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オマエやキミとアナタで僕達  作者: 生月 太郎
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第13話 KING PURIN前編

僕の高校の購買に1ヶ月に一度、特別なプリンが販売される。

その名も「KING PURIN」━━━━

人々はそのプリンを得るが為に争いを起こすのだ………………


♦♦♦


「それで?」

「へっ!?今の説明で伝わらなかった!?」


天音はハァーとため息を漏らす。

駄目だなぁ。

ため息すると幸せが逃げちゃうよ?


「アンタの暑苦しいくらいのプリン愛は伝わったわよ………………」

「クソっ……全体の1割すら伝わっていなかった………………」

「アレ以上、プリンの話をされたらおかしくなるわよ!」

「プリンプリンプリンプリンプリンプリンプリンプリン」

「洗脳を始めるなァァァァ!」

「要するに今日は僕と一緒にプリンを買いに行こうってことだよ!」


降り注ぐ天音の拳をよけながら用件を伝える。

するとピタッと天音が動きを止めた。


「一緒に?」

「うん、一緒に」

「海斗も来るの?」

「いや、海斗は呼ばない」

「2人で?」

「そう、2人で」


天音が僕と天音自身を交互に指差す。

だから僕も自分と天音を交互に指差す。

そしたら天音は動かなくなってしまった。

魂が口から抜けるみたいに、ホワワワワと音が出ている。

どうしたんだろう………………


「あの……天音?嫌だったら別に断ってくれてもいいんだよ?」

「行く!絶対行くわ!」


天音が前のめりになってくる。

おぉう、凄い乗り気だね。

けど前のめりすぎて天音と僕との顔の距離がとても近くになっている。

そのことに気がついた天音が慌てて顔を離す。

そっぽ向いた天音の頬は薄い朱に染まっていた。

確かに僕も恥ずかしかった。

けれど、これで天音がついてきてくれる。

時間も時間なので僕は立ち上がった。


「さあ天音。行こうか……」

「そっそうね。行きましょうか」


そして僕と天音は購買部へと向かった。

そこが戦場ということは天音に伝えずに。


♦♦♦


ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ


「何よコレ……購買ってこんなに賑わってたの?」


天音は初めて見る光景に驚きを隠せないようだ。

無理もない。

いつもなら4、5人くらいしか居ない購買が、今日は30人を超える生徒達が集まっている。

何故こんなに集まっているのかと言えば理由は1つ。

今日がXデーならぬ、Pデーだからだ。

KING PURINが発売されるのは月に1回。

この機会を逃してしまえば、来月までKING PURINはお預けだ。


「たかがプリン1つにそこまでするの……?」

「たかがじゃないよ!KING PURINはそこらのプリンとは違うんだ!」

「何がアンタをそう暑くさせるのか全く分かんないんだけど」

「いいかい、KING PURINってのはね値段が通常プリンの3倍なんだ」

「結構な値段になるわよソレ」

「その代わり質量が5倍になる」

「プリンでお腹いっぱいにするつもりなの?」

「糖度も5倍なんだ」

「糖尿病確定じゃない」

「だから月1販売なんだよ」

「前例があるってことね」

「それでも僕はKING PURINが食べたい」

「一時的な幸せより、今後の体を優先しなさい」

「もう僕は誰にも止められないよ!行ってきます」

「ちょっと待ってよ!私は何すれば………………」

「そこで応援してて!僕の勝利を君に捧ぐぅ!」


そして僕は群衆へと突っ込んだ。


♦♦♦


「おい…今日のメンツはヤバイ奴等が集まってるぞ………………」

「ああ……流石Pデー………………激しい闘いになりそうだ………………」

「アレを見ろ!ゼリーの使者、ゼリー佐藤だ!」

「あそこにはアイス山田が………………」

「チョッキン桜もいやがる!」

「ってことはアイツも…」

「アイツ?」

「狙った獲物(プリン)は逃さない、全戦全勝の購買の主とも云われるアイツが………………」

「まさかッ!アイツか!」



「奴が来たぞぉぉぉぉ!」



「来やがった……」

「最悪だ………………」

「いや、アイツがPデーに来ないことの方がおかしい」

「………………そうだな……こうなったら腹を括るか」


「KING PURINは僕のもんだァァァァ!」

「「覚悟しろ〈皇帝〉ィィィィ!!」」


闘いの火蓋は切って落とされた。

To be continued………………

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