、殺人鬼はそんなこと知らない。だから、予想していた突進の数倍の速度で近づいてきた僕に驚いていた。



 ぶん殴ったあとすぐに魔力を溜めていたために準備は整っている。あとは...当てるd



「...っ、危n」





「なら、無理やりにでも知ることにしようか」

「っ!時間停止か」



 グシャア!



「...あ?」



 真後ろから、肉体の弾け飛ぶ音。まるで何が起こったかわからないけど、とりあえず振り向く。



 ...何もなかった。いや、燕尾服の奴はいてその足元には血溜まり...そして、奥に、アナさんがいない。



 で、僕の体には傷はない...



 ...内部に傷は...



「ナいですね。あったとしてモ、内臓の1つや2つなラ私が治しています」



 てことは...つまり?






 瞬間、目の前の男に異変が起こる。



 体が急にぐしゃりと中央に向かってひしゃげたかと思うと、服が弾け飛んで裸体が露わになる。



 が、その裸体には次々と体毛が生い茂っていく。黄色く、ただただそれは不気味で。



 いつの間にか、手や足は人のそれではなくなっていた。まるで......



 そして、最後に猫の耳と尻尾。それが生えてくる。



 ...そう、言うなれば、>ジャガーマン<。猫科の人間と言ったところだろうが。



「かかか!これはいい!ネコマタ特有の[猫目]と[身体狂化]!そして圧倒的高ステータス!しかも!こいつは上玉だな![猫神の加護]っつう見たことのねえスキルまで持ってやがる!」



 ......もはや、何が起こったか考えるまでもない。が、それでも聞かなきゃならない。



「一体...なにをした...」

「おこか?おこなのか?まあそりゃそうだよなあ、目の前でお友達が[吸収]されちまったんだからなあ!」



[吸収]。聞いただけでなんとなく理解できるが...つまり、僕がショゴスを取り込んだのと同じようにやつも取り込んだのか。



 だから、おそらくネコマタという種族の特徴なのであろう猫耳と猫尻尾が生えている。毛深かったり筋肉の怪物みたいなのは<変異>に近いところがあるのかもしれないが、今はそんなこと関係ない。



「...母さんを2度も奪って、そして母さんの友達まで奪った...」

「おう、そうだな。で?」



 もはや何も言わず、僕は奴に飛びかかった。

ネコマタとは、とある森にて暮らす種族のことです。



人間+猫みたいなもので...ん?

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