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008 彼女との約束


「あのう。お願いがあるのですが」


「はい。何でしょう」


「自衛隊の人に頼まれたのですが、月になにか作りました?」


「あっ。忘れていた!」


「惑星破壊装置が残ったままだった」


わ、惑星破壊装置って!かなり物騒じゃんかよ。かわいい顔して笑顔で言われると実感ないなー。


「それ、撤去できませんか?」


「ごめんなさい。一度設置すると自動防衛システムが働いて、壊せないんです。でも、大丈夫。私が発動してと願わなければ絶対に作動しませんから。宇宙人の技術は完璧なんです」


いやー。安心、安心。ってんな訳ないだろ!


「じぁあ。どんなことがあっても絶対に発動させないでください。約束してくれますか」


健太けんた君が言うのなら」


月野姫つきの ひめはモジモジし始める。その何か言いたそうな顔が、またかわいい。正直、何でも許してしまいたくなる。


 だいたい自衛隊のお偉方もお偉方だ。俺にそんなことを頼んでも。発動させない保証なんてどうやって取ったらいいんだ。契約書にハンコとかサインとかさせればいいんだろうか。


「あのー」


「はい」


「約束の証拠として『指切り』します」


月野姫つきの ひめは細くてかわいらしい小指を差し出した。


 ゆっ、指切り?女の子と?ヤバイ。心臓が破裂しそうだ。なんてきれいな指なんだろう。俺は彼女の指を見つめながら、自分の指を出した。小指と小指が絡まり合う。あったかい。


「じぁあ。私、月野姫は健太君に誓います。惑星破壊装置を絶対に作動させません」


「はい」


「指切りげんまん。嘘ついたら針千本飲ーます。指切った」


 小学生みたいな約束だが地球側に主導権なんてない。俺はやれるだけのことをやったのだ。地球のために。人類のために。


「うふっ。健太君と約束。なんかうれしい」


彼女の白くてタマゴみたいなつるつるの顔が赤く染まった。


「ありがとうございます」


「私からもお願いがあります」


「?」


「私たち、もう恋人同士なのですから敬語はやめませんか。それと私のことは姫って下の名前で呼び捨てにしてください」


姫って呼ぶの!なんかとっても恥ずかしい。そんな目で見詰めないでください。失神してしまうではないですか。


「ひっ。ひっ、姫」


うわっ。手汗びっしり。体が熱い。熱出てきそう。


「はい。健太」


「姫」


「健太」


「姫!」


「健太!」


「姫!!」


「健太!!」


「姫!!!」


「健太!!!」


俺たち何やっているのだろう。きっとこれ、全世界に配信されている。まあ、いいや。俺、今、最高に幸せなんだから。

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