表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

突拍子もない話についていく自信はあるか?

俺には最近抱えている悩みがある。

それは、ついこの前まで中学生だった俺が志望校に合格して、春から始まる新しい学校生活に心踊らせながら、受験勉強の疲れを癒していた三月下旬のことだった。

何かの事情で俺の家の近所に親戚が引っ越してきた。

引っ越してきたのは別にいいのだけど、その子が俺の悩みの原因である。

女の子の名前は妹尾夢乃せのおゆめの。身長120センチ程度で細身の整った顔をしたショートカットの可愛らしい女の子。

ちなみに俺の名前は陸川隼くがわはやぶさ。身長も体重も平均くらいの普通の高校生になる予定の男の子。

そんな俺の悩みは、夢乃ちゃんがまとわりついてくること。

朝から晩まで外出時はもちろん、親戚ということで家にいる時まで俺にまとわりついてくることが最近の悩み。

そりゃ俺だって最初から嫌だって嫌だったという訳ではない。初めの頃は、懐いてくれることが嬉しかったし、楽しく相手をしていた。だが、それが一週間、二週間と続いたらどうだ?嫌になってくるだろ?第一、同世代の女子に好かれるならともかく、小学生に懐かれても全然嬉しくない。

俺はロリコンじゃねぇ。

それに夢乃ちゃんと遊んでいると絶対に聞いてくることがある。それは、



「お兄ちゃんが主様?」



である。

主?何のことだ?

ままごとか何かのつもりだと思っていた俺は、いつも適当に受け流していた。

しかし月日は流れ、四月に入った今日、誤魔化すのも面倒になった俺は、聞いてみることにした。

今日も夢乃ちゃんは朝から俺の家に来て、今は朝食を食べている。どうせ食べ終われば、俺のところへ寄ってくると思うので、自分の部屋で夢乃ちゃんがやって来るのを待つことにする。

しばらく待っていたら、俺の部屋の扉が開く。夢乃ちゃんだった。

そして、俺の近くまで来て一言。



「お兄ちゃんが主様なの?」



いきなりだった。

突然すぎる質問に、若干怯んだが、こちらも聞き返す。



「なぁ夢乃ちゃん。前から気になってたんだけど、その主って一体何のことなの?」



俺の発言に対して、困った感じの夢乃ちゃんだったが、少し間を開けてから口を開いた。



「お兄ちゃんは主様じゃないの?」



不安そうに上目遣いで聞いてくる夢乃ちゃんの顔は可愛かったけど、そんなことより何のことかはっきりさせたかった俺はもう一度聞き返す。



「だから、その主ってのは何なんだ?」



……しまった。

早く聞きたかったのと、何度も同じことを聞かれていたイライラの影響で、ちょっと声が大きくなってしまった。

夢乃ちゃんは、案の定びっくりしたのか、小さくなってぷるぷると震えている。

こんな小さな女の子にムキになってしまった自分を大人気なく感じて、声を掛ける。



「ごめん夢乃ちゃん、ちょっと強く言い過ぎた。大丈夫?」



謝罪の念を込めて話し掛けると、夢乃ちゃんはガバッと立ち上がった、



「とぼけてんじゃねぇぞコラァ!」



えっ⁉︎

何事?誰だこの怒り狂っている幼女は?

とりあえず怒っている相手には謝ろう。そうしておけばみんな幸せになれる。



「ごめんなさい」

「ごめんじゃねぇだろ!謝って済んだら戦争は怒らねぇんだよ!」



ごもっとも。



「大体てめぇはいつまで誤魔化すつもりなんだ?こっちはもう全部わかってんのに、優しくしてりゃあいい気になりやがって」



何の話をしているんだこの子は。



「そんなに私と遊べて楽しかったか?事あるごとに私の体をベタベタ触りやがって、この変態ロリコン男!」

「申し訳ございません」



俺はロリコンじゃねぇ。

とはいえ、今はひたすら謝るしかない。ここでこっちまで怒っては平和は保たれない。



「だから、謝る以外にてめぇにはいうことが……」



ピコンピコンピコン。

怒り狂った幼女のスカートのポケットから、奇妙な音が鳴り響く。


その音に気付いた幼女は取り出した端末の画面を確認した後、俺に対して怒鳴るのをやめて、部屋の隅へ行き、端末を耳にあてて何かブツブツ話している。



(あれは携帯電話か?)



それから二、三分話した後、端末をポケットへしまった幼女が俺の前に戻ってきた。



「お兄ちゃんが主様?」



なんだ夢乃ちゃんか。



「ってなるか!そんな汗だくの作り笑いで誤魔化されんわ!」



全くさっきの電話らしき物での会話で何を聞いたんだ。



「やはり神様の言う通り、何も知らないのか」

「は?神様?」



思わず聞き返してしまった。



「そうだ。私は神様の使いとして、この世界に生じている異変を探し出し、解決するためにここへ来た」



俺は今、すごくぽかんとした顔をしている。多分今までの人生の中で、最もぽかんとしている。



「何をぽかんとしている。まぁ無理もないか、先ほど神様から聞いたのだが、お前は何も知らんらしいし……」



お前って……怒ってた時もそうだが、俺って年齢的に目上の人間だよな?神の使いか何か知らんが礼儀を知らん子供だな。



「おいおい、話の内容は全く分からんが、年上をお前とかって呼ぶもんじゃないぞ」



年上として年下の間違った言動を正さないとな。



「あぁ?何を言ってんだ?私はなぁ、この世界の奴らに合わせるためにこの姿でいるだけであって、実年齢はお前なんかより全然高いぞ。お前こそ、夢乃ちゃん夢乃ちゃんって馴れ馴れしいわ」

「すみません」



そういうことは先に言ってくれよ。



「まぁいい、それより今お前の身の回りに、というかこれから起こるであろうことをなるべく簡潔に教える。一度しか言わないから、しっかり聞けよ」

「はい」



何の話か分からないけど、夢乃さんが怖いのでとりあえず頷く。



「まず、この世界に起きようとしている異変についてだ。この異変はあるものが生じることによって起きるもので、もし起きれば世界が滅亡する。」



……。



「そしてそのあるものというのが『世界の障害』だ。まぁこれについては正式に名前はなくてな、神様や私がそう呼んでいるだけだ」



…………。



「次にこれを阻止する方法だ。世界を滅亡させるほどの異変も事前に対処すれば防ぐことはできる」



………………。



「だがその前に、『世界の障害』について話しておく必要があるだろう。『世界の障害』とは、滅ぼす世界の主である者の近くで、一際大きな悩みを抱えていたり、心が病んでいる人間の心の隙間に宿る、言わば寄生虫のようなものだ」



……………………。



「なぜ弱っている人間を狙うのかは分からないが、恐らくいくら将来的に世界を滅亡させるほどの異変を起こせると言っても、力を蓄える前の状態では健全な人間の体に入るのも困難なのではないかと考えている。

まぁ詳しい話はこれから話すとして、私がお前の前に現れた理由は理解してもらえたかな?」



…………………………え?



「変態ロリコンで頼りなさそうだが、世界を滅亡から救うためにこれからよろしく頼むぞ、主様!」



話をまとめよう。

今この世界は滅亡の危機に瀕している。

原因は『世界の障害』とやらが生じたから。

しかし正しく対処すれば問題ないらしい。

そしてそいつは世界の主付近で発生する。

主は俺で、目の前のロリ娘と『世界の障害』が力を蓄える前になんとかする。



……ナニコレ?

どんなことでもアドバイスお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ