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日報5
4月24日。
コトミと幸助が会話をしていた。
もう少し噛み砕いて表現するならば、コトミは幸助の声を聞いていた。聞こえていた。
いつのまにかデバイスの文字による会話ではなく、声で、口でコミュニケーションをとっていたのだ。
事情を聞いてみる。
コトミは、自分でもよくわからないと言った。幸助の方は、自分の過去、つまりは少年兵時代の事を恐る恐る文字による会話で話していたとき、不意に発した溜め息をコトミは聞き取り、もしかしたらと思い、声で語りかけてみたら彼女は嬉しそうに聞き取れることを喜んでいたと言う。
ひょっとしたら私なんかの声も時間をかければ届くのかと思ったが、自身の家族と言うこれ以上ないくらいに近しい人達の声は届いていないことを思い出した。
一体、幸助と私で何が違っているのだろうか。




