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オマエやキミとアナタで僕達  作者: 生月 太郎
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第11話 罪と罰

「この世は理不尽だ」

「急にどうした」

「海斗……現状を見てご覧よ。僕が今持っているのは?」

「雑巾」

「キミが今持っているのは?」

「箒」

「只今の時刻は?」

「午後5時。放課後だな」

「僕達が今からやらされるのは?」

「掃除」

「理不尽だ」


すると海斗はやれやれといったふうに首を振る。

海斗の表情を見る限り、アイツは納得しているらしい。

だけど僕は納得いかない。

高校生の貴重な放課後を使用してまで掃除する理由が知りたいよ!

こんなことになったのは今日の美術の時間まで遡る━━━━




「おい、大地。回想行くふりしてサボるな」

「そんなことしないよ!ちゃんと回想するから」

「サボりはするのかよ」


♦♦♦


僕等の学校では美術、音楽などは選択科目となっている。

そのため、他のクラスの人と一緒に授業できる数少ない時間だ。

ちなみに選択科目は全部で5つあり、そのうち2科目を必ず選択しなければならない。

僕が選択しているのは音楽と美術。

理由はあみだくじで決まったからだ。

そしてたまたま海斗も美術を選択していた。

理由は頑として教えてくれない。

大体想像はできるけれど。

まぁ選択した理由は横に置いておこう。

ここからが本題なのだ。

先週の金曜日、美術の授業で課題が出されていた。

資料集に載っている作品の中から1つ選び、感想を書いて来い、という課題が。

金曜日の家に帰るまではしっかりと頭の中にあったんだ!

でもいつの間にかすっぽり抜けていた。

何でかなー?

土日に映画観たからかな?

でも課題くらい忘れても良いや、謝ればOKOK。

素直さが大切だよね!

………………軽いノリで考えていたのが駄目だった。

課題を提出しなかった際の罰掃除についても忘れていた。

今朝、天音から言われて初めて気がついた。

うわぁぁぁって感じで焦った。

さてここで問題。

焦った僕がとった行動とは?

正解は課題をやり忘れた人を探した、でした。

今思えば、学校についてから資料集を見て書いておけば間に合ったのかもしれない。

でも僕はしなかった。

なぜか?

海斗も同じく忘れていたからだ。

忘れた人を見つけ安心した僕等は堂々と授業に参加し、先生からのお叱りを受けた。

罰として掃除をしろ!って言われて、今に至る。


♦♦♦


「おかえり、回想長かったな」

「うん海斗。そんなことは言わなくていいんだよ」


海斗の腹にチョップ。

ボヨン。

ん?

何だこの感触。

海斗だったらもう少し、いやかなりしまっているハズなのに。

何だこの中年特有のたるんだ腹は?

僕が悩んでいると、後ろから肩を叩かれる。

振り向いた先にいたのは、海斗。

あれ?

何でここに海斗が?

じゃあ僕がさっきチョップしたのは…………………

首がギギギ…という音をあげる。

僕が回想に入る前に海斗がいた場所には、美術の担当教師である、美崎先生がいらっしゃった。

可愛らしい名前とは裏腹に顔はいかつく、サングラスでもかけさせれば完璧なヤ○ザへと早変わりだ。

美崎先生は僕の手首をガシッと掴む。

それを自分の顔近くまで持ってくると、ニコォ………………と笑った。


「先生にチョップする度胸は褒めてやるよ………………」

「ガタガタガタガタガタ………………」


ついに言葉すら出なくなった。

そして美崎先生は僕に宣告する。


「オメェは1週間掃除してろぉ!」

「理不尽だァァァァァ!」

「それがオマエの罪だろ」


海斗がケラケラと笑っていた。

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