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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第三章 勇魔大会狂殺
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受注生産限定版

今日は短めです。



いかんせん体調不良だったもので......

「ま、間に合ったかな!?」

「もう夕方ですけどね」



 太陽が落ちて世界が赤く染まる頃、ようやく会館についた。



 が、その会館はシウス王国王都のものとは違い、酒場というよりかはテイクアウト専門店みたくなっている。



 中に入っても、それは同じ。誰もお酒を飲んでわちゃわちゃしていない。むしろ受付嬢らしき人以外誰もいない。



「街が違うだけでこんなにも様子が変わるんだ...」

「復興前っていうのもあるけどね、1番の理由はここが神聖皇国の領地だからさ」

「土地柄、ってことですね」



 ということは他の国の領地だとさらに変わるということか。なるほどね。



「さて。イネイサ!」



 とメアリーさんが言うと、受付嬢...イネイサさんがメアリーさんの方を見た。



「......」

「ここに1回も<クエスト>を受けたことのない女の子がいるから、それに見合ったちょうどいい<クエスト>を受注したいんだけどあるかな?」



 こちらを見るイネイサさん。一応頭を下げてお辞儀をしておく。



「...同伴は?」

「私たち。ただこの子は相当の実力者だから、変な<クエスト>じゃなくてもいい」



 とアナさん。確かに神話生物らのおかげで強いけどね。なんでもいけるってわけではない。



 今までやってきたことだって、僕自身は結構ギリギリだからね。



「...君」



 イネイサさんは僕と目を合わせて話しかけてきた。



 長い前髪で目が隠れているけどね。なぜか目が合ったことだけはわかった。



「なんでしょうか」

「...同伴、増やしてもいい?」

「は、はあ?」



 同伴を増やす?えっと、多分メアリーさんとアナさん以外にもついてくる人がいるってことだよな。



 まあ、別に僕は...いやダメだな。神話生物を見て発狂でもしたら困る。



「うーん、できれば増やしてほしくないです」

「...わかった。それならこれかな」



 と言って僕に一枚の紙を飛ばしてくる。



 一直線で綺麗に飛んでくるそれを掴むと、それはどっかで見たことのある紙だった。



<クエスト>:<コリアン草>採集



 ...採集。いかにも簡単そうなものだけど、どうなのだろう。紙を覗き込んでいるメアリーさんたちの反応は...



「こ、<コリアン草>!?」

「(開いた口が塞がらない)」



 な、なんか怖くなってきたぞ。採集って基本簡単というイメージがあるのだけど。



「た、確かに基本はそうなんだけどね...」



 え?<コリアン草>だけは例外、的なそういう感じのやつ?



 という疑問の思考に首を縦に振るメアリーさん。



「...あなたたちがいれば怖くないでしょ。そんなに<色別階級>が高いわけでもないし」

「それでも(ジン)だよ!?」



 緑って、確か上から5番目だっけか。



「なんかそんなに高くないようn」

「「高い」」

「そ、そうなんですか」



 下から6番目っていえばちょっと高そうに感じるけど、それでもなんかなあ。



 メアリーさんが言っていた<コボルド>が出てきたあの<ダンジョン>の<色別階級>が緑、つまりは<魔力解放>さえすれば楽勝の領域。



 ...本当はしたくないんだけど、ここまでそんなこと言ってる場合ではなかったからな。それでも周りに人がいる状況ではなかった。



 ただ、メアリーさんとアナさんに見せてもいいのかと問うとね。否でもあるし是にもなるんだよねえ。



 というかメアリーさんは是でアナさんは否だ。理由なんて考える必要すらないだろう。



「まあ、僕はやっても問題ないとは思うけど...」

「...受注を受け付けたわ。ちなみに<コリアン草>は真夜中の方が探しやすいの。場所までの距離的に今出ればちょうどいいと思う」

「早!?というか、私たちの意志は!?」

「...」

「なんで答えないの!?」



 嘆くメアリーさん。しょうがないね、世界は時に残酷なんだよ。



 ============================================



「む、<クエスト>か。ならここに入る時に<クエスト>を受注した時にもらった紙を見せるといい。通してやるからな」

「わかりました、お仕事お疲れ様です」



 そんな会話があってから30分ほど。ついに空は夜の帷を下ろしてしまった。



 メアリーさんたちが持ってたランタンがなかったら道中すら危なかっただろう。



「こういうの、必要だから本来は行く前に用意するの。今回は時間がなかったから買いに行かなかったけど、次からは買った方がいいわよ」

「はーい」



 とかの他愛ない会話をしながら歩を進める。暗いから怖い、ということではないが魔獣がどこから襲ってくるのかわからない以上、警戒を怠らずに程よい雰囲気で進める最善の方法だ。



「そういえば、僕6歳児なんですけども。睡眠って大丈夫なんですか?」

「大丈夫。6歳ならすでに深夜に起きていても補導されることはない」



 その常識はおかしいよなあ...などと考えたり。



「うーん、あの森って私いい思い出ないんだよねえ」

「トラウマ乗り越えないとすぐに死んでしまうよ」



 物騒な話を聞かされたり。



「こんな可愛いのが強いんだ...」

「メェー!」

「あ!撫でたら鳴いてくれた!」



 可愛いを存分に楽しんだり。



 そんなことをしてたらいつの間にか鬱蒼とした森に入っていた。



「暗っ」



 つい驚いてしまったけど、これは本当だ。



 夜の森なんて前世では入ることとか一切なかったけど、なるほど。これは確かに危険と言わざるを得ない。



 先頭にいるアナさんが持っているランタン。大体10m前後は照らしているとても強いもので、そのためかアナさんはサングラスをかけていた。



 が、森の中ではそれを外している。そしてランタンは足元がギリギリ見えるレベルにまで弱体化している。



「<深森>。この世界のところどころにある場所だけど、まだまだ慣れないね」

「慣れなきゃいけないんだけどね」

暗い森に3人の乙女。



何も起こらないはずもなく...

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