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第五話~撃退~

何とかつながったなぁ、連日更新。


第五話~撃退~



 少し村長としての威厳が足らないかなと思える村長から許可を貰って、二日ほどの行商を行う。それ相応な売り上げもあり、必ずしも悪いとはいえない稼ぎであった。





 行商を予定していた最終日の翌日、村を散策していた。

 基本的に町や村で商売をしてもしなくても観光はするようにしている。観光は目的の一つなので、外すことなどまずないのだ。

 たとえその場所が辺境だからといって、何もないとは限らない。場合によっては、予想外の出来事や思いもよらない場所に巡り合ったりすることもあるからだ。しかし、この村ではこれといった出来事や場所に遭遇していない。そのことを少し残念だと思いながら、翌日には村を出ることにした。

 明けて次の日、村に入る時に払った金額の幾許かを返して貰うと、ゆっくりと道なりに進んで行く。やがて村も大分小さくなった頃、馬車を道から外れた上で停止した。それから幌馬車を引かせている馬を一頭だけ外すと、その馬に跨る。そしてウエストポーチから、通信用のヘッドセットを取り出した。

 なお幌馬車は、アリナとビルギッタに任せているので問題はない。兎にも角にも、全ての準備を終えると、馬を駆けさせる。その先には森があり、俺はそこ目指しているのだ。勿論、ただ走らせているというわけではない。ちゃんとした目的があって、俺は森を目指していた。

 その目的だが、座標を示すガイドビーコンを設置する為である。何でガイドビーコンを設置するのかというと、理由は二つある。一つは、転送をする際の座標をより確実に把握する為だった。

 別にガイドビーコンがなくても転送自体はできるのだが、あった方がより確実に転送ができる。だがそれ以上に重要な理由として、転送する際に転送地点の周囲を確認する為という目的があった。

 転送技術など、古代文明も含めてフィルリーアには存在した歴史がない。そんな技術が露呈すれば、どんな相手が出てくるか分からないのだ。無論、それが怖いわけではない。しかし、このことが原因となることで、回り回って問題となる事態など勘弁してもらいたいだけなのである。

 そこでガイドビーコンを隠しておいて、周囲の状況を確認しようというのだ。これは、今までにも通った町や村の近くにも設置している。こうしておけば、次回より簡単に行き来ができるというのもある。フィルリーアの観光という目的もあるので、必ず使うわけでもない。だが、使えるという風にしておけば何かがあっても移動できるので便利だからだ。

 因みに魔術でも、転送に似たことをすることはできる。だが、古代文明期においても使い手は少なかった魔術だからか、そんな便利な魔術があったことなど現代では認識もされていない。つまり、もうフィルリーアでは研究すらされなくなった魔術分野なのだ。

 そのような話は置いておくとして、問題なく森に到着するとそこで馬から降りる。そのまま歩いて森の中へ入ると、あまり目立たなそうな場所を適当に選び出した。その後、誰からからも見付けられないようにと少し深目に穴を掘ると、そこにガイドビーコンを埋めてしまう。最後に土をかぶせてから、幌馬車へ連絡を入れることにした。


「これで終わり。さて、アリナ」

≪はい≫


 全ての作業を終えて立ち上がると、ヘッドセットのマイクに向けて話し掛ける。すると、すぐにアリナから返信が届く。とてもクリアな音声であり、雑音など全くなかった。


「こちらは終わった。ちゃんと送信をしているか、確認を取ってくれ」

≪了解しました≫


 さて、ここからは待ちだ。

 アリナの連絡を受けて、シュネかネルトゥースが、ガイドビーコンが問題なく動いているかの確認はする筈だからだ。それが終われば、こちらに通信がくるだろう。その後は、幌馬車まで戻るだけだった。

 すると案の定、それからさほど時間もたたずに通信が入る。送り主は、研究所のネルトゥースだった。


≪シーグヴァルド様。確認しました、問題なく作動しています≫

「了解。通信、終わり」


 通信を終えると、その場から離れる。そして森を抜けて森の外に待たせていた馬まで戻ると、そのまま跨った。そして、腕に付けたブレスレッドというには少しくらい大きめな腕輪を操作する。その直後、周辺の地図が空間投影された。

 この腕輪は魔道具であり、周囲に漂う魔力をスクリーン代わりにして空間投影させているのだ。しかもこの技術、実は古代文明期にもなかった技術でもある。魔科学を学んだシュネが作り上げた、完全オリジナルとなる新た魔道具だった。

 その空間投影されている画像の中には、光が二つ点滅している。一つは、俺のいるこの場所となる。そしてもう一つの点滅が、単独行動をする前に記憶させた幌場所の現在位置となるのだ。


「えーと、北西か。行くぞ!」


 馬を走らせることしばらく、幌馬車へ到着した。

 合流後は、まず馬を繋いでから幌馬車の中に移動すると幌馬車内にある通信機を起動させる。この通信機は出力を高くしているので、腕輪と違ってこのフィルリーアならば通信相手がどこにいたとしても繋げることができるのだ。

 さて通信先に出たのは、シュネ付きのガイノイドとなるエイニだ。シュネと話せるのかを聞くと、問題ないといわれたので繋いでもらう。間もなく、通信相手がエイニからシュネへと代わっていた。


≪どうしたの? シーグ≫

「一応、連絡だ。ガイドビーコンの設置は終わった。さっきネルトゥースに確認して貰ったから、知っているとは思うけど」

≪ごめんね。ちょっと手が離せなかったから出られなかったの≫

「悪い。邪魔をしたか?」

≪大丈夫よ、今は気分転換中だったから≫

「……その様子だと、もう少し掛かるのか?」

≪そうね。もうちょっと、という感じなのだけれど≫

「そうか。こっちはまだ売る物はあるから、他の村にでも行く。売り切ることができれば、なおいいし」

≪了解したわ≫


 通信を切ると、アリナとビルギッタへ視線を向ける。彼女たちは頷くと、幌場所へと乗り込でいく。そのあとで、後方から俺も幌馬車に乗り込むと、周辺の地図を空間投影させた。すると、このまま道を進み国境まで辿り着く間に、村が一つあることが分かる。距離もそれ程ではないので、ちょうどいいと考えて御者台に座っているビルギッタへ行き先を告げた。

 俺からの指示に頷くと、彼女はゆっくりと幌馬車を動かし始める。そんなビルギッタの隣には、アリナも腰を降ろしていた。そして幌馬車内にいる俺はというと、馬車の後方から外を眺めている。一応、監視を目的としているが、見通しがいいのでいきなり襲われるとことはない。ゆっくりと流れる景色を見ながら、ぼんやりと外を眺めていた。

 どのみち、周囲への警戒用に索敵ができる魔道具を動かしている。周囲に敵意あるものがいればその魔道具が反応するので、それほど警戒を高める必要もないのだ。

 まぁ、敵意に反応するレーダーみたいなものだと想像して貰えばいい。

 しかして、その魔道具が反応することもなく、やがて幌馬車はT字路に差し掛かった。道を戻れば、今朝までいた村に到着する。そしてそのまま道なりに進めば、最終的にはエリド王国の国境へと繋がる筈である。そしてもう一方の道を進めば、数日前に野宿をした場所を通り過ぎることとなる。さらに進めば、それほど大きくはないが、町へと繋がっていた。

 なおその町を過ぎると、道も広がり街道といって差し支えないぐらいとなる。そしてそのまま進むと、十分に発展している町へと進み、さらにその先にはこの辺境地域一帯を治めているマクニ―ス辺境伯の城下町へと繫がっていた。

 しかし、今回はそちらへは向かう気はない。エリド王国の国境方面にある村へと向かうので、幌馬車をこのまま直進させる。やがて日が暮れたので、野宿をする。数日前に野宿をした時と同じように、道から少し外れると結界の魔道具を稼働させた。

 その後、用意された食事をとって眠りについたのだが、その途中で警報が鳴る。これが鳴るということは、敵意ある存在が近づいてきているということの証なのだ。とはいえ結界があるので、よっぽど強大な存在でなければ結界を越えてくることなどできない。その意味では安心しているのだが、邪魔といえば邪魔なので排除するつもりだった。

 思いっきり迎え撃つ気で待っていると、結界の近くに焚き火に照らされて影が幾つか浮かび上がる。大体、百から百十センチぐらいだろうか。それぐらいの身長で、肌の色は夜なので確実とはいえないが、緑色だろうと判断できた。

さらにやや大きめの鉤鼻を持っており、顔はお世辞にもいいとはいえない。はっきりいえば、現れたのはゴブリンである。そのゴブリンが十体弱、結界の外にいるのだ。

 しかもそのゴブリンたちは、アリナとビルギッタを見るとさらに興奮し出す。ゴブリンは繁殖力が強く、人型であれば種族関係なく交わることができる。しかも生まれてくるのは、母体がどんな存在であってもゴブリンとなるのだ。

 また、似たような性癖を持つ種族として、オークがいる。彼らもゴブリンと同じで繁殖力が高く、そして人型であれば相手を問わない種族であった。

 オークの話は脇に置いておくとして、今はゴブリンの対応だ。そのゴブリンどもはというと、アリナとビルギッタを見た途端に突っ込んでくる。ガイノイドとはいえ、見た目だけなら間違いなく美人な二人だからゴブリンからすればいい獲物と見えたのだろう。

 だがそれは、早計というものだ。愚か者ども!

 全速力で近付いてきたゴブリンたちは、当然結界に阻まれてその勢いのまま頭から突っ込んでいる。余程痛かったのか、結界にぶつかったゴブリン全員で頭を抱え込んでうずくまっていた。


「本当に馬鹿だな、こいつら」

「仕方ありません、シーグヴァルド様。所詮は、ゴブリンですから」

「さて、結界の外をうろうろされても鬱陶うっとうしいから、片付けるぞ」

『はい』


 俺の言葉に応えてから、アリナとビルギッタはすぐに結界の外へ躍り出た。

 この結界の魔道具だが、登録された者であれば結界に阻まれることなく出入りできるという優れものである。

 因みに結界を張れる魔道具自体は、古代文明期の遺跡等で比較的見つかる。そのことから、数は少なくても一応は流通していた。しかし世間に流通している結界は、一旦張れば解除するまで張りっぱなしとなる。つまり俺たちが使っている結界の魔道具のように、気安く出入りできるような芸など持っていないのだ。

 ならばどうしてできるのかといえば、「使い勝手が悪いからね」とシュネが改造したからだ。そのシュネ謹製の結界から先に出たアリナとビルギッタの二人は、ゴブリンたちをほふっていく。戦闘能力も格段に高い二人からすれば、ゴブリンなど物の数ではない。そしてそれは、俺も同じだった。

 彼女たちに続いて、結界の外へと出るとゴブリンへ向かっていく。俺の腕には、防具も兼ねてガントレットを装着しているので武装の面でも問題とはならない。そのガントレットだが、見た目と違って材質の関係上、とても軽い。そんなガントレットが嵌まった拳で、ゴブリンの顔面を殴りつけたのだった。

 避ける間もなくまともに食らったゴブリンは、手にしていた棍棒を離すとのけ反りながら自分の鼻を抑えている。そんな隙だらけの相手を、見逃すわけがない。素早く正面から接近して懐に飛び込むと、ゴブリンの胴体に腕を回して後方へ投げる。いわゆるフロント・スープレックスの状態で、顔面から地面へ投げつけたのだ。

 その時、ゴブリンの首の辺りから、何かが折れたような音がする。気にせず素早く立ち上がったのだが、当のゴブリンは痛みからか顔の表情を歪めながらも動けずにいた。


「ふむ……これは、頸椎でもいったかな? どっちにしても、止めをさしておくとしよう」


 その直後、足で思いっきり踏みつける。ビクンと跳ねたように全身を震わせたゴブリンは、それ以上動くことはなかった。

 こうして俺が一体に止めを刺した頃、先に結界から飛び出していたアリナとビルギッタはそれぞれ二体目を倒していた。あっという間に半数以上が倒されたことで恐れをなしたのか、残りのゴブリンたちは一目散に逃げ始めたのである。別にゴブリンを全滅させたいわけでもないので、見逃すことにする。時間が夜ということもあるが、何より追ったところで、大層なものが手に入ることなどないからだ。

 そのゴブリンだが、一応魔物となるので体内に魔石を持っている。魔石は魔道具を動かす動力となるので買取りをしてくれるのだが、弱いゴブリンでは大した値段にもならない。だが使えないわけでもないので、一応は回収することにした。

 既にアリナとビルギッタが、魔石の取り出しを始めている。基本的に魔石は魔物の心臓近くにあるので、心臓の位置さえ分かっていれば見付けるのは難しくはない。但し、血だらけになるのが問題だが、別に初めてではないので嫌悪感などなかった。

 正直にいえば、慣れたのだ。

 その後、ゴブリンの死体処理を行う。埋めるか燃やすかをすればいいので、燃やすことにした。一々いちいち人の手で掘るのは面倒なので、穴掘り用の魔道具を使う。構造自体は簡単なので現代のフィルリーアでも再現できそうな魔道具なのだが、見掛けることは殆どないし持ち運んでいる者もそれ以上に見掛けない。あっても困らないのだが、旅に必須な代物ではないので、荷物のスペース的にも限りがあることから持ち歩こうとは考えないらしい。

 俺たちの場合は、容量がすごく拡張された魔道具のリュックサックが複数あるのでこれぐらいなら気にもならない。何であれ、穴を掘ってそこにゴブリンの死体を投げ込むと火を付けて火葬にする。暫くしたのちに火が消えると、上に土を掛けておいた。

 それから最後に、ただ水を出すだけの魔術で汗や体に付着したゴブリンの血などを流してから、その場所を離れたのである。流石にゴブリンらを殺して火葬した現場の近くで、眠ることはしたくなかったのだ。

 そこである程度の距離を移動してから、改めて野宿の準備をして眠ることにする。幸いにして、二回目の襲撃はなかったので翌日まで熟睡できたのであった。


初戦闘です。

短いですけど。


ご一読いただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] シュネ謹製の結界 時系列にそって話が進んでいないようでないのでまだ描写されていないのかもしれないけど、体はこの世界のものでも魔道具の知識などないはずの主人公が簡単に改良などする技術など…
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