その後(?)
蛇足の蛇足で数年後の話です。エンディングの後の話を考えるって創作の始まりだと個人的に思います。
「ただいま!」
「お姉ちゃん、おかえり」
私は北村かおる、17歳のフツーの高校生。そして、今私を出迎えたのが私のお母さん、29歳になる。
あれ?計算合わなくね?と思ったアナタ、正解です。実は私とお母さんは本当の親子ではない。でも、私が4歳の時に私のお母さんになるために家を飛び出てきたらしい。
「ごめん、ちょっとドラッグストアに行ってくるから、『あゆむ』を見ててくれない?」
「は〜〜い」
あゆむというのは私の妹である。もう少しで2歳になる。
「今はお昼寝してるから、手はかからないと思う」
言いながら、お母さんは玄関を出ていった。ふむ、妹の近くでコンビニで買ったおやつでも食べますかね。
「ねぇねぇ」
お、起きた。抱き起こして、オムツの股の部分をつまむ。グニョとした感触。こりゃオムツだね。それで起きたのだろう。
「あゆむ、おしっこ?」
「うん、でた」
「じゃ、オムツ替えるね」
「は〜〜い」
ギャザーを破って、お尻拭きで拭いてあげる。あれ?オムツがない?
「セーフ!」
息を切らしてお母さんが帰って来た。なるほど、それでドラッグストアに行ったのね。買って来たばかりのオムツを履かせてやろうとしたら、自分で履こうとしている。
「お姉ちゃん、私のも替えて?」
「も〜〜、自分で替えなよ!」
「だって、この時期、ベビーパウダーをはたかないとすぐに被れるんだもん」
「はいはい」
しょうがなく先程と同じ作業をくりかえす。誰に?と思ったアナタ、正解です。先程オムツを買って帰って来たお母さんである。この家にお母さんが嫁いでから、1度もおしっこでトイレを使った事がない。括約筋というおしっこを我慢する筋肉が緩んでいるため、尿意を感じる事なく、失禁してしまうらしい。(しかも、大きい方もあまり我慢できないらしい)
最初にお母さんからオムツを見せられた時を今もおぼえている。高校の制服でうちの庭に突然現れて、オムツを濡らした。そのおかげで私はオムツから卒業できたのかもしれない。いろいろとトラウマがあるので言いたくないが。
その交換の光景を見ていたあゆむが言う
「ママとおそろいだ」
「そうだね、おそろいだね」
懐かしい言葉に胸が高鳴った。
翌朝、嫌な感触で目が覚めた。股から背中にかけてグッショリとした感じ。十数年ぶりにやってしまった。
「お姉ちゃん、そろそろ起き・・・」
お母さんが起こしに来た。多分、匂いで気づかれた様だ。そして布団をめくる。
「お姉ちゃん?どうしたの?」
「久々にやっちゃったみたい」
「そのままシャワー浴びて来ちゃって。あ、パジャマとパンツはここで脱いでね」
黙って言う事に従い、お風呂場に行く。ついでに、歯も磨いておこう。
シャワーと着替えを済ませて、リビングに向かう。幸い、朝食を食べてもバスには間に合いそうだ。テーブルの上には、トーストとカップスープが用意されている。
トーストをかじる私に突然異変が起きた。ものすごい尿意である。全く太刀打ち出来ずに、その場で決壊してしまう。どうして?
「あらあら、まるで初めて会った日のようね」
「ごめんなさい」
「いいのよ。私が怒っても説得力がないし、でも制服が汚れたから今日はお休みしようか?」
「うん、わかった」
ふたたびシャワーを浴びる。脱衣所でお母さんと鉢合わせた。当たり前か、私の制服を洗濯しているのだから。
「かおるちゃん、どうする?」
『かおるちゃん』か、久しぶり聞いた気がする、妹が生まれてからずっと『お姉ちゃん』と呼ばれていたのである。後半のどうするの意味はわかっている。前の(本当の)お母さんとは違うって事だろう。
久しぶりの感覚を味わう。包まれるような温かい感触。起きて来たあゆむが私を見て笑う。
「お姉ちゃん、おそろいだね」
そういえば、オムツが丸見えだった。
私もつられて笑う。
「そうだね、おそろいだね!」




