021 日常
「健太!姫!市長たちが、また新しいスイーツを持ってきたぞ」
うぐっ。今、姫のお弁当を食べ終えだばかりなのに。石田三美のやつ。いつもタイミングが最悪だ。
「今、食べなきゃだめですか?」
「私は大丈夫だよ。三美さん」
「だめ、今、食べるの!草加名市新名物、草加名せんべいUFOサンド。厚めのしょう油せんべいの間にあまいマシュマロをはさんでビターチョコでコーディングしたんだよ。考案者は私」
石田三美!お前いつの間にパティシェになったんだ。策士はどうなったんだ。見た目、チョコパイのパクりだけど。
ガリッ!ザクザク。
「ん。んんんんー。うまい!意外だ」
「ほんとう。おいしい。ビターなチョコの風味から、お醤油とせんべいの香ばしさ、その後に続くあまいマシュマロがマッチングしている。うふっ。健太がせんべいで私がマシュマロ。あまくてしょっぱい恋の味が隠されている」
「わかる!さすが、月野姫。恋する乙女の味なんだよね」
お前らいつからそんな仲に。まあいいや。モグモグしている姫の顔ってチョーかわいい。販売許可する。
「みんなー。街おこしの新しい味ができたよー」
石田三美ってこんなやつだったっけ?なんか違う。
「うっそー。食べる食べる」
うぉー。俺のまわりに女子どもが集まってくる。やばい!ハーレム状態じゃないか?
「僕も入れてくれない」
出たな山下陽!女子の集まるところに山下陽あり。っだもんな。ん。こっちもなんか違う。
「陽君、今日担当の彼女は?」
「全員、別れてきた!」
ばっ。ばか。女子が集まるここで、爆弾発言するな!大変なことが起きるじゃないか。
「えぇー。うっそー」
「私、新彼女に立候補一番乗り!」
「やだー。私だよ」
「陽ちゃーん。私の順番憶えている?」
それ見たことか。恐ろしー。俺は知らん!
「ゴメン!僕、しばらく彼女は要らないんだ」
さっ、更なる爆弾発言!三美にしても陽にしても今日はどうかしている。大地震の予兆なのか?それとも天変地異の始まり?
「健太が逃げ出しそうな顔している。困った健太もかわいい」
姫ー。姫がいれば安心だ。ってなにが安心かって。姫がいれば、俺は何時だって最強になれるんだ。




