その後(7)
その県に電車で行くのは初めてだった。新幹線と特急列車を乗り継ぎ、さらにローカル線に乗り換えて私は目的地を目指す。
目的地の最寄り駅についた。一面銀世界で色の付いたものは自動販売機しかない駅。寒いしカフェオレを買った。ここからこの雪の中を1キロ近く歩くのだ。
スマホの地図を頼りに目的地を目指す。駅から坂を下ると、数件家が見えてきた。地図によれば1番奥のかろうじて見える家らしい。
後50m。ここで私は誰も見ていないのをいい事にタイツを脱いだ。突き刺す様な冷気が脚に襲いかかる。それを気にせず、目的地に急いだ。
「久しぶり、かおるちゃん」
「え、お姉さん!」
連絡も入れず、突然現れた私に驚くかおるちゃん。私はかおるちゃんの連絡先を知らないので、こうするしかなかった。良かった、いてくれて。住所にしても保育園の重盛先生が園のかおるちゃんの私物を送るのに聞いたものをメモしただけだし、もうここに住んでいない事もありえた。だからだろうかなんでか涙が出てきそうだ。
かおるちゃんはそんなことに気づかず、私に駆け寄る。思わずギュッと抱き上げた。
抱き上げて触れたお尻に、私もよく知る感触。やっぱりだ。かおるちゃんは嫌がるだろうけど、かおるちゃんを下ろしてスカートをめくる。
「あれから、おしっこがわからないの」
かおるちゃんは恥ずかしそうに言った。対照的に私はニッコリと笑う。
そして、スカートの裾をあげる。中をかおるちゃんに見えるように。
「実は私もなんだ。おそろいだね!」
「え、ウソだ。お姉さんなのに?」
「わからない?ほら、今」
「あ、色が変わっていく!」
「ね、一緒でしょ?」
「うん!一緒だね!」
かおるちゃんが笑顔になる。
こうして私はあの時の『失敗』を『成功』に変えられたのかもしれない。
ここまでご覧いただき、ありがとうございます。できればまた別の物語でお会いしましょう。




