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失敗の成功  作者: 062
10/21

その後(1)

だいぶ説明不足だし。でも蛇足になってるかも。

実は保健室に来たのは初めてだった。

保健室の先生は誰かと電話で話していたみたいで、スマホを着ているポケットに入れながら私を迎えた。

「2-2の平野さんね」

コクンとうなづく私。ここから先は出たとこ勝負。もう計画のレールはなかった。ただ、そのレールに乗って走ったスピードが残っている。

「授業中だった奥田先生から、さっき連絡を受けています」

さっきの通話はどうやら私の事だったようだ。確かアラサーの先生は続けた。

「授業中に突然だったって聞いてるけど、どうしたの?」

「実は」

少し困った表情を意識して作った。

「実は体育祭の練習で結構トイレを我慢したせいか、その、あの・・・」

それ以上言わなくていいよと伝わるような、そんな笑顔を先生は作った。初対面なのに安心するような笑顔、言い淀んだ私の続きを語り出した。

「おしっこすると痛くなって、さらに我慢するようになった?」

ぶんぶんという勢いで私は肯定の意味でうなづく。

「なるほどトイレ行列、長かったもんね。で、実はトイレも近くなってるんでしょ?」

ふたたび肯定。

「膀胱炎だろうね。しかもそれでおもらしって重症かも、わかった。まずは着替えようか」

そう言って準備を始める先生。

「いやー、おとといが体育祭でよかったよ」

と言って奥のベッドの一部分にレジャーシートを敷いた。

「スカートとパンツを脱いで座ってて、カーテンは閉めておくから」


言われた通りにして待つ事5分、もちろん下半身は何も着けていない。カーテンでわかんないが戸棚を開ける音が聞こえる。

「替えのパンツはあるんだけどね、スカートの予備はないわ。ハーフパンツで我慢してね」

と言いながらカーテンの隙間から渡された物を見る。なるほど、サニタリーショーツだった。これなら高校にあっても不思議ではない。

「ちょっと、担任に話して早退許可をもらうから、ヒマなら横にでもなっててね」

そう言い残すと保健室はしんと静かになった。やる事もないのでベットに横になる。遠く音楽室からだろうか、オルガンのメロディーが流れて懐かしい気持ちにさせた。


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