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日報12
5月2日。
気温が高くなり、リラックスルームのスタンドから水がどんどん減っていく。
幸助に本を与えてみた。私の私物だ。とある少年兵の話、と言うよりも虐殺の話。
人の殺意とは、人の心とは。そんな内容が書かれている。
コトミに字を習いながら没頭して読んでいた。
幸助の好奇心、と言うか知識欲には驚かされる。与えられた物にかじりつき、兎に角骨の髄まで味わい尽くす。その様子が面白くもあり、時々不安にもなる。
きっと、少年兵時代もこうして与えられた状況下でなにが出来るかを考え、必死に生きていたのだろう。