プロローグ
話の舞台は一時、オキャーマ北部へと移る。
これはオキャーマ南部でミキが$-Duty隊のメンツを集めるために東奔西走していた頃の出来事である。
オキャーマ北部は、商業が栄えた南部に比べて昔から農業以外にさしたる産業は無く、唯一の目玉はニンギョー峠にある核開発施設のみであった。
しかしオキャーマ北部は、トトーリ、ピロシマ、ヒョーゴといった隣の都市国家と国境を接しており、くだんの核施設の警備も合わせて、オキャーマ軍でもかなりの兵力を割かなければならなかった。
当然、オキャーマ北部の警備には、軍隊以外に仕事の無い貧しい北部の若者が根こそぎ駆り出されることになる。大勢の貧しい若者の手に武器が渡る訳だから、オキャーマ北部で政治的動乱が起こるのは必然であった。
オキャーマ北部方面司令官であったコージー・イナバ大将はヅヤマ州で部下と蜂起してオキャーマ中央政府の息のかかった指導者を放逐する。これに呼応してマニワ、ニーミ、ミマサカ州などでも軍による反中央政府運動が強まり北部連合政府が立ち上げられ、オキャーマ中央政府に独立戦争を仕掛けるに及んだ。
戦争は十数年の長きに及んで、戦況は一進一退の攻防を見せていた。
このお話は、オキャーマ南北戦争に運命を翻弄された一人の少女の物語である。