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第七十九話~候補~


第七十九話~候補~



 惑星フィルリーアが所属する惑星系より離れ、到着したのは銀河の南部にある民主的な国家となるラトル共和国。その辺境地域に存在する、ステーションコロニーであった。





 ある意味でお上りさんよろしくの状態を脱した俺たちは、無事にギルドの建物へと到着していた。あのあとは気持ちを入れ替えてしっかりと警戒していたこともあって、あの手のやからから接触されることはなかった。全くなかったわけではないが、近付かれる前に牽制したので、目に見えるような形とはならなかったというのが本当のことである。

 やはり、辺境地域ということもあるのか、いささか治安が悪いのだろう。その意味でいうと、斗真や悠莉が警戒したのは正しかったのかも知れない。もし千人近いお上りさんの大集団を抱えていたら、幾ら何でも対応しきれない。もしかしたら誰かさらわれた……などと言うことも十分あり得るのだ。

 とはいえ、そのような事態にはならなかったのだからここはよしとしようぢゃないか。

それよりも今は、ギルドの建物へ入ることにする。というか、入り口近くで十人もの人間が突っ立っていても邪魔でしかないからだ。そのまま建物内に入ると、そこは荒くれ者の集団がたむろする……などというようなことはなかった。

 フィルリーアの冒険者ギルドのように、建物内に酒場があったりなどいったことはない。代わりに窓口らしきものが幾つかあり、椅子に腰を降ろして待機する為なのだろうか長椅子が幾つかあるといった感じなのだ。


「うん。役所だな」

「そう言われてみれば、そんな気もするなぁ」

「確かに」


 目の前の情景を見て、俺は率直な感想を漏らす。受けた印象は、間違いなく役所のそれである。大分未来的に洗練されているが、まず間違いないだろう。それは祐樹や俊も同じだったらしく、俺の漏らした言葉に同調していた。

 その一方でシュネやセレン、そして舞華はというと俺たちと違っていた。彼女たちも俺たちと同様に気を取られていたが、それは一瞬だけである。既に次の行動へと移っていて、彼女たちは揃って受け付け窓口の案内板を見ていた。

 そんな女性陣の行動に、市役所然としていた情景から解放された俺たちも慌てて案内板の方へ向かう。その際、見慣れていないからかまだ呆けているオルとキャスの兄妹とサブリナを連れて行くのも忘れなかった。

 一足遅れた俺たちがシュネたちのところに近付くと、シュネが振り向く。それから視線で、向かう窓口を示した。その仕草に頷くと、合流してその窓口へと向かう。向かったのは、ギルドに所属する為の受け付けをする窓口だった。

 ギルドは、銀河内に点在する国家と提携する国際的な民間機関である。前に述べた事業を国家などの公的機関と民間人との間に立ち、もしくは民間同士の間で介在することで、円滑に執り行うことを仕事としているのだ。

 当然だが慈善事業ではないので、仲介料のような物は徴収している。ギルドメンバがー仕事を受ける際や、ギルドに依頼をしてくる顧客の依頼料にそれは含まれていた。

 またそれらとは別に、やはり前にも言った通り情報も取り扱っている。俺たちは幸運にもこの地に当直するまで会わなかったが、宇宙には賊がいる。山賊や海賊よろしく、宇宙を航行する船を襲って物資を強奪したり人を拉致したりする者たちである。そんな集団が、大小さまざまな規模でいるらしいのだ。

 そう言った賊……宙賊というらしい……そんな奴らの情報や目的地の表向きの治安状況。他にも高値で売れそうな売買品の情報など、様々さまざまな情報を手に入れることができるのだ。

 因み宙賊の情報だが、こちらに関しては基本ただである。より詳しくとなるとその情報の内容によって金を請求されるが、どの辺りに宙賊の目撃情報や遭遇情報あったのかという程度の情報であれば金を請求されることはない。運送などの仲介も行っているギルドとしても、何も手を打たずに襲われましたではお話にならないからだ。

 それと危険度に関して言えば、別に基準となるものが存在している。それは、宙賊に掛かっている賞金だ。宙賊は治安を乱す存在なので、国家などの公的機関から賞金が掛かるのだ。基本的に賞金額が高いとより危険な存在となるので、賞金額を把握していれば宙賊の危険度は大体わかってしまう。中には狡猾な奴もいるらしく、危険度と賞金額が釣り合っていないなどという宙賊もいるらしい。しかしながらそんな宙賊はまれであり、大体賞金額と宙賊の危険度は妥当なものとなっているのだそうだ。

 なお、宇宙を往く船乗りの中には、専門的に賞金首を狙うバウンティハンター、いわゆる賞金稼ぎも少なくない数いる。実際、ギルドのメンバーは、運送の途中で宙賊から狙われることはほぼ当然と言ってよく、半ば賞金稼ぎと言ってもいい。だが、先述べたような賞金稼ぎを専門的には行っていないので、あまり名乗ることはないとのことである。以上が受付をしたあとで、説明されたことであった。


「これで、俺たちもギルド所属か」

「国家間移動でも、ギルドが身元を保証してくれるから楽と言えば楽よね」

「この辺りも、冒険者ギルドに似ているよな」

『確かに』


 俺たちは元々もともとの目的通り、全員がギルド所属となっている。実はギルドだが、所属するのに煩雑はんざつな手続きはいらないのだ。ギルド側も出自は問わないときているし、詮索もしない。唯一、彼らが問題としていのが犯罪履歴となる。つまり過去に犯罪を起こしていないのならば、それ以上は追及されることもなく普通にギルドに所属できるのだ。

 この辺りの情報は、各国と提携しているギルドならではといえるだろう。引き換えにギルド側も、各国へ犯罪者の情報は提携しているので持ちつ持たれつと言った感じではあるのだが。まぁ、その辺りは言わぬが華というやつなのかも知れないな。



 無事にギルド所属となったわけだが、まず欲しいのは情報だ。特に欲しい情報は二つあり、一つ目は宙賊など賞金首の所在となる。彼らは拠点でもない限り、一つ所にそれほど長く滞在しないことが多いらしいので所在の情報など当てにはならないこともある。だがそれでも、知っていると知らないとでは雲泥うんでいの差があることに間違いなかった。

 そしてもう一つ、寧ろこちらが最重要なのだが、居住可能な惑星系についてである。実はギルドで手に入れられる情報の中に、まだ未入植の惑星系情報というのがあるのだ。これは、居住可能惑星自体は発見されているが、殆ど手が付けられていない惑星系のものとなる。さて、何ゆえに未入植なのかというと、いわゆる費用対効果が大きく関与していた。

 そもそも、新規惑星の開拓というのはそれが今いるラトル共和国であろうが、クルドの母国となるアーマイド帝国だろうが、それ以外の国であろうがあまり行われていない。何せ金と資材と人材が必要であり、既に複数の惑星系を内包している大きな国家ではあまり魅力を感じないのだ。

 とはいえ、勢力範囲が広がること自体は悪くない。そこで彼らは、民間に主導させることにしたのだ。これならば国家の力を使う必要もないし、たとえ入植に成功して国家なりを成立させても所詮一つの惑星系でしかないので問題とならない。

 また、新たに入植を成功させた側としても、余程潤沢な状況でもない限る近隣の主要国家を頼らざるを得ない。そうなれば自然に影響下に入るので、あとは主要国に組み込まれるもよし。独立して、友好的な小国となるもよしとなる。つまり、どちらに転んでも、主要国家からすれば損にならない。いや、寧ろ自国の力を使っていないので、メリットの方が大きいのだ。

 但し、例外もある。その例外というのが、資源が多い惑星系だ。この場合、積極的に人や設備を送り込んで自領内に取り込んでしまう。資源は、幾らあっても困らないのだ。実は、現在居るラトル共和国の辺境地域もこの資源が多い惑星系となる。一応、ステーションコロニーの近くにある惑星は居住可能惑星なのだが、生活環境としてはかなりよろしくないらしい。テラフォーミングなどを行って惑星の生活環境を整えるより、宇宙コロニーを建築してそこに居住した方が安上がりだったのでコロニーを作ったのだそうだ。

 なお、新たな惑星系の探索というのもギルドの仕事となる。これにはやはり、費用対効果が関係していた。

 と、話がそれた。

 今は、惑星系……それも移住可能な惑星系の話である。それでなくても俺たちは今、千人近くの人員を抱えて宇宙を旅しているのだ。できるなら早急に、彼らの居住先を見つけなければならない。その為に惑星系情報が必要、というわけなのだ。

 だが、条件は中々なかなかに厳しい。居住可能惑星が存在する惑星系というのは、そこら辺に転がる石ころのように一杯あるというわけではない。宇宙に、そして銀河に点在しているのだ。しかも斗真たちから、できるなら魔術が使える方がいいという条件も伝えられている。悪魔たちも魔術は使えるのだから、せっかくなら使いたいという考えがあるらしかった。


「そうは言うけどさ、シュネ。そもそも魔術を使えること、それ自体に希少性があるんだったよな」

「ええ。そうらしいわね」

「そんな惑星系、簡単に見つかるか?」

「分からないわ。できればというのが斗真クンや悠莉ちゃんの考えだろうけど、あくまでできればと考えているみたいよ。流石にそこまでは、焦っていないみたい」

「そうか。情報を検索して見つかればラッキー、それぐらいに考えればいいか」

「それに、逆に見つかり易いかも知れないけど、どっちにしても運次第といったところかしらね」


 まさかのシュネから出た見付かり易いという言葉に、俺は首を傾げる。確か、宇宙で魔術及びそれに類する力を使える存在というのは、押しなべて少ない。それであるにも関わらずシュネは、逆に見つかり易いかも知れないというのだ。これを不思議に思った俺に、おかしなところなどない筈である。その点を尋ねると、彼女の考えを教えてくれた。

 シュネに言わせると、その希少性が逆に見つかり易いかも知れない点であるらしい。似たような条件が多数ある状態から探されるより、厳しい条件に合致する対象の方が少ないから。なのだ、そうだ。


「そんなものか?」

「さぁ。そこは分からないわ。多少は、わたくしの願望も入っているもの。ただ、ネガティブに考えるよりポジティブに考えましょう」

「……それも、そうか」


 それから暫く検索結果を待ったが、見つからない。居住可能な未入植惑星ならば幾つか候補は出たのだが、魔術の使用が可能となると候補が出ない。これは一まず手に入れた情報を持って斗真たちに相談か? などと考えたその時、何と条件が合致する惑星がある惑星系が一つだけだが見つかったのだ。

 その情報だが、少し古いものである。それでも数少ない情報であることに間違いはなく、一まずこの情報を持って斗真たちのところまで戻ることにしたのであった。


銀河にある文明圏のうちで初の訪問です。

そして、移住先の情報もゲトしました。


ごいちどくいただき、ありがとうございました。

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