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オマエやキミとアナタで僕達  作者: 生月 太郎
17/32

第17話 それでも僕は!

ゴメン………………

本当にゴメン。

それでも、それでも僕は!


『黒色と黄色に呑み込まれろ!プリンクラッシュ!』

『全て壊す!消えろ消えろ消えろ消えろ消えろぉ!!!』

『ぐわァァァァァァ!』

『K.O!』


「だ~から何やってんだオマエは!」

「痛い!海斗、叩かなくてもいいじゃないか!」

「オマエは何でわざわざ“プリンクラッシュ”で倒そうとするんだよ!後一撃、小攻撃当てりゃ勝ちだったろ!」

「プリンで勝たずして何が〈皇帝〉かっ!」

「うっぜぇぇぇぇ!」


本日、土曜日。

時刻、2時半。

天気、快晴。

場所、陸宮家のリビング。

僕らは今大人気の格闘ゲームをしていた。

その名も、ストリームファイアー。

略してストファー。

多種多様なキャラクター。

格闘ゲームなのに、知れば知るほど深い世界観。

対戦を盛り上げるBGM。

そして何と言っても、カッコいい技!

僕らはこのゲームをかれこれ5年以上プレイし続けている。

僕らといっても、僕と海斗の2人だけなんだけど。

じゃあ2人で対戦しているのか、というとそれも違う。

僕は一人っ子なので残念ながらTVゲームのコントローラーは1つしかない。

そんなワケで2人で交代しながらアーケードモードをしている。

さっきは僕の番だったんだけど、敵が強くて負けてしまった。

やはりまだまだ詰めが甘いな。


「負けたのはオマエがプリン技にこだわっているからだ」

「それは違う」

「まぁ俺に貸してみろ。全員倒してやるから」

「ハイハイ………………海斗の冗談に付き合うのも疲れちゃったよ」

「黙って見てろよ」

「無理無理僕が負けたのに海斗が勝てるワケ………………」


『CLEAR!!!』


「速すぎるでしょ!」

「敵は全然強くねぇからな」

「そういう問題なの……?」

「〈神童〉は不可能を可能にしてみせる」

「クソっ………………カッコいいこと言っちゃって……僕にもやらせて!」

「ほらよ……次は勝てよ」

「任せてよ!鮮やかに勝ってみせるさ!」

「期待しないで見とくわ」

「うおおおおおおおおおお!今だ!“プリンクラッ………………」


『K.O!』


「ええええええぇ!」

「負けてんじゃねーか!」

「違う違う!今のはコントローラーの接触不良によるコマンドミスだよ!」

「ワイヤレスに接触不良もクソもあるか!」

「海斗の期待によるプレッシャーだよ!」

「期待しないで見てるっつったろ!」

「ひどいや海斗!期待してくれてなかったんだね!」

「うっぜぇぇぇぇ!」


海斗が大声を上げる。

コラコラ、いくら親が出掛けてるからって人の家で叫ぶのは良くないよ?

そんな感じに海斗を宥める。

すると海斗は僕に指を突き付けて来る。


「オマエ“プリンクラッシュ”封印しろ」

「ええええええ!」

「今からその技無しで闘え。そうすればオマエは強いハズだ」

「そんな………………僕からプリンをとったら何が残るんだい……」

「いいからさっさとしろ」

「気が乗らないなぁ…」


『CLEAR!!!』


「ええええぇ!!」

「ほらな」


何で!?

プリン技を使わなくなった途端、急に強くなったよ!?

どういう仕組みなの!?


「そもそも“プリンクラッシュ”はコマンドは長いし、動作は遅い、あまり使い勝手が良くないんだよ」

「えっ?そうなの?」

「そう思えるのはオマエがコマンドミスを1回も経験してないだけだ」

「僕って凄いじゃん」

「発動しか出来てねーんだよ。技を当てる前にやられちゃ意味がない」

「つまり、やられる前にやれと」

「そうだ。だから“プリンクラッシュ”を封印した」

「プリン技が僕を今まで苦しめていたというのか…!」

「ああ、だからオマエはプリン技は封印しろ」

「分かった!使わない状態でもう1回やらせて」

「今度は俺も期待しておこう」

「よぉし!やるぞぉ!」


なんだ。

こんな簡単な事で強くなれたんだ。

ならこのまま“プリンクラッシュ”を封印して………………

………………………………………………………………

出来ない!

そんなこと僕には出来ない!

僕は慣れ親しんだコマンドを入力する。

↑↓←タメ→○○○△□!!!


「いっけぇぇぇぇ!」

「大地オマッ!そのキャラの動きは………!」


黒色と黄色に呑み込まれろッ!


『プリンクラッシュ!』

『触らないで下さい』

『ぐはぁぁぁぁぁ!』

『K.O!』


「………………………………」

「………………………………」

「………………海斗」

「………どうした」

「僕が間違ってた」

「分かれば良い」


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