6話
こんなに緊張して学校に行く日が来るとは思っていなかった。今日はおむつ登校初日。制服の下におむつとカサカサというおむつ特有の音の対策でハーフパンツをつけて、いつもより30分も早く家を出た私は、昇降口で靴をはきかえてとある場所へと向かった。いつもなら運動部が朝練をやっている時間だけど、今はテスト期間中なのでほとんど誰も学校にいなかった。
2限と3限の間の休み時間、私はさりげなく1階にある、旧宿直室へ行った。朝一番に来たのもここだ。一見、鍵がかかっているが、ガラスが割れてベニア板で塞いでいる部分に手を入れると、中から鍵を外す事が出来た。ためらわず中に入って、ハーフパンツを脱ぎ、おむつの横のギャザーを破って、新しいおむつを履く。脱いだおむつは家から持ってきたゴミ袋に入れる。昨日とおととい試してわかった事だが、おむつを交換すると結構な音がする、横のギャザーを破らずに脱いでもいいが、どちらにしても新しいおむつと脱いだ物を置いておく必要があり、その点でここは最適だった。私はこの部屋の存在を1学期の大掃除で知った。朝のうちにおむつはここに置いておき、交換する時は往復とも手ぶらで来ることが出来る。
こうして、何食わぬ顔で私は3時限目のテストを受けるのだった。