1話 世の中、願っていれば大抵なんとかなる。
よろしくお願いします。
とある12月の寒い夜、1人寂しく歩く青年を、神様は静かに、面白そうに眺めるのであった。
ふぅ……。あ。どうも。姫宮穂希と申します。ちなみに、男です。
女の子と勘違いしたって??
ハハッ!それ友達にもよく言われます。
ま、友達いないんですけどね!?!
ダァーーーハッッハ!!!!
……………………。
ふぅ。やめましょ。辛くなりますわ。
とりあえず、自己紹介の続きしますね。
大学2年生。19歳。童☆帝。
こないだまで、バイトをしていたんですけど、給料の割に忙しかったので辛くてやめました。
ようするに、今は絶賛ニート中ってわけなんですねぇ〜。あ!お金は、パチンコしながら生計を立ててるので心配しないでください。(立てられてるとは言ってない。)
単位はわりかし取得している方だと思う。だが、ここで俺は苦言を呈したい!!それは、人類が長らく問題にし、今もなお愚かな人間は改めようとしない…!
そう!人種差別問題についてである!!!
友達の少ない(いない)俺は、授業に毎日行かなきゃついてけなくなってしまう……!だから、必死に先生の話を聞いて頑張っている。
対して、友達、女、酒、の三拍子が揃っている、通称ウェイ系の大学生は友達のツテで授業サボっても、なんならテスト対策すらしないで単位を取っている。
おかしくないか?
おかしいよなぁぁ???
人種差別だよなぁ!!
マジずるいってぇ。
俺もそういう生き方したかったよぉ。
いつからこうなったん??
わからん。
まぁ、いいや。いいよいいよ。そうなる運命だったんだわ。
そんなわけで、最近、学校もサボり始めている。
あ、童貞とかには触れんなよ?
いや、捨てれるっちゃ捨てれるんだけどね?
やっぱ、最初は好きな人としたいっていうかさ?そんな感じなんよね?
風俗とかそういうのはなんか違うかなーって思っちゃったりするわけよ!
決して、チキってるとかそういうんじゃあない!!断じて違う!!!!
なので、俺はこの童貞を誇りに思っている!
ちなみに俺の顔は中の上だと個人的に思っている。いや、もうちょい上かも。
ま、彼女ができるのも時間の問題だろう!
と、1人オモシロ自己紹介ゲームをしているうちに、お家に着いたようだ。
「ただいまっと……。」
俺の声が、誰もいない6畳の部屋に静かに響く。
さぁてと!今日は2万勝ったし、豪勢にコンビニ飯や!!!うれぴー!!!
コンビニ飯を食い漁り、ひとしきりスマホゲームをやり終えた俺はベッドの上に寝転んだ。
そして、いつものルーティーンを行う。
右手を天井に掲げ、集中力を高める。
そして、隣の部屋に聞こえないであろうボリュームで叫ぶ。
「異世界に行かせちょくりーーーーー!」
………シーーーーーーン。
うん。分かってる。20歳になってそんなことしてて恥ずかしくないの?とか、思ってるだろ?
分かってるってぇ!!そんなん無理なことくらいサァ!!
でも、憧れんじゃん!異世界!
スーパーぶっ壊れ能力もって、美少女とキャッキャウフフしたいやん!!!
最近、転生したら◯◯◯◯だった件とか◯◯ですが、何か?とか流行ってるじゃん!!
そんなん見てたら異世界行きたくなるわぁ!
カッコイイし、ドキドキするし、基本みんな美人だし!!!!
もしかすると、異世界の出会いで、どっかのキ◯ト君みたいな美人彼女ができたりするかもじゃん?
だからいいでしょ!!!
誰にも迷惑かけてないんだから、俺のストレス発散のために叫ばせてよ!!!
夢くらい見させてよ!!!!
ガタンッ!
…え?なんか机の方で音なったような…。
うわっ、これたまにあるやつやん!
物とか勝手に落ちて、すっごい怖くなるやつじゃん!!
マジ無理だから!幽霊とかいないの分かってるけど、そういうの苦手なの!!
心弱いの!!!!
ガタン、ガタンッ!!!
いや待って、明らかに机揺れとるんですけど。超怖いんですけど。
ガタガタガタガタガタガタッ!
ガタガタガタガタガタガタッ!
もうムリィ!!!!きょわい!!!!
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅぅ!!!!
半ベソかきながら、一刻も早く家から飛び出そうとする俺。しかし、部屋のドアがなぜか開かない。ドアノブを壊す勢いで必死にドアを開けようとする。そんな俺をバカにするように、あの国民的アニメの音楽が流れ始めた。
テレレレレレ、テレレレレレ、テレレレレレ、テレレレッ!
テレレレレレ、テレレレレレ、テレレレレレ、テレレレッ!
テテレ、テテレ、テテレ、テテレ、テテレ、テテレ、テテレレッ!
テテレ、テテレ、テテレ、テテレ、テ!
テンッ!!!テンッ!!!
「ぼーくー、カ〜ミ〜サ〜マ〜!!!!」
そんなことを言って、机の引き出しから現れた謎のロリ美少女を、俺はただ呆然と見ることしかできなかった。
そして、この出来事は姫宮穂希の悲願を叶え、運命を変えるビックイベントであった。