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第七十三話~遭遇~

今話から、宇宙が舞台となります。


第七十三話~遭遇~



 フィルリーアで起きた色々(いろいろ)なごたごたに対し、一応でも決着をつけた俺たち。かねてからの念願通り、宇宙へと旅立ったのだった。





 大気圏を離脱した俺たちは、慣れる為の航行を行う。具体的には、この惑星系内に存在している小惑星帯に向かうのだ。太陽系で言えば、アステロイド・ベルトに当たる。その領域にある小惑星も、似たような感じらしい。直径数ミリ程度しかない小さなものや、準惑星と言ってもいいぐらいの大きさの物まで、それこそ様々さまざま存在していた。

 そのような小惑星帯に行くまで、わざと速度を上げたり下げたりなどテスト的な動き行っている。既にシミュレーションなどを行いチェックはしているが、所詮はデータ上でしかない。やはり実際に動かした場合でしか分からないようなこともあるとは、シュネの談だった。

 なんちゃって提督とはいえ、俺も一応はトップとなる。それゆえ、今は旗艦である戦艦カズサの艦橋にある席に鎮座しているのだが……正直に言って暇なのだ。こんなところに座って大人しくしているより、現場で体を動かしている方が性に合っているのだからなおさらだった。

 とはいえ、今行っていることが必要だということも、まぁ分からなくもない。だからこそ、静かに自分の席にいるのだ。

 その時、宇宙空間を移動するキュラシエが視界に入る。だがそれは、俺の機体ではない。ならば何なのか、それは祐樹や斗真たちへと渡されたキュラシエだった。何と言っても、宇宙という惑星上とは全く違う環境である。当然、扱いも違ってくるので慣れる為にも、彼らはキュラシエを動かしているのだった。

 そして彼らが動かしているキュラシエだが、一番初めの機体とはシルエットが異なっている。機体の変更点は、若干シャープになっているぐらいであまりない。代わりに、機体の各所にバーニアが幾つか取り付けられていた。何でバーニアが取り付けられたのかというと、単純に速度を上げる為だった。


「だって、遅いより早い方がいいだろう?」

「それは、そうだけどね」


 それは、俺が何気に漏らした一言にシュネが答えたものであった。

 彼女は一からの再設計も考えたらしいが、それだと時間が掛かるのでバーニアを取り付けるという一種の改造をほどこしたらしい。そのキュラシエの改造機体に祐樹たちは乗り込み、宇宙を駆けているわけだった。

 正直に言って、羨ましい。俺も自分の機体に乗りたいというのが、本音である。と言うのも、祐樹や斗真たちが乗っている機体とは別に俺専用の機体も新たに作られているからだ。

 そもそもキュラシエは、今回俺用にと作られた新たな機体を初めは目指していた。しかし、ノウハウがなかったこともあって、完成に時間が掛かりそうだったのだ。そこで、まずはキュラシエを作成し、稼働テスト等をこなしてデータの蓄積をとシュネは考えたらしい。それが、初代のキュラシエなのだ。

 こうして完成したキュラシエの稼働データや、キュラシエの改造版である祐樹たちが搭乗している機体のデータを運用して作り上げたのが、俺専用の新たなキュラシエなのだ。


「やれやれ……シーグ、そんなに動かしたいの?」

「イエスかノーで答えろというなら、イエスだな」

「そう。だけど、今は我慢して」

「わーてるって」


 そう遠くないうちに到着するだろう小惑星帯で、少し滞在する予定なのだ。どうせ停泊しているのだから、周辺の警戒も兼ねて動くことはできる。そこで、存分に乗り回す気だった。

 うむ、待ち遠しいこった。



「いー……やっほー!!」


 俺は今、新型機でもある専用機に乗り小惑星帯を飛んでいた。

 しかもそのシルエットは、人型ではなく飛行機形態である。だが、キュラシエのように飛行ユニットと合体しているわけではない。ならばなぜに飛行機形態なのかというと、新型機は変型機構を有しているからだ。

 さきに述べたように、この変型機構を有する形こそ、最初に俺がシュネへ要望したコンセプトである。しかし、変型機構を有すると複雑化してしまう上に、二十メートルくらいの大型な機体になると色々と調整が難しかったらしい。そこで、まずはテストが先ということで完成させたのが、初代のキュラシエとなるのだ。

 その機体でテスト等を行いつつ、本来の機体である現在俺が乗っている機体へフィードバックしていったのである。しかし、テスト機を実用にでも使えるようにとする辺りは、流石に俺も初めは予想していなかったが。


「しかし、キュラシエ・ツヴァイか……シュネも、いい機体を作ってくれた」


 なにゆえこのような名称になっているのかというと、機体のバリエーションが増えたからに他ならない。キュラシエも、一番初めのタイプを入れると三タイプ目となる。そうなると、同じ名前ではどのタイプを指しているのか分からない。そこで、機体に番号を入れてどのタイプか分かるようにしたのだ。

 因みに一番初めのキュラシエはというと、キュラシエ・ヌルとなる。そして、祐樹や斗真たちが乗っている機体は、キュラシエ・アインスとなるのだ。

 なお、キュラシエのあとについているのは番号だ。命名したのはシュネであり、俺も別にこだわりはなかったので特に反対もしていない。そして俺が反対しなかったからか、祐樹たちからも反対は出なかったので、機体名のあとに番号を振るということ形がすんなりと決まっていたのだ。

 話を戻して、小惑星帯へと到着したあとに俺は、早速キュラシエ・ツヴァイへと乗り込むべく機体がある格納庫へと向う。そんな俺に対してだろうか、シュネから呆れのような気配を背中越しに感じるが、全く頓着せずに機体がある格納庫へ向かっていった。

 やがて到着した格納庫では、既に機体の準備がされている。どうやらシュネが指示を出していてくれたらしく、既に整備の者たちが動いてくれていたようだ。


「しかし、変型機構を有する人型兵器か。うん! ロマンだ! ……っと。浸っているのも惜しいな。マウモ、乗るぞ」

「どうぞ。整備は万全です、シーグヴァルド様」

「了解」


 整備班のトップであるアンドロイドのマウモに声を掛けてから、キュラシエ・ツヴァイへ乗り込む……前にデュエルテクターを身に着ける。デュエルテクターは宇宙でも行動可能なので、宇宙服代わりにもなる。というか、デュエルテクターには、元からコンセプトとして宇宙での活動が想定されているのだ。

 こうしてデュエルテクターを身に着けたあと、俺は乗り込んだ機体で船外へ出る。そして少し離れたあと、変形して飛行形態になるとスロットル全開で飛び始め、そして現在へ至るというわけであった。

 そんな俺のあとには、一機の機体が追随ついずいしている。その機体だが、キュラシエ・ファルケである。そのキュラシエ・ファルケだがこちらも改造されていた。キュラシエ・アインスができたことで、初代機用に作られていたキュラシエ・ファルケを運用できなくなったのだ。やはり、機体各所に取り付けたバーニアが邪魔らしい。しかも機体自体が幾らか大型化していたので、なおさら合わなくなったようだ。

 そこでシュネは、キュラシエ・アインスでも運用できるようにと改造をほどこしている。格納することになる機体の大型化に併せて大型し、そして武装についても追加している。見た目は兎も角、中身は別物といっていいぐらいになっていたのだ。


「それで、キュラシエ・ファルケⅡか。ところで、ビルギッタ。どんな塩梅あんばいだ?」

「大分、性能や武装が向上しています。ですが、操作性はあまり変わっていません」

「その点は流石シュネ、といったところだな……さて、もう少し飛んでから一度」

「シーグヴァルド様」


 旗艦である戦艦カズサ一度戻ろうかと言いかけたその時、ビルギッタから声が掛かる。基本的にビルギッタたちは言葉を被せるようなことはしないので、珍しいといえるだろう。そのことのいぶかしがりながらも、俺は彼女へ続きを促すように問い掛けた。


「どうした?」

「はい。センサーに反応がありました」

「どういった反応だ?」

「それが、ほぼ金属なのです」

「……はい?」


 それは、あまり考えられないものだった。

 まぁ、金属というか鉱物の含有率が多い小惑星はあるだろう。しかし全てが金属由来の鉱物で構成された小惑星というのは、どう考えてもおかしい。何せ小惑星というものは、惑星にまで巨大化できなかったなれの果てだ。勿論、鉱物を含んではいるが、全て鉱物でということはまず有り得ない。それがあり得れば、全てが金属成分でできた惑星なんてものができることになるからだ。

 そこで確認というわけでもないが、キュラシエ・ツヴァイに搭載されているコンピュータとなるシエ……初代となるキュラシエ・ヌルにも搭載されていたコンピュータを使い、確認する。するとシエからも、ビルギッタの観測結果と同じ答えが返ってきた。

 ともなれば、他の可能性を考えた方がいい。一番の可能性とすれば、宇宙船だろう。しかし俺たちがいる惑星系に、宇宙にまで進出できる程の文明を持った惑星は存在していない。厳密には嘗てシュネ―リアに存在していたが、今は文明が崩壊した為に出来なくなってしまったわけだが、どちらにしても現時点で存在していないという意味では同じことなのだ。


「それと、微弱ながら波長が観測されています。どういったたぐいの物なのかについては、分かりませんが」

「おいおい。それは、どう聞いたって人工物だろう」

「はい。その可能性は、極めて高いと思われます」

「マジかよ」


 ここで、まさかの未知との遭遇ですか。

 とはいえ、放っておくわけにもいかないし知らなかったとすることもできない。下手にスルーして、あとになって損害を受けましたなどとなってはたまらないからだ。どのみち、一度戻ろうとは思っていたのだからここで戻るのもいいだろう。


「ビルギッタ。シュネへ連絡して、反応があった地点の座標を送れ」

「了解致しました」

「さて、鬼が出るか蛇が出るか……できれば、俺たちへ幸運をもたらしてくれたらいいんだけどな」


 そう独白してから俺は、戦艦カズサの停泊地点へ、慣熟運転中の新たな愛機であるキュラシエ・ツヴァイで通信を終えたビルギッタの操るキュラシエ・ファルケⅡと共に帰還したのであった。


というわけで、早速何かと遭遇です。

望んでるわけでもないのに、イベントに塗れるシーグ君でした。


ご一読いただき、ありがとうございました。

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