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009 お願い

「あのー。私、健太けんたと一緒に学校に行きたいな!」


 そう言えば、ひめの着ている服は松原高校のせいふくじゃんか。なんで、なんで。スクールラブってやつか。憧れの学園ライフがすぐそこに。あーもう、想像したら鼻血出そう。


「ちょっとまってね」


 僕は自衛隊の仮設テントの方を向いて叫んだ。


「宇宙人さんが松原高校に通いたいそうでーす」


 テントの中が急に慌ただしくなる。自衛隊の方に連れられて校長先生が駆け込んでくる。なにやら緊急会議が開かれているようだ。つめかけた戦車が道を開ける。野外コンサート用の巨大モニターを搭載したトレーラーが校庭に入ってきて横付けした。


『OK』


巨大な文字がトレーラーの電光掲示板に表示される。宇宙人と交信するために準備されたものだ。


 大げさすぎないか。あんなもの必要ないだろ?まあ、大人の事情ってものがあるのだろう。父が良く会社と言うものは予算を取ったらなんとしても使うものだと言っていたっけ。憧れの学園ライフに一歩近づくなら何でもいいや。


「OKだってさ」


僕は姫に向かって言った。


「この際だから色々頼んじゃおうよ」


「健太がいいならお願い」


『お願い』つぅー。なんて良い響きなんだ。俺、今、超絶美少女にお願いされている。うれしいーぜ。


「彼女が僕の席の隣に座りたいそうです」


 あっ。石田三美いしだ みつみがテントの前で自衛隊に文句言っている。あんにゃろ。俺を売ったくせに。てか、別に問題ないだろ?強制席替えだ。ざまあみろ。


『OK』


またもOKが表示される。


「お隣同士だね」


「ふふっ。うれしい」


月野姫つきの ひめは僕の手を取って喜んだ。やばい。やばいぜ。つるつるの手。意識が遠のく。おっとまだまだだ。


「二人とも卒業するまで学食はタダにしてくださーい!」


「それは要らない。私が二人分のお弁当を作るから」


えっ!えぇーーーーーー。いきなりスクールラブの最終ステップ。手作りお弁当登場かい。うれしすぎる。


「今のはなしです。学食いりません。もう、絶対いりません」


俺は思わず叫んでいた。

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