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1 出逢った
「あの、すみません。そこ、私の家なんですけど。」
私は、目の前の男性に声をかけたが、反応はがない。気持ちよさそうに眠っている。
4月も中旬になって、桜の時期が過ぎたとはいえ、軽装で過ごすには心地良い気候をしている。だからといって、他人の家の、玄関の前でグースカ寝るのは、どうかと思うわけだ。というか、今は夕方4時30分を回ったところ。いつから寝ていたかはわからないが、誰もこの光景を見ていないのだろうか。
「ちょっと、いい加減、起きてくださいよ。」
帰宅して10分程、声をかけているが、その間いろいろ考えるのであった。
この人、昼間から寝てるのなら、ホームレスでは?
ホームレスじゃなかったら、どこかのお金持ちなのでは?
まさかまさか、危ない仕事のお兄さんだったりして。
考えてながら、起こしていると小さく身体が動いた。ようやく、と思ってもう一声かける。
「あの、そろそろ起きてくださいよ!」
男性の鼻の頭には、季節外れの桜の花びらが乗っていた。