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オマエやキミとアナタで僕達  作者: 生月 太郎
18/32

第18話 あの頃

今日は日曜日。

休みだからと気を抜いていたら、起きたのが10時だった。

いつからだろう、ハイパーヒーロータイムを見なくなったのは。

僕も成長したな………………

おっとそんなことはどうでも良かった。

それよりも大切な事があった。

買い置きしておいたプリンが今日………………亡くなりました………………

今のはプリンが亡くなると無くなるを掛けてたんだけど、分かりづらかったな。

ということで僕はコンビニに行くことを決意した。

僕の家から最寄りのコンビニは歩いて数分だ。

中学生の時は良く、皆で買い食いしたもんだよ。

そういえば、高校生になってから一度もコンビニに皆で行ってないな。

そもそも癒が武者修行に行ってるし、無理なのかなぁ。

そんなこと考えながら歩いていたら、いつの間にか到着していた。

自動ドアをくぐって入店する。

すると、冷気が僕を包み込んでくれる。

あぁぁ〜〜〜涼しい〜〜〜〜……………

まだ夏は始まってないんだろうけど、外はかなりの気温だ。

こんな天気に外で遊んでたら熱中症になっちゃうよ!

でも、数年前までこんな天気で普通に遊んでた自分を思い出す。

今の僕とは大違いだな。

あの頃僕は、カブトムシを捕まえて喜んでた。


海斗に「いいでしょー」って見せびらかしたら、「コイツのほうがつえぇ」と言ってノコギリクワガタを出してきた。


天音に「カッコいいでしょー」と見せたら、「うわっ!足多い!気持ち悪い!近寄んないで!」と強烈なビンタを頂いた。


癒に「コイツを見てどう思う?」と聞いたら、「良いねー良いねーちょっと描かせてよー」と言ってまるで写真のような絵を描き上げた。


思い出して、苦笑する。

無性に皆に会いたくなる。

僕は何も買わず、コンビニを後にする。

今来た道を走って戻る。

家に辿り着くと、ただいまも言わず、自室へ向かった。


「あった…!」


クローゼットを漁ると、懐かしい虫取り網を見つけた。

そしてすぐさま、海斗に電話を掛ける。


「どうした大地?」

「海斗!虫取りしようよ!」

「急になんだ………………」

「天音も誘うからさ!」

「とりあえず、俺の疑問に答えてくれないか」

「今、皆と虫取りしたい気分だからさ!こんなにいい天気なんだよ?」

「………………分かった。俺も虫取りの準備をしよう。久しぶりに虫取り競争でもするか!」

「ハハッ!良いね!負けないよ海斗!」


電話を切って、ふと窓の外に視線を向ける。

すると、空は青く澄み渡っており柔らかな風が吹いている。

微かに聴こえるセミの音に、気が早いなと思いつつ、胸を踊らせる。

ゲームも楽しいけど、やっぱり外で遊ぶ方が何倍も楽しいや。

虫取り網を持って部屋をでる。

おそらく寝ているであろう、両親にも聴こえるように僕は言う。


「行ってきまぁぁぁす!」


ドアを飛び出せば、海斗が待っていた。

お互いの格好を見て、笑い合う。

あの時の僕達をそのまま大きくしたみたいだ。

何も言わず、僕達は歩き出す。

先程より大きく聴こえるセミの音は夏の訪れを告げているようだった。

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