表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/227

第二十五話~探索~


第二十五話~探索~



 悪魔の拠点と思わしき砦跡地に潜入したが、シュネは気になる資料を発見したこともあって研究所へと転送する。残った俺とビルギッタで、砦跡地にいた悪魔を倒して制圧したのであった。





 無事に砦跡地に巣食っていた悪魔のトップだと思う相手を倒したわけだが、まだ完全に探索が終わっていない以上、悪魔の駆逐と鎮圧が完了したかは分からない。ゆえに、このまま地下の探索を行うことにする。同時にシュネへ連絡を入れて、経過報告をしておいた。


≪分かったわ。こちらも調べ始めたばっかりだから、情報はないの≫

「でも、それは仕方ないだろ。俺もこんな短期間で、全てが分かったとか言われても信じられん」

≪でしょうね。それとそこの拠点なのだけれど、少し変なの≫

「そう……なのか?」


 シュネからの報告に、思わずビルギッタの方を見てしまう。だがあくまで俺とシュネが通信しているだけで共有化はしていないので、ビルギッタが分かる筈もない。彼女はこてんと頭を倒しながら、不思議そうな表情を浮かべていた。

 そんなある意味で間抜けなやり取りをしてしまったのだが、映像まで送っているわけではないのでこちらの様子などシュネには分からない。ゆえに、こちらの様子など気にすることなく、そのまま話を続けていた。


≪うん。報告書かな? と思える書類が、幾つか散見さんけんされるわ。かといって、全く関係ない資料もあるの≫

「そうか。だが、それが分かっただけでもいいだろう? あと、今後は悪魔と関わらなくなるのが、一番いいけど……無理か」

≪先のことは、分からないわ。それこそ、気にしてもしょうがないわね≫

「そうだけどさ……取りあえず、もう少しこちらを調べてみる」

≪気をつけてね≫


 その言葉を最後に、シュネは通信を切った。

 その後、ビルギッタへ視線を向ける。今の彼女は、真面目そうな顔で静かにたたずんでいた。


「シーグヴァルド様、一つ報告を。この砦跡地の一部を覆っていた領域ですが、消えています」

「それは、戦闘の前に報告があった正体不明の結界に類似した領域か?」

「はい」


 ふむ。範囲は分からないが、何らかの領域に覆われているってビルギッタが報告した件だよな。これって、もしかしたら悪魔の力によるものなんじゃないのだろうか。アザックも、領域で覆っていたと言っていた。ならば、倒した悪魔の誰かが、同じことができてもおかしくはないだろう。

 何せ、悪魔の力など未知数なのだ。こちらが知らない力が行使できたとしても、何ら不思議はない。もしかしたら魔道具によるものかも知れないが、それならば敵の気配が消えたらその領域も消えるとはならないのだろう。

 結界系の魔道具は、解除するか魔石が使えなくならない限り稼働し続ける筈だからだ。


「ふむ。あとでいいから、シュネへ報告しておいてくれ」

「はい」

「それにその不可思議な力が消えたのならば、こちらとしてもやり易いだろう。探索を再開するぞ」


 ビルギッタが調べた地下部分を記録し、その記録をネルトゥースへ送り地図データ化する。そうしてできた地図を頼りに、残りの部分を探っていく。つまり、ネルトゥースによってデータ化されていない場所が、未探索部分ということになる。簡単にいえば、オートマッピングを行っているわけだ。

 そんな未探索部分を探索する途中で、臨時収入を得ることになる。ある部屋に入った時、結構な量の財宝が見つかったからだ。

 そういえば、昨日の野営中に悪魔が襲ってきたときは、賊をよそおっていた。そして昨日の襲撃が初めてでないとすれば、襲った者の持ち物などを回収していてもおかしくはない。悪魔がかねや貴金属を奪ってどうするつもりなのかなど分からないが、非合法活動を行う資金源としてはありなのかも知れない。何より財貨を奪っておけば、盗賊としてカモフラージュできるのだ。

 因みに、盗賊などのアジトで手に入れた財貨に関して、フィルリーアでは明らかに持ち主が分かるものでもない限りは手に入れた者の財産としていいということが通例となっている。その為、ここで懐に入れても何も問題とはならないのだ。

 そんな臨時収入を得たあと、未踏破部分の探索を再開したが、残念ながらこれといった物は見つからない。やがて、これまでの構造パターンから、最後の未捜索部分かも知れないと思える場所に到達した。

 但し、あくまでも今までの構造からそのように想像しただけであって、実際にはまだ奥があるか知れないと疑いつつ進んでみると、そこにあったのは下へ向けて延びる階段である。どうやら予想外に広いらしく、思わず肩を落としてしまった。


「……まだ、下があったのか」

「そうですね」

「ここまできて、引き返すという選択もない……行くか」

「はい」


 そのままビルギッタと共に階段を下りていくと、やがて地下二階の通路へと繋がる。その通路は奥へ延びていき、最後は壁となっているようだ。そしてその通路の両側には、鉄格子が幾つもあるので、どうやら地下の牢獄らしい。元が砦だったことを考えれば、牢獄があっても不思議はない。というか、今まで全く牢獄が見つからなかった理由がここにあったのだ。


「牢獄か。どうりで、地下一階に一つもなかったわけだ。ここへ集められていたのか」

「そのようです」

「それと、現在進行形で使用中か。かなり弱いけど、人の気配がある。おい! 誰かいるのか!!」


 それほど強い気配ではないが、確かに気配を感じるのだ。

 これは弱いというより弱っている、もしくは衰弱しているのではと思える。その気配のぬしを探して俺とビルギッタは、ライトをかざしながら牢獄を一つずつ見て回った。すると牢獄内に、何体かの死体を見付けた。冥福を祈って、死体が見つかるたびに手を合わせていたが、やがてある牢獄でまだ命がある者を見つける。どうやら、察知した気配の持ち主のようだ。

 容姿としては、殆ど人と変わりはない。しかし背中に、ものすごく小さい蝙蝠の羽のような物がある。そんな、女性であった。


「悪魔か? いや、違うのか……」

「彼女は、悪魔ではありません。魔人類です」

「魔人類というと、確か魔力の扱いが上手という?」

「はい。但し、容姿は殆ど人間と変わりはありません。ですが、一部の魔人類には、彼女のように人類にはない特徴を持つ者がいます。もっとも、普段は隠しているとも聞いていますが」

「確かその容姿を理由に、過激なことを言う人間がいるからだっけか」


 このフィルリーアの歴史を勉強した時に、そんな話を聞いた。

 人類の中で人間の、それも極一部の人間がそんなことを言っているのだと。そしてこれは、魔物に近い容姿を持つと言って、獣人をやはり極一部の人間が忌避きひしているのと同じだった。

 さて、そんな益体やくたいのない話題は一まず置いておくとして、今は彼女の容体である。倒れているのかそれとも眠っているのか、はたまた気絶しているのかまでは分からないが、体のあちこちに怪我を負っているのは見てわかる。だが、探索中に見た顔ではないので、少なくとも俺たちによってつけられた傷ではないことは断定できた。


「どうするよ、これ」

「どうしましょうか」

「……ここが最後みたいだし、シュネに聞いてみるか」


 その後、シュネに通信を行い、ほぼ探索を終えたことを報告する。なお、怪我を負っている女性もいるので、映像付きでの通信だった。

 すると間もなく、シュネとエイニのいる部屋に一人の女性が入ってくる。その女性は、医療担当バイオノイドとなるイルタだった。どうやらシュネが、怪我人がいるということで呼んだらしい。確かに映像越しであっても、イルタやヘリヤであれば診察はできるだろう。精密検査を要するとなれば流石に無理だろうが、大抵の判断ならば映像越しでも問題はないのだ。


≪……あまり、いい状態ではありませんね。取りあえずシーグヴァルド様、治癒魔術をお願いします≫

「それほど、得意じゃないんだけどな」


 とはいえ、ガイノイドとなるビルギッタでは無理である。彼女たちは、そもそも魔術が使えない。これは魔術を学んでいるとか学んでいないとかという理由ではなく、根本的に魔術が使えないのだ。

 いかに人と変わらない姿をしているといっても、彼女たちは作られしものである。ゆえに魔力を全く持たず、魔術を使うこともできない。だからこそ、効率は別にして唯一魔術が使える俺がやるしかないというのは理解できた。

 もっとも、ビルギッタたちが魔術を使えないという点は魔道具でカバーしている。短魔機関銃もその一環であるし、他にも特定の魔術が込められた魔道具も彼女たちに持たせているのだ。

 それはそれとして、俺は指示通りに治癒魔術を掛けて女性が負っている傷に対して術を行使する。シュネやキャスほどに上手く扱えないが、それでも魔術は魔術なので効果は表れる。すると、魔人類の女性が負っていた傷もある程度は癒すことができた。


≪ありがとうございます。これならば、こちらまで移動しても問題はないかと思います≫

「あ、やっぱり研究所に連れて行くのか」

≪当然よ。そんなところに怪我人を放っておけないもの≫

「了解した」


 治療後、いまだ気絶している彼女の扱いはビルギッタに任せる。相手は女性なので、流石に触るのははばかられたのだ。それに触ったとしても役得でしかないのだが、もしこのことがシュネへと伝わったら実験と称して何をされるか分からない。そんな危険な橋を渡るのは、ご免だった。

 ただ、これが俺しかいないというのならばそんなことは気にしない。だが、今はビルギッタがいる。ガイノイドである彼女は、見た目に反して力持ちさんである。それを証明するように、ビルギッタは軽々と女性を抱えると研究所に転送した。

 因みに、お姫様抱っこであった。

 それから少し時間がたったあとで、転送されてきたものが幾つもある。その転送されてきたものだが二種類あり、一つというか一人はビルギッタである。そして彼女以外のものは、いわゆる爆弾であった。

 この爆弾だが、一応は魔道具である。魔力を送り込むことで任意に起爆させることができるのだ。しかも魔力を送り込む人物が離れていても操作ができるという、優れものである。勿論、距離的な限界はある。それでも導火線や起爆装置がいらない、便利な爆弾グッズなのだ。

 因みにこの爆弾だが、マジックボムと名付けていた。

 このマジックボムを、完成した地図を元にして算出された構造上の弱点だと判断される場所に設置していく。場所の算出はネルトゥースに任せてあるので、まず間違うことはない。やがて全ての地点に設置すると、次に牢獄内にあった遺体を運び出すことにした。

 もしかしたら、気絶していた女性の仲間かも知れないと考えた上である。中には完全に白骨化している遺体もあったので、必ずしも女性の仲間だけではないと思うが。

兎に角、全ての遺体を地下牢から地上に移していったあとで、最後にもう一度牢獄内を確認すると一つだけ妙な牢獄を見付けた。

 その牢獄は通路一番奥、向かって左側の牢獄となる。そしてこの牢獄がもし普通に使われていたのならば、変に思わなかっただろう。だが、なぜかその牢獄は使用していないのにも関わらず、入り口に鍵が掛けられていたのだ。


「……使ってもいないのに、施錠がされている? どうせだ、中を確かめてみるか」


 ツインマジックブレードから魔刃まじんを展開して牢獄の鉄格子断ち切って中に入ってみると、奇麗に掃除されていた。何せ牢獄内の床に、埃もないのである。だが使ってもいない牢獄を、ここまできれいにする必要があるとは思えない。ならば、別に理由がある筈だ。そう考えた俺は、シュネを今一度呼び出す。間もなく現れた彼女に事情を話すと、何か思い当たる節があるのか考え始めていた。


≪……もう一回、そちらに行くわ≫

「いいけど、心当たりがあるのか?」

≪資料を調べていて、ちょっとね。取りあえず、そこにいて。シーグ、貴方あなたを座標の目標にして転送をするから≫

「分かった」


 それから少し時間がたったあと、シュネがエイニを伴って転送してくる。だが彼女たちだけでなく、同時に一台の機器を伴っての登場であった。


連日更新中です。


地下砦跡内で、唯一の生き残りを見つけました。

但し、悪魔ではなく魔人類ですが。

ついでに、財産が増えました。


PVが一万を越えました。

皆様のお蔭です。


ご一読いただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ