2話 世の中、願っとけばなんとかなると思ったら大間違いなんだよぉ!!
あらすじ。
神とーじょー。
「え……?いや、誰……?」
思わず発した言葉に目の前の少女はキョトンと不思議そうな顔でこちらを見る。
「やーだなぁ!!神様って言ったじゃないか!!
ニート大学生は脳みそまで腐っちゃったのかい??」
そう言いながら、神様と名乗る少女は大声で笑い転げている。ちょっとムカついたんで、あとで殴ろうと心に決めた。
「いやいやいやいや、こんなん対応できる方がおかしいだろ!!俺はただの一般大学生なんだよ!!そこらへんのチート主人公みたいに対応力MAXじゃないんだ!!」
「うーん。なんともまぁ、普通のことを。もうちょい面白いことを言っておくれよ。ま、いいや。今日、私がこうしてホマレ君の前にいる意味、わかるかい??」
神様という少女はキラキラとした目で俺の顔を覗き込んでくる。もしかすると、そうかも知れないという答えは想像ついているのだが、非現実的な出来事の前でただただ混乱するばかり。
「い、異世界だったり……する……?」
あの恥ずかしい叫びの後なんだから、大体これだろと思いつつも恐る恐る聞く。
「ファイナルアンサー……?」
「(うぜぇ。)ふぁ、ファイナルアンサー……」
「…………………。」
「…………………。」
緊張が走ってるようで、走っていない。
そして、神は口を開く。
「だーーーーいせいかーーーーーーい!!!」
穂希は頭をポリポリと掻いた。
言いたいことは山ほどある。
しかし、事実ならこれほど嬉しいことはない。
ほぼ冗談ではあったが、毎日毎日異世界に行きたいと願っていたのだ。
怖さもある。なので、落ち着くためにもそこのアホ神に色々と質問をぶつけてみなければならない。
「おい、神様。なんでいきなり俺なんかを異世界に連れてくとか言い出すんだよ…!」
にんまりと笑って神は答える。
「そりゃ、あんな恥っっっずかしいセリフを1年間聞かせられたら、叶えてやろっかなーっていう慈悲の心も芽生えるってもんだよ!」
オォウ……!イエェェェェス!!!!
圧倒的厨二病のお願いを毎日毎日聞かれてたんだって思うと途端に恥ずかしくなってきた。
多分今の俺は顔真っ赤だろう。もうやだ。
「そ、そ、そ、そうかっっ!そうだな!俺が願ってたんだもんな!選ばれし勇者がなんたらーとか必要になったんだろ?納得だわー。仕方ねーなぁー。いっちょ異世界のために一肌脱ぎますかぁ!!」
恥ずかしさをごまかしながら、だいぶ憶測もいれて神に向けて返答する。すると…。
「いや、別に勇者とかで呼ぶわけじゃないけど。」
「え?」 「え?」
「え、だから。なんていうの?ただの暇つぶしで叶えたげようかなって。なかなか1年間そんなお願いするってできないからさ…。」
「えぇ…うそぉん…。勇者じゃないの?俺…。
まぁ、いいや…。そう上手くいくわけないよな…。そう!世の中そんなに甘くない!!おっけい!スーパーぶっ壊れチート能力ぐらいで満足してやるわ!!」
勇者じゃないことにショックを受けながら、まぁ、異世界でカッコよく、苦労もせずに生きれればいいかと切り替える俺。しかし、神は…。
「いや、特にそういう能力とか用意してないんだけど。」
「え?」 「え?」
「え、だから。なんていうの?異世界行きたいだけだと思ったしさ…。そもそも、流石に能力まで求めんのは図々しくない?ね?そう思わない?」
涙目になっている俺に気づいたのだろう。バツが悪そうに俺の顔を見る神。いや、そうだよね。そんな上手くいかないよね。でも、なにこの肩透かし。あ、やべ。なんか頰をつたってきた。
慌てて袖で顔を隠し、神に顔を見られないようにする。しばらくして、姫宮穂希は様々なことを考えたのだろう。何かを決心したように顔を上げて、あることを告げる。
「俺、異世界いかへん。」