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第百二十六話~報告 二~


第百二十六話~報告 二~



 拠点制圧後、ワープを行いアーマイド帝国からお隣の国であるマカルト王国の辺境地域へと移動。そこで滞在しながら、シュネたちが手にした情報の解析が終了するのを待っていたのであった。





 戦艦カズサ内部にある一室、そこは多数を集めることができる広い部屋となっている。その部屋にあるモニターに映し出されている銀河の地図には、計四ヶ所の光点と五本の点線が表示されていた。そんな五本の点線のうち、北と南の光点から伸びる点線は同じ色となっている。だが、残りの三本の点線は色が変えられていた。わざわざ色を変えている理由も分からないが、さらに分からないのは銀河の西と東にある光点である。俺たちが今いるマルカト王国は、今回が初めての訪問となる。そして、銀河東部地域は殆ど立ち入ったことがない。それもワープの中継で立ち寄ったぐらいなので、踏み入れていないに等しかった。それにも関わらず、しっかりと光点が記されている。シュネがそこに光点を印した意味が、見当つかなかった。


「それで、シュネ。この銀河図の意味は何だよ」

「慌てない。ちゃんと説明するわ」


 シュネの説明によると、追加された二つの光点は予測される別の拠点であるらしい。そして、追加された光点から伸びている点線の意味は、その予測した拠点から出ている魔力波を表現しているとのことだった。そして、銀河の東西南北にある光点から伸びている点線だが、銀河中心近くのある一点で集結している。しかしそうなると、東にある光点から北に向かって伸びている点線の意味が分からない。わざわざ五本目など出さずに、点線を四本それぞれの光点から延ばせばいいように感じてしまうのだ。


「シュネ。それぞれの光点から魔力波が出ているのなら、この西の光点から北の光点に向けて延びている点線の意味は何だ?」 

「それはいい質問だね、シーグ。勿論、理由はあるわよ」

「それで、その理由は?」

「西の光点から銀河の中心付近へと伸びている点線は、魔力波の発信予測方向。そして西の光点から北の光点に向けて伸びている点線は、実際に魔力波が発信されている方向を表しているの」


 うん?

 予測した魔力波が発せられる方向と、実際に魔力波が発進されている方向? どうして、そんな表記になっている? というか、わざわざ西の光点から北の光点へ発信している意味がよく分からない。そんな回りくどいことをするぐらいなら、シュネが言った予測方向とやらに魔力波を発信すればそれでいいように思える。その点をシュネに尋ねてみると、頷いてから回答してくれた。その理由は、銀河の中心にある巨大質量のブラックホールとなる。それぞれの光点から発信されている魔力波だが、電波や光などと同じようにブラックホールの高重力から逃れることはできないらしい。その為、西の光点にあるだろう拠点から魔力波を目的の場所へ向けて発信できない。そこで、北の光点にある拠点を経由して目的の場所に向けて発信させているとのことだった。


「つまりね、シーグ。東西南北の拠点から発信された魔力波が交わる場所。ここが、本当の意味での拠点だと思われるのよ」

「へー。だけどよく、その本当の意味の拠点とやらはブラックホールに吸い込まれないな」

「この場所なら、計算上問題ないわ。この場所はね、ブラックホールのバビタブルゾーンだから」

「え? ブラックホール近くに、そんなところがあるのか!?」

「あるのよ、これが」


 何でもブラックホールの近辺、勿論宇宙的な意味なので実質には光年単位の距離となる。しかしそれでも、ブラックホールから近い距離であったとしても問題が出ない領域というのが存在することがあるらしい。その領域のことを、ブラックホールのバビタブルゾーンと言うのだそうだ。上手く条件が噛み合えば、ブラックホールの近くであっても生命が誕生して普通に生活できる可能性があるらしい。何とも宇宙というのは、神秘に満ちている。だからこそ、フィルリーアに転移というか憑依したあと宇宙を旅してみたいとも思ったわけなのだが。

 それはそれとして、本当の意味での拠点とやらが分かったことはいい。問題は、これからどうするかということだ。既に一か所の拠点を物理的に消滅させている時点で敵対していると言っていいだろう。それが成り行きであったとはいえ、敵対したのは事実。そのことを放っておくというのも、正直に言えば寝覚めが悪い。少なくとも、決着だけは自分の手で付けたいものだ。


「俺としては、このまま放置ということはしたくはない。たとえ成り行きという点が大きかったとはいえ、手は出してしまった。だったら、けりは付けておきたい」

「それは、わたくしも同じよ」

「俺としては、決着云々けっちゃくうんぬんよりも知りたいことがある! シュネが言っていた、実験をしているように感じるというその意味だ!!」


 よくよく考えてみれば、クルドを除いた俺たちが元々もともといた惑星フィルリーアも、この銀河にある恒星系の一つとなる。ならば、この銀河で起きていることであれば他人事というわけではないと言っていいのかも知れない。転移というか憑依というか何とも表現がしづらい俺とシュネ、そして転生組となる祐樹と舞華と俊は本当の意味では関係がないのかも知れない。だが、数年とはいえフィルリーアで生きたことは俺たちや祐樹たちであっても紛れもない事実。ならば、他人ごととするにはいささか情に欠けるというものだろう。


「なら、反対はないよな」


 最後にもう一度だけ確認すると、全員が頷いた。方針が決まれば、あとは実行に移すだけとなる。ゆえに俺は、情報と状況を一番把握しているだろうシュネへ、助言を求めたのだ。


「方針が決まったところでシュネ、具体的にはどうした方がいい? ここはやはり、一気に本拠地へ乗り込むか?」

「いいえ。その前に、銀河西部地域と銀河東部地域にあると思う拠点の存在を確認しておきたいわ」

「そっか……そう言えばシュネ」

「何かしら」

「その予測した拠点の位置だけど、どうやって知りえた?」

「それは、銀河の北部と南部にあった拠点の位置が分かっていたからよ」


 シュネに言わせると、銀河の南部と北部にあった拠点というのは予測している銀河中心付近にあるだろう本当の拠点を挟んで対角線上にあるらしい。そこで北と南の拠点の中点に目標となる拠点があると仮定して、その場所から直交方向に伸ばして予測した場所というのが東と西にある光点だというのだ。

 シュネ自身、ほぼあることは間違いないと思っているようだが、それでも予測の範囲でしかない。そこで、裏付けの為にしっかりと確認しておきたいのだと言うのだ。そこで、今までの拠点のように制圧するのかを尋ねると、彼女は首を横に振っている。


「ケースバイケースだと思っているわ。相手に知られたからと言ってすぐにどうこうということはないと思うけど、敵対している存在に対して情報は与えないに限るから」

「それは、その通りだな。となると、まず行うことは、この西部地域の光点に対してだな」

「そうなるわね」

「では、行くとするか」


 俺の声に従って、全員が立ち上がる。そのまま戦艦カズサの艦橋まで行くと、移動を開始した。その後、シュネが計算から割り出したという銀河西部にある拠点。その座標からある程度の距離を置いた場所までワープを使って移動した俺たちは、情報収集の為に探知に特化した機体を周囲に向けて飛ばす。一応シュネの計算から目標地点は分かっているが、あくまで計算による予測でしかない。その為、座標がずれているような可能性もあるのだ。だからこそ、予測地点の座標からから距離を置いた場所までしか移動しなかったというわけである。実は最悪の場合だと、目標の拠点すぐ近くに出てしまう可能性があったからだ。ま、結果としてなかったのだから問題ない。そうしておこう。気にしていたら、きりがないからな。


「あとは、果報は寝て待てと言ったところかな?」

「その通りだけど、周囲の警戒だけは忘れないでね」

「勿論だ。ステルスも働かせているし、レーダーも起動中だ」

「それならいいわ」


 実際のところは、ネルトゥース任せなのだけれど。

 流石にすぐというわけにはいかず、時間は思ったよりも掛かってしまったがついに目標の拠点の位置が判明する。計算で求めたからか、多少は座標にずれがあった。しかしシュネに言わせると、これくらいの誤差は予測の範囲内らしい。ということは、シュネが計算で求めた拠点の座標がほぼ当たっていたということだ。これならば、銀河東部地域にある筈の予測した拠点の位置を索敵するにも当てになる。無論、割り出した座標のすぐ近くにいきなりワープするなどといったことはしないけれども。

 取りあえず先のことはいいとして、今は見付けたという拠点の確認だ。ステルス機能を全開にしながら移動した俺たちは、そこでシュネの作成した「ゼロエリア発生装置」使用してみる。そこで見つかった拠点は、他の拠点と同様に小惑星を材料として作られている。同じような外観で変化があまりないので面白みに欠けるが、効率という意味ではいいのだろう。


「ほぼ、間違いないわね。事前に出ていた魔力波と、隠されていた拠点。これで違うと言われても、信用できないわ」

「そうだろうなぁ。それでは、行くとするか」

「ええ」


 その後の手順は、北にあった拠点を襲撃した時と同様である。そしてその襲撃は成功して、特に問題なく制圧する。念の為に拠点の中枢にあったコンピューターから情報を収集してから、そこの拠点から離脱していた。その後、俺たちは、銀河西部地域から銀河東部地域へと移動する。そして銀河西部地域と同様の手順で拠点の存在を確認したのだが、最後の最後で手順を変えることになる。それはシュネが言いだしたことで、一切手を出さないというものだった。


「え? いいのか?」

「ええ。その方が警戒されないと思うのよ」

「どういうこと?」


 シュネに尋ねると、その根拠を教えてくれた。

 流石に同じ手を三度も使うと、相手も疑うだろう。しかし二度目までならば、偶然不幸な事故が重なっただけだと思うかも知れない。そのことを狙って、とのことだった。確かに一度や二度ならば偶然だが、三度目は必然とか聞いたようなことがある気がしないでもない。その点で言えば、二度目で止めたほうが無難だろう。だけどそうなると、確認作業として大丈夫なのかは気になるところだ。


「一応、近くまで行くつもりよ。それに、魔力波の感知と発信方向が分かれば大よそ問題ないわ。少し、正解確率は下がってしまうけれど」

「ふむ。専門家のシュネが言いというなら、それでいいだろう」

「何度も行ったけれど、専門家じゃない……はぁ、もういいわ」


 俺が「今さら何を」という表情を浮かべていたのを見たのだろう。シュネは諦めたかのように、言葉を続けるのを止めていた。それから俺たちは、静かに潜航して拠点の座標へと向かう。隠されているので見付けることはできないが、モニター上には魔力波を確認している反応が出ている。その事実を確認したシュネから、問題ない旨が告げられる。その言葉に俺は頷くと、いそいそとこの場から離れたのであった。

別連載の「劉逞記」もよろしくお願いします。

古代中国、漢(後漢・東漢)後期からの歴史ものとなります。


ご一読いただき、ありがとうございました。

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