その後(4)
「膀胱炎で間違いないそうです。それでは今後の対応についてはお願いします。私は平野さんを家まで送迎して戻りますので」
保健室の先生は電話をバッグに入れると軽自動車のエンジンをかけた。
「お待たせ。家まで送るけど、ちょっと寄り道して行くね」
「はい」
車はゆっくりと走り出す。カーステレオから少し昔のヒット曲がずっと流れている。
「下北の方よね?」
「はい。駅の南口からコンビニを右折して、ドラッグストアの次の信号を左折した住宅街です」
「了解。そのドラッグストアに寄るわね」
「あ、そういえば、今更なんですが」
自分でもどうかと思うタイミングで全く関係ない事を聞いた。
「先生のお名前って」
「そういえば、初対面で自己紹介もしてなかったね。有馬五月よ。さつきでいいわよ」
「じゃ、さつき先生で」
これから卒業まで長い付き合いになる確信があるので聞いておきたかったのだ。
近所のドラッグストアに着いた。
「ちょっと待っていてね」
と、さつき先生は私を残して店内に入る。5分と待たずに帰ってきた。手にしていたのは、私が今着けているのと同じタイプのオムツだった。
「病院で見た時から結構汚してたからね。心配しないで、経費で落とすし。それで今から交換しましょうか」
「え、今からですか?」




