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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第三章 勇魔大会狂殺
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同一人物=別人

絶対等式が成り立たない式第666位

「...とまあつまり、<魔王>である僕が初めて<勇者>であるソルス・バミアとあった時、且つお互いに敵であると認識したのがシウズ王国の<ナイル&ホテップ商店>だったわけです」



 思えばあの時の興奮を未だ忘れられていない僕も僕だな。初めて知らない人とお店に行って、初めてナイルラトホテプと邂逅し、初めて敵と出会った。



 むしろ興奮しない人間なんているのか怪しいけども、だからとてそれを覚えている者も少ないだろう。



 まあ、



「そ、そうなんだね」

「......飽きた」



 こんなになるまで話し込んでしまったのは流石に悪いことだけども。



「でも、ここはメッキョの街でしょ?たくさんの支店がある<ナイル&ホテップ商店>の一つであるシウズ王国王都支店で出会ったのはわかるけど、このメッキョの街支店の店主と仲がいいのはちょっとわからないというか...」



 ふむ、それもそうか。確かに彼女らは店主が<ナイル&ホテップ商店>全てにおいて同一人物...いや違うのか?



 まあいいけど、とにかくそれについて知らない。知っておいた方が後々僕のためになるかどうかはわからないけど、うーん。



「店主さん、どっち?」



 一応聞いてみる。多分利益不利益があるのは店主だけだしね。



「そうですね...少し他の者と相談しても?」

「いいですよ」



 すうっ、とまるで空間に溶け込むかのように消えていく店主。



 うーん、本当に敵じゃなくてよかった。



「...これでも[気配察知]は鍛えたんだけどな。アナはどう?」

「私にももう感知できない......相当の実力者」



 へえ、[気配察知]なんていうスキルもあるのか。



 あれかな、空気の流れとか体内の<魔力>で察知して...みたいな。



「あんなのが味方なんて...やっぱり<魔王>って只者ではないのね」

「いや、味方じゃないよ。むしろ敵だと僕は思ってる」

「え?でもさっきは敵じゃなくてよかったって...」



 まあ確かにそう考えているけどね。



「あの生き物は敵。だけど敵じゃない。信用に値する生き物だけど、それと同等に信用してはいけない」

「え、ええと?」



 どういうことか理解できていない様子のメアリーさん。



 まあそれもそうだろう。言っている僕だって理解できていないのだから。



「まあ少なくとも今は攻撃してこないよ。()()

「含みがある言い方...一体あなたは何を」

「お待たせしました」



 お、きたな真犯人。



「失敬な。私はあなたの誘拐事件に一切関わっていませんよ」

「前世?今世?」

「来世、って言ったらどうします?」

「よし、メアリーさんたちには全てお話しするとしよう」

「「?????」」



 ============================================



「.........というのがクトゥルフ神話生物の概要と、その中でも最も悪質とされるニャルラトホテップの概要です」

「うん、何一つわからなかった!」

「......理解してはいけない類の知識なのでは...?」



 おっと、アナさんが神話の深淵に到達しておられる。



 そう、理解してはいけない禁忌の知識、それこそがクトゥルフ神話なのです。



「御理解」「いただけ」「「ましたか?」」

「人格を同時に出現すな」



 でも無駄にこういう所が器用なのがむしろ安心できる。なんと言えばいいか、ニャルっぽい。



「でしょう?魔王様も、今後ともご贔屓にお願い致しますよ?」

「それはもちろん。今のところ、唯一完全に信頼出来る商店だからね」



 どう足掻いてもこいつはこいつ。あらゆる敵の味方であり全ての味方の敵であることに変わりない。



 ...そういう目で見るのであれば、なるほど。確かに商店というのはナイルラトホテプにピッタリのような気がするわ。



「さて。そろそろ奴隷商の方々もいなくなったのでは?」

「あ、あれが奴隷商ってやつなのか」

「知らなかったんだ...」



 そりゃまあ、奴隷なんてやったら首が飛ぶ世界から転生してきたからね。あんまり奴隷制度に関して現実味がない。



 ...なんだっけ、確かどっかの盗賊に拉致られた時に奴隷の子も混じってた気がする。



「あれ?奴隷って奪って何か得することあるのかな?」



 ふとそんなことを言ってしまう。僕の知る限り、奴隷というのは労働なんてできないような存在だ。



 確か...あの時の奴隷の子は僕よりも一回り幼い子だったはずだし、奪っても何も...



「世の中、幼女趣味を持っている人間もいますしねえ。それに、確かその子は暴走している状態ではありますが<[鑑定]眼>を持っていたはず。うまく扱うことができれば荒稼ぎが可能ですし、そもそも一部の国以外では奴隷は禁じられていますから、それを出汁に金を絞れるだけ絞るのもいいんです」

「なるほど...」



 さすが商人、頭の回転が違う。



 基本奴隷が禁止されているのは知らなかったけど、それらは全て少し考えればわかることではある。



「...ん?でもなんであんたがその奴隷が<[鑑定]眼>を持っているって知っているんだ?」

「その奴隷の知り合いとのお付き合いが他の人格で少々ありまして。その記憶を引っ張ってきただけよ」

「ああ、そういうこと」

「...人格毎に実態が存在するって、そういうことなのね」



 それなら問題はないな。



「で、そろそろ営業妨害にしてもいいのですが」

「あ、すみません今出ます」



 ============================================



「...どうだ、マリア・ヒルドは安全か?」




「安全じゃなかったら今頃俺はあんたのその斧で真っ二つだろうさ」




 "オイオイ、とんだ危険人物扱いじゃねえか!!こいつはきっと面白くなりそうだなぁ!!"




「黙っておけ、<終焉世界>」




「で、あんたはどーするんだ?さっさと帰らねえと、かわいいかわいい我が子が...」




「リーシャは現在外出中だ......だがもうそろそろ帰る頃合いだろう。目的は果たしたからな、すぐに帰る支度を始めるさ」




「土産は?」




「......忘れていたな。いい店を知っているか?もちろんチェーン展開している店以外でだ」




「なら<ニャル&ホテプ商店>とかどうだ?最近この近くにオープンしたって聞いたぜ」




「............」




「どした?悩み事か?」




「...いや、なんでもない。その店に案内しろ」




「イエッサー!と、言いたいところだが今は営業時間外だ。ちょうど隣に<ナイル&ホテップ商店>サマナル諸島本店があるからそっちに案内するぜ!」




「ところでだ、<終焉世界>。ここ数年お前を使う機会がだいぶ減っていたからな、久しぶりに空振りをしたいのだがちょうどいい的はいるか?」




 "おう!!それなら目の前にちょーどひまそうなやつが...っと、逃げやがったか。ダッセーなあ、あいつ"




「どんな生命体であろうと、命の危機は感じたら逃げるもの。俺も昔は魔獣との戦闘から逃げ出したことがあるしな」




 "でも今は、<伝説の20人>に数えられるほど強え!!"




「昔の話だ。<サマエル海老>200体くらい、若い時は瞬きほどで殺していたからな...」

悪徳商法、<ナイル&ホテップ商店>。



もうすぐルルイエ本社も動くとか動かないとか。

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