その後(3)
「白血球と細菌が多いですね。間違いなく膀胱炎です」
白衣の中年の医師がそう告げた。保健室の先生がさすがにプロだからだろうか、質問を返す。
「単純性膀胱炎と考えて良いのでしょうか?この子の場合、尿失禁の症状まであるのですが?」
「今のところは、としか言えません。平野ゆいさんの場合、過活動膀胱の兆候もありますが、医者として膀胱炎の治療を優先させていただきます。膀胱炎を放置すると腎臓まで病気になりかねない」
少し困った顔で長々と返した。保健室の先生も納得はしたようだ。
「わかりました。ありがとうございます」
私は知らなかったが、ここは春に提出する尿検査を担当している泌尿器科の医院らしい。保健室の先生の車で学校から10分とかからない場所にあった。簡単な問診を看護師さんとした後、尿検査とエコー検査を終えて、最後のやりとりだった。
私はホッとした。膀胱炎になった事にだ。これにはトリックがある。私はこれまでの2週間、トイレを我慢できないようにカテーテルをつけたまま生活していた。その間に2回カテーテルの交換をしている。理由は2つで1つはカテーテルを入れる際に雑菌が入るようにするためだった。しかし、実際のところ検査してみるまで結果はわからない。私にとっては今回最も良い目が出たと言っていいと思う。
だが、現実は私の予想を超えて大きくなった。




