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第百二十七話~対応~


第百二十七話~対応~



 銀河の北と南の拠点を制圧したことで得られた情報から、シュネは東と西にそれぞれ一つずつの拠点と本当の意味での本拠地があることを推察したのだ。彼女の推察に従って、銀河東部地域と銀河西部地域に向かってみる。そしてシュネが推察した通り、それぞれの地域で拠点を発見したのであった。





 最後に確認した銀河西部地域にあった拠点から無事に離脱した俺たちは、適当な星系に移動していた。この星系は、居住可能惑星がないこともあって、採掘目的以外には訪問する者もあまりいない。代わりにというわけではないが、採掘者が利用するステーションコロニーがあるがそれだけなのだ。


「シュネ。その……テラフォーミングはしなかったのか?」

「しなかったというより、できなかったのでしょうね。この星系には、バビタブルゾーンに惑星が存在しないから」


 そう言ってからシュネが見せてくれた星系図には、確かにバビタブルゾーンに該当する範囲に惑星が存在していない。これなら、テラフォーミングをしないという理由もわかる。それにわざわざ人工天体を作ってまでテラフォーミング……いやこの場合、パラテラフォーミングと言うのだったか? 兎も角、そこまでの手間暇てまひまを掛ける気にならなんかったのだろう。実際、俺が担当していたとしても同じ判断をすると思う。ここは資源星系だと割り切って、資源を採取できる惑星の公転軌道上にステーションコロニーを建設していた筈だ。


「なるほどね。手間を掛けるよりは、ステーションコロニーの方が早い上に安上がりか」

「そういうことよ……さて、それはいいとして、今までのことではっきりしたことを改めて確認するわ」

『了解した(わ)』


 シュネの言葉に、俺たちは全員頷いた。するとシュネからの指示を受けたネルが、艦橋のメインモニター上に銀河図を映し出す。そこには、銀河の東西南北で見つけた拠点を示す光点と、銀河中心に存在する超大質量ブラックホールのバビタブルゾーンに存在すると思われる本拠地の光点。それから銀河の東西南北にある光点から伸びる点線と、西の光点から北の光点に向けて伸びる点線が映し出されていた。要は北の拠点を制圧したあと、中間報告的に示された銀河図と同じである。だが、幾つか違う点も存在していた。

 さて違う点だが、西の光点から本拠地だと思われる光点に延びる点線以外がすべて同じ色となっていること。そして、西の光点から伸びる点線が依然と同じ色となっていること。最後に、東西南北の光点が同じ色となっていることの三点だ。

 その一方で、西の光点から本拠地だろうと思われている光点に延びる点線と、本拠地の光点の色が依然と変わっていない。この二点が変わらなかった理由は、いまだ推察の域を出ていないからだと思う。そしてそれ以外の光点や点線が変わった理由は、実際に確認して事実だと

認識したからだろう。俺たちからすれば、わざわざ色を変える必要はもうないと思うのだが。もしかしたら、譲れない何かがあるのかも知れないな。全く、理解はできないけれど。


「ほぼ間違いない確率で、銀河中心にある超巨大質量ブラックホールのバビタブルゾーンに記した光点の座標、もしくは周辺に本拠地があると思われるわ」

「ほぼ、ね」

「ええ、ほぼよ。百パーセント確実とは言わないけれど、殆ど百パーセントと言っていいぐらいよ」

「そうか。なら、確定だな。それにみんなも、今さら異論はないだろう?」

「ないよ。何より、俺にあるわけないだろう。それにもう、意思は確認している。あとは、実行のみ」


 クルドの言葉に、全員が頷いた。ならば、これ以上はグダグダと言う必要もない。クルドの言葉通り、実行するだけだからだ。俺が黙って艦橋の提督席に座ると、シュネたちもそれぞれ艦橋に用意された席に腰掛ける。全員が腰を下ろしたことを見てから、俺は命令を出した。


「これより、艦隊は銀河中心近くの座標へ移動を開始する。ネルトゥース! ワープ準備!!」

「はい。これより、ワープシーケンスを行います…………シーグヴァルド様、準備整いました」

「では……ワープ!」


 その直後、戦艦カズサを中心とした艦隊は、ワープを行ったのであった。





 俺たちは、銀河中心近くにワープアウトする。そこは、計算上割り出した本拠地があるだろうと思われる地点からはやや離れた場所だ。流石に、敵本拠地があると推察している座標の近辺にいきなり現れることはできない。そしてその判断は、間違いなかったらしい。何せ、目標地点では既に迎撃の用意がされていたからだ。

 ワープアウトしたあと直後に放ったステルス性能と探査・通信性能に特化した偵察機から送られてきた映像には、敵の本拠地だと思われる場所にある大型の小惑星と、周囲に展開されている艦船が配置済みだった。こんなところにワープアウトしたら、どのような結果になるか分からない。下手をすれば、抵抗する暇もなく撃破されてしまうかも知れない。シュネの進言通り、安全策を取って良かったと思えた瞬間だった。


「どうやら、こちらの動きは読まれていたみたい。それにしても、流石は推定とはいえ本拠地ね。今までの拠点とは、比べ物にならないわ」

「確かに」

「……そう、だな」


 送られてきた映像を見たシュネの言葉通り、本拠地の周囲に展開されている艦船の数だが今までの拠点に比べて倍以上は間違いなくある。もしかしたら、三倍までいくかもしれない。そう思えるぐらい、大小問わず多数の艦船が展開していたのだ。だが俺たちにとって幸いなことに、展開している艦船は変わりがないようである。そのことに、シュネは安心していたみたいだ。推測とはいえ機能や性能が変わらないということは、「ゼロエリア発生装置」が今回も有効だということだからである。そんなシュネの様子からか、みんなからも安心感が溢れている。そのような艦橋にあって俺は、胸騒ぎと言うか何とも言えない感じが胸の内で起こっていた。はっきりした形、というわけじゃない。だが、拭いきれない何かがあるように思えてしまうのだ。しいて言えば……勘……みたいなものだろうか。


「じゃあ、このまま移動して制圧しましょう。シーグ、いいわよね」

「……ああ……」


 説明できないだけに、明確な反対もできない。少し釈然としない思いを抱えながらも、俺はシュネの言葉に同意した。それから間もなく、移動を開始した。やがて旗艦である戦艦カズサを中心としたれたちの艦隊は、指定した座標へと到着する。喜ばしいことに、俺たちの存在が気付かれたような様子はない。少なくとも、見える範囲ではそのような動きは見られなかった。

 想定した目標地点に到着するまでに俺たちは、それぞれの愛機となるキュラシエやキュラシエ・ファルケⅡにまで移動していた。既に全員が乗り込んでおり、あとは目標地点で「ゼロエリア発生装置」の発射を待つだけの体制となっている。しかしながらその間も、俺の胸の内ではざわつきが続いている。しかもそのざわつきは、落ち着くどころか徐々にだが大きくなっていた。


≪目標地点に到着、「ゼロエリア発生装置」を発射するわ≫


 単純に通達といった雰囲気の通信が、艦橋にいるシュネから入る。実際、通達のつもりだったのだろう。シュネはこちらからの返答を待つでもなく、発射したのだ。果たして「ゼロエリア発生装置」は、目標とした座標に到着すると機能を働かせる。その証拠に、展開している艦船は軒並み稼働を停止していた。

どうやらこの状況を見る限り、こちらの思惑通りとなったと言えるのは間違いない。だが、俺の胸の内でざわめきはさらに大きくなっていた。


≪敵の沈黙を確認しました≫

≪ネル、了解よ。ではシーグ、あとはよろしく……≫

「待て!!」

≪≪え?≫≫


 艦橋にいるシュネから俺たちに発艦を促す声が続く中、俺が途中で食い気味に声を出して言葉を打ち切った。そのことが完全に予想外だったのだろう、シュネは勿論だが祐樹やオルたちなど、はっきり言えば俺以外全員が不思議そうな声をあげていたのだ。


≪シーグ。待てとはどういうことかしら。すぐに装置は止まらないけど、何れは止まるのよ。そのことを考慮すれば、行動に移ってもらいたいのだけれど≫

「そんなことは分かっている。だが、少し待ってくれ!」


 俺の胸騒ぎは。全く止まる気配を見せていない。そのことが、どうしても引っ掛かってしまうのだ。だから悪いが今少し、今少しだけ様子が見たい。もしこの胸騒ぎが俺の気のせいでないのなら、よからぬというか俺たちにとって不利となることが起きるだろう。それを見極める為にも、様子が見たいのだ。


≪……ねぇ、シーグ。説明してくれないかしら。その説明次第で……≫

≪小惑星周辺に展開する艦船から、エネルギー反応! 敵の全艦船が再稼働しています≫

≪≪は?≫≫

「……俺の胸騒ぎというか……勘が働いた原因はこれかよ……」


 つい少し前まで、停止どころかエンジンからのエネルギー反応もなかった敵本拠地の小惑星周辺に展開していた艦船。その全ての艦船から、今はエネルギー反応が出ている。その事実が示す結果、それは「ゼロエリア発生装置」の効果を得られなくなったということに他ならなかった。


≪ど、どうして動け……いえ! 再稼働できるのよ!!≫

「多分だが、対策を取られたんだろうな」


 あくまで想像だが、魔力がないという状況を二度連続で作り出したことを悟られたのかも知れない。またシュネは、コンピュータウイルスの効果でハッキングした痕跡は残さないと言っていたが、もしかしたらその痕跡を見付けられてしまった可能性もある。あるいは、相手の方が一枚上で、あえてこちらが泳がされていたのかも知れない。考え付くことは幾つかあるが、今分かっていることは、銀河北部地域の拠点や銀河西部地域の拠点を制圧したように簡単にはいかないことだけだった。


「シュネ。どうやら正面より、攻め込むしかないようだぞ。それこそ、銀河南部地域の拠点の時のように」

≪……そう、見たいね。まさか、裏をかかれるとは思わなったわ≫

「襲撃も都合四度目となるからな。相手も無能じゃなかったということだろう」

≪ええそうね、認めるわ。わたくしが、相手を甘く見ていたことを≫

「反省はあとにしてくれ。では……全艦隊、第一戦闘配備!」

『了解!!』


 その直後、攻撃部隊である俺たちキュラシエ編隊。そして俺たちの艦隊護衛を担当するAI制御の無人機キュラシャーが次々と発艦、そして周囲に展開したのであった。

別連載の「劉逞記」もよろしくお願いします。

古代中国、漢(後漢・東漢)後期からの歴史ものとなります。


ご一読いただき、ありがとうございました。

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