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あの子は、あの世と通話していたらしい

作者: トントコ修造ハレルーヤ

ホラー書こうと思ったのですが…ホラーにならなかったかもしれないボツ品です。


ゾッとしていただければ幸いです。

 俺は『ツギモト タケシ』この足を折って、病院に入院してから早1ヶ月になる。病院の生活にも大分慣れたと言うのだろうか…。もうほとんど変わらない毎日が続いていた。そんなある日、隣の病室に誰かが入院してきたようだった。暇だし、ちょっと覗いてみようかと思い、松葉杖に手をかけた。するとお隣の病室の…父親らしい方が俺に挨拶をしに来た。


「どうも、今日からお隣の病室に入院する事になった『マツダ』と言います。今後とも息子をよろしくお願いします」


 身なりは一般的の服装で普通に優しいそうな人だった。


「あ!どうもご丁寧に…こちらこそよろしくお願いします!」


 この時までは普通で、特に問題という問題はなかった。

 結局、隣の病室にいる子が小学生ぐらいの男の子だとわかったから、俺は松葉杖を置いた。


 それから何事もなく数日が過ぎた… そう何事も…


 そんな夏の暑い夜。俺は…消灯時間になる前に飲み物を買おうと自販機に向かった。自販機の前には休憩ができるイスと公衆電話がある。今じゃスマホ携帯の時代に、今でも現役で頑張ってる公衆電話はすごいと思う。使う人は…やっぱりいるんだろうか。


 薄暗い廊下を歩いていると(やっぱり…幽霊とか出るのかな)と思ってしまう。俺は冷房の寒気と怖さが加わって身震いをした。さっさと目的の物を買って戻ろうと思った。自販機が見…え…たと思ったら、小さな男の子が電話をかけていた。


(あーこの子が隣の病室の子かな?)俺は静かに自販機に近寄り、気に障らない程度に慎重に動いて目当てのものを選んでいた。選んでいたら男の子の喋り声が聞こえた。


「ね!ママ!いつ会えるの…?寂しいよ…ママ…」


 あーよくある話だよな。まぁ子供にしてみれば、病院は怖いもんなー。そりゃそんな泣き言も言いたくなるよな。俺はそっと飲み物を買い、自分の病室に戻った。


 翌日から俺はあの子の事が気になりだしていた。だが…それが間違いだった。俺はあの子が電話する時間をわざと合わせて、飲み物を買いに行、男の子の電話の内容を覗き見みをした。


 毎日…毎日… 聞いた…


 あの子が喋る内容は、一向に変わらなかった。


 毎日…毎日…


「ママ…寂しいよ………………………ママ…痛いの……………………ママ…会いたい…………」


 そんな毎日が続くと思っていた。そして…その時が来た。


 その夜、あの子はいつも通り電話をしていた。今回はちがうかった。


「え!ママ会えるの!?本当に!?寝てたらいいの?うん!わかった!」


 翌日の朝、男の子は…この世から去っていた。


 俺は…何かしてやることがあったんじゃないのかとちょっと後悔した。

 すると隣の病室の父親が挨拶に来た。


「この度は誠に残念な結果になりました。もうここに来ることはないでしょう…これを…どうかお納め下さい」


 渡されたのは巾着袋にはいった大量10円玉だった。


「これは?」

「お好きにお使いください。私には不要のものでございます…。あの子は…誰に電話していたのでしょうかね」


 そう言うと父親らしき人は病室から出て行った。俺は何を思ったのか、あの公衆電話に向かった。何の変哲のない公衆電話…しかし、よく見ると公衆電話の下にメモが挟んであった。


 何かと思い…取り出して見てみると内容は…。


「090-****-****」ママの番号


 俺は、なぜ…母親は、何も答えてあげなかったのか気になり、あの子の親の電話番号に電話した。すると…


「ピー、ママだよ〜!今電話がかけられないからメッセージをどぞ〜ピー」


 何だこれは…え?あの子…もしかして…ずっとこのメッセージに電話かけていたってことなのか!?なんで…そんなことを…でも最後は返事が返ってきてたみたいだし…でも…なんで…。わけがわからなくなっていた。


 ボトッ


 ショックで巾着袋を落とした。すると大量の10円玉の中から白い紙がはみ出してでてきた。それを拾って見たら何かが書かれていた。内容は…あの父親からだった。


「これはあなたに向けた。私からの謝罪です。詳しいことを知らないあなたにここに記しておきます。結果から申しますと…母親は数日前の事故で、お亡くなりになっています。うちの息子もその事故で心臓に障害が残ってしまい、余命も…数日程度でした。私は、息子に寂しい思いをさせないために、あのメモと大量10円を渡しました。これで紛らわすしかなかったのです。これであの子も天国で母親と会えたことでしょう。面倒なことに巻き込んですいませんでした。その10円は、額にしたら大してないですが、使っていただければ幸いです。」


 そうか、あの子はずっと…ずっと…ずっと…死んだ母親に電話をかけていたのか。それでよかったのだろうか。あの子はその真実をしらないままでなんて。俺は…そのもらった10円玉で線香と花束を買い、亡くなった子の墓に手向けた。今考えるとちょっとゾッとする話だったな。息子も母親をもなくし、残されたあのお父さんはこの曇った空のように、憂鬱に生きていくんだろうか。


 夏は、これから猛暑が続くようだ。

読んでいただきありがとうございます。


初のホラー?作品ですが、他にも何か書いていこうと思います。

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