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018 あれから一カ月

 あれから一カ月がたった。超絶美少女である月野姫つきの ひめと俺こと山田健太やまだ けんたの恋は続いている。異常な出会いで始まった恋は長続きしないと周りは言うが、二人は毎日、手をつないで登校し、お昼は彼女の作ったお弁当を机を向かい合わせて食べている。


 うらやましいだろー!俺の学園生活はリアルに充実しているのだ。意外だと?面白くないだと!うるさい。が、しかし、進展していない。ケンタが倦怠期けんたいきなんてくだらないギャグをかましたやつ、殺す。超絶美少女においそれと手を出せるやつなんてそうそういないのが現実だ。それでも幸せなんだよー。


「健太。ご飯粒、ついている」


「ん」


彼女が俺のほっぺからご飯粒を取って口に入れる。ニコッ。モグ、モグ。


うぉー!マジかわいい。幸せもん。あっ!姫の唇の横にもご飯粒が。どうする俺。ふふ。


「姫。姫もご飯粒つけてるじゃん!」


「ふふ。取って。健太」


「うん」


俺は手を伸ばして彼女のほっぺについたご飯粒を取った。すかさず自分の口に放り込む。たかがご飯、一粒。日本人ならご飯粒を残すんじゃねー。お百姓さんに失礼だろー。ってか姫、わざとやっているでしょ。嬉しいけど。


「あのね」


「うん」


「この間の身体検査の結果が出た」


ついにこの時が来た。ああああああああ!どうしよ、どうしよ。姫の体に異常があったら。超絶美少女っても、宇宙人だもんな。地球人じゃないんだよね。人間そっくりでもやっぱり・・・。人間の女の子にしてはかわいすぎる。完璧すぎるもんな。聞きたくねー。


「でね」


「うん」


「私」


「うん」


「完全に!」


「完全に?」


「完璧に!」


「完璧に?」


うぉー。死ぬ!緊張しすぎて心臓が止まるー!


「人間の女の子でした」


「・・・。やった!」


「うん。良かった。これで健太とずっと一緒にいられる。おばあちゃんになるまで。宇宙人の技術は完璧なのです」


「うん。うん。ぶっわー」


俺の目から大量の塩水が流れ出る。鼻からも垂れている。口に入ってしょっぱい。だって、しょうがないだろー。お前だって自分の彼女が宇宙人だったらどうする。そりぁ、俺だって身体検査の結果が仮に問題があったとても、彼女を愛する気持ちは変わらないわけで。だからこそ・・・。泣けるわけで。


「健太。ハンカチ」


俺は姫からハンカチを受け取って思いっきり泣いた。クラス中が俺たちのことを注目している。でも、そんなの関係ねー。


姫のハンカチから甘い香りがした。

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