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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第三章 勇魔大会狂殺
104/402

みんないなくなれば解決。

投稿済み小説の管理ページ。

100話超えると2ページに分割されてちょっと面倒。

 目を覚ます。寝た記憶が全くないので飛び起き、



「あでっ!!」



 天井に頭をぶつけた。痛い。



 うーん、ヒリヒリする。なんで僕がこんな目に...と、思いつつも周りを見渡す。



 そこは室内のあらゆる壁、天井、床に機械的な線が走り、その間を光が通り...ってここあれだな、イスの偉大なる種族に提供してもらっている女性部屋だな、うん。



「お、起きたね」



 聞こえるのは女性の声。下の方を覗くと、そこにはメアリーさん。



 というか、これ3段ベットか。部屋に入った時点では全く気づかなかったけど、もしかしてイスの偉大なる種族が用意したものかな。



 改めてベットを調査してみる。確かに木材ではなく金属でもなくプラスチックですらない何かの物質でできているのは触った感じで確定したし、おおよそ僕がなんかして寝た時にここに出したとかそういう感じだろう。



「ああ、メアリーさん。おはようございます...」

「おはよう。いやあ、あはは。昨日はごめんね。君はまだ6歳なのに、いつもなら君が寝る時間まで楽しんでしまった」



 そういや僕は6歳だったな。もはややっていることが青年レベルまで年を重ねた大人がやることばかりなもんで、こうやって意識しないとすぐ忘れる。



 うんマジで......全身火傷とか、どうやったらそんなことになるんだよ、しかもなんで生存してるんだよって感じだしね。



 まあ、神話生物が目の前にいるのに全く発狂しないのは僕もおかしいなとは思うけど。普通の人、しかもこの世界で魔獣と戦いながら暮らしている強い人たちまで神話生物が本気を出せばあっけなく失神するのに、だ。



 ...まあいっか。今考えることではないだろう。



「大丈夫ですよ。精神年齢は大体20歳なので、メアリーさんとあまり変わりませんから」

「そんなこと言って、実際は1日が終わったタイミングで既に寝てたわよ?」

「そ、そうなんですか。へえー...」



 なんだろう、だいぶ思い出してきた。



 確かたくさんのお肉を食べて、お腹が膨れて、眠くなったんだったか。



 で、メェーちゃん抱いて路上の端っこで座った。とこまでは思い出したから多分このタイミングで寝たな。



 まあ最後に寝た時からだいぶ長い戦闘を行ったし、ショゴスが悪いわけじゃないが空を飛んでいるドラゴンの背で熟睡できる生物はそう多くないだろう。



 結果として、疲れが溜まっていた幼児は寝てしまったわけだ。しょうがないね、6歳児だもん。



「でも、6歳で生死の境を彷徨う世界なのは流石におかしいと思うんです」

「生まれた時から、よ。今回の<イベント>では街の人々、とはいっても全然戦闘はできるはずだけど、そこから死者が出なかったのは数年ぶりだし、赤子が生まれて初めて且つ最後に見た顔が魔獣、なんてことは日常茶飯事よ」



 鬼畜すぎんか、この世界。明らかに魔獣が強すぎると思うのだが。



「ええ...」

「まあこれでも昔よりかはましなんだけどね。そもそも産ませてすらくれなかったから...」



 すん、と少し悲しげな顔になるメアリーさん。これは...話題を変えた方が良さそう。



「ああ、いいのよ。昔の話だし、今はそんなことで思い耽っている余裕はないからね」

「そうですか...」

「それじゃあ、とりあえず朝食をとりましょうか。と言っても、昨日の夜ご飯がとても重いから食欲はないかもしれないけどね」



 ============================================



 気まずい空気、その中でのトーストはまずいわけではなく美味しいわけもなく。そりゃそうだ、急に暗い過去が話題に上がってしまったのだから。



 あとそろそろ僕はメアリーさんとの会話を覚えるべきだ。彼女は神話生物と同じで、心を読めるのだから。



「あー、そういえばお肉を食べる前にはぐらかされた<イベント>について教えてもらっても?」



 とりあえず会話をしよう。朝食は皆が明るい状態で食べるべきだ。



 まあ、僕しか食べていないけども。他のみんなは既に食べ終わり、<勇者>は<クエスト>を受注しに向かってるらしい。



「そうね...<イベント>はある特定の条件で発動する事象のことを指す、だったっけ?まあ天気みたいなものだと思ってもらっていいわ。だからまあ中には<イベント>を天災と呼ぶ人たちもいるんだけど、まあそれも正しいわね」



 天気、か。なんかすごい大雑把だけど、いわゆる突発的な何かってことでいいのかな?



「実際、特定の条件下って言ってもね、その条件になったらすぐ発動するものもあれば、全然発動しないものもあるから不明な点も多いの。条件に関してもわかりやすいものとわかりにくいものの二種類があって、わかりやすいものだとケノセス草原の<復讐劇>とか、わかりにくいものはここでちょっと前に行われた<収穫祭>とかだね」

「あの、名前ってどうやってつけられているんですか?」

「人間が、自分たちでつけてるよ。そんなにガンガン増えるわけじゃないんだけど、<ダンジョン>も<イベント>も最初にクリアした人たちがつける暗黙の了解ってやつがあるんだ」



 なるほど...あの草原の悲劇、あれも<イベント>なのか。



「あ、そういえば校長先生は確かに<イベントボス>って言ってた」

「>タイタン・オブ・ヴェンジェンス<たちだね。あいつらはバルバトスから見たらそこまで強くないはずなんだけど、<終焉世界>を使ったって言ってたし、もしかすると<変異>でも起こったのかな?」



<変異>...ってなんだっけか。なんだかんだあって僕は変異について何も知らない気がする。



「<変異>は魔獣がなんの予兆もなしに強い魔獣へと生まれ変わってしまうことを指すの。それによって起こる被害は数知れず、人間が誰も住めないほど汚染された、または周りの魔獣が<変異>してしまった<生存不可地域>も基本的に<変異>が原因で増えるわ」



 つまり魔獣の突然変異ってことか。なるほどね。



 で、確かそれが(セル)の方でよく起こっていると。



「やばくないですか、それ」

「やばいわ。めちゃくちゃ。でも、私たち人間が魔獣の<変異>を止める方法は今のところ存在しない。確か<召喚獣>にした魔獣は絶対に<変異>しないって言われていて、今も実験が行われているけどそもそも魔獣は自然発生するものだからね」



 自然発生するもの、それが僕ら人間の生活を脅かす。



 まさに天災という別名にふさわしいと言えるだろう。実際前世でも予測はほぼ完璧だがそれでも被害を0にすることはできなかったし。



「天災、それなら仕方ないで済ませて対策を練るしかないですね」

「まあその対策案で一番マシだったのが、自分たちが強くなることだったんだけど」



 .........ふむ、まじか。



 それが最善案て、どれだけ対策案を考えた人たちは脳筋だったんだ。じゃあお前は思いつくのか、って言われると困るけど。



 魔獣が自然発生しないようにする、いわゆる沸きつぶしなんて世界規模でできるわけもなく。むしろそんなことをしたら人間の住む場所がなくなってしまう。それは本末転倒というものだろう。



「<イベント>の話を戻すけど、<イベント>は基本的に自然発生するものは少ないわ。<変異>と違ってそこは良心的だし、<変異>以上の危険性をも孕んでいるのだけどね」

「ということは、もし<イベント>で街が消滅したら......人災?」

「そうとも言えるわ。過去に故意的に発生させられた<イベント>で国1つが滅亡寸前まで追い込まれたからね、<イベント>は絶対に一定の水準以上の存在のみが、最も近くの国に対して申請しそれが通ったのちにようやくできるようになるの」



 セキュリティがすごいことになってる。相当被害がひどかったんだろうな...



「水準、ってどれくらいですか?」

「そうね...<色別階級>で(コー)以上の<ダンジョン>の<ダンジョンボス>を倒した者、かな。ああ、バルバトスは今でも(シー)までなら単独攻略できる強さを保ち続けてるから、国に申請しなくても使用が認められているわ」



 そしてまた僕の中で校長の強さが一つ上がる。



 ...念のため聞いておくか。




「ちなみになんですけど、僕が入学するときに攻略させられたあの<ダンジョン>とか、いつの間にかいた<コボルド>の<ダンジョン>って...」

「前者が(ペウ)、後者が(ジン)。ちなみに<イベント>にも<色別階級>があってね、ケノセス草原の<復讐劇>は(コー)なのよ」

「校長は僕に理不尽なことをさせていたんですね...」



 ぶっちゃけ僕にはあいつらの強さの違いが何一つ理解できない。どっちも強かったし、巨人たちに至っては倒してすらいない。



「まあ深く考えなくていいわ。死ぬ危険性があるのにほとんど利益がないのが<イベント>、<ダンジョン>と違って物好きしか使わないから」

「その物好きが身近にいるのですが...」

「あいつは...諦めなさい」

「ええ...」

校長はマジで強い

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