表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

無事買い物を終えた俺たちは帰路へ着いていた。

今度は離れ離れにならないように手を繋ぎながら。

あ、勿論荷物係は俺ですはい。

流石に幼女に荷物持たせるのは人間としてどうかと思うんで。

もともとなんだけど、俺の王子らしさってやつがなくなってく気がする。

別に文句は言わないけどさ。

…でも一つ気になるのは…。


「オリビアは本当にこんな服で良かったのか?」


俺が少し目を離した隙に、購入されていたオリビアの服。

それは男子用のもので、しかも半額。

そしてさらにダサ…くはないんだけど…古くさい?

水兵みたいな、なんか、ネクタイとか半ズボンとか、女の子が着るにはちょっと可愛げないというか…。


「いいんです〜。それにルイスさんがえらんでくれたワンピースもあるじゃないですか」


そうだ。

オリビアが本当にそれだけしか買うそぶりを見せなかったから、これはいけないと、慌てて購入したのだ。

しかし、お店が古着屋だったので、種類は限られてる。

一番綺麗に見えたワンピースも、何も飾りっ気のないただ真っ白なものだった。


「でも、あれ本当にシンプルだし…。女の子としては、物足りないんじゃないのか?」


「そんなことないですよ。あ、ここ、ちょっとあぶないですよ」


「はーい」


俺がこんなんだから、オリビアは遠慮しているのだろうか。

…頑張ろう。俺。

まずは働くところを探さなくては。

…ニートか。俺。

目指せ!脱ニート!!

考えろ!脱ニート計画!!



・⚪︎●○●○●○●⚪︎・



「ルイスさん、おもたくないですか?きゅうけいをはさみますか?」


オリビアが俺を気遣うように顔をあげた。

そんなオリビアに見せつけるように荷物を持ち上げる。


「いや、大丈夫。俺体力だけはあるんだ」


俺がそう言うと、オリビアは少し安心したように表情を崩した。


「そうですか。おうちまであとすこしですよ。がんばってください」


俺と繋いでない方の手をギュッと握り、ガッツポーズをしたオリビア。

オリビア超可愛い。


「ありがとう。頑張ります」


「あ、そこもあぶないですよ!」


「はーい」



・⚪︎●○●○●○●⚪︎・



「ただいまー」


「ただいまかえりましたー」


家に着いた俺らは、そう言いながらずんずんと進んで行き、とりあえず俺はリビングに荷物を置いた。

オリビアは師匠を探しに行ってるようだ。

早速今日買ったコップを取り出し、軽く水洗いしてから手を洗って、うがいをする。

ぺっと水を吐き出すと、リビングの扉が開かれた。


「あ、師匠」


そこにいたのは師匠。

その後ろにオリビアもいた。


「あぁ、おかえり。お疲れだったな」


「いえ、楽しかったですよ。な?オリビア」


「はい。ルイスさんがまいごにならなければ、もっとよかったですけど」


オリビアの言葉に師匠は笑った。


「なんだお前、迷子になったのか。オリビアじゃなくてお前が」


「…恥ずかしながら、その通りです」


うぅ。

俺の顔、今きっと赤いぜ。


「すこしめをはなしたすきに、あしをすべらせていました」


「そうかそうか。災難だったなルイス」


「師匠〜、笑わないでくださいよ〜。この辺足場が悪いんです」


「それでもオリビアは大丈夫だったんだろ?お前はもっと鍛えろ」


「うっ、それを言われると反論できない…。これでもそれなりに剣術なんかはやってたんですけど…」


毎日訓練しては城を抜け出して、エイデンに見せてたんだけどなぁ。

でも確かに、体を鍛えてたかどうか聞かれると答えづらい。

何故ならオーウェンはそんなこと一度も言わなかったから。

俺も、技術を学ぶ方が断然面白かったし。


でもそれってやっぱ、きちんとやってることにはならないよなぁ。

それなり…かぁ。

俺って本当に中途半端な奴。

そんな自己嫌悪に陥った俺に、師匠は言った。


「なんか色々溜まってるみてぇだな。明日、俺と手合わせしてみるか?」


「え?マジですか?師匠、剣も使えたんですね!ぜひ、お願いします!」


突然の師匠のお誘いに驚いたが、すぐに師匠の近くまで移動し手を取りぶんぶん振り回した。

師匠は迷惑そうに手を払う。

師匠…!!


「じゃ、じゃあ、わたしはおべんとうつくりますね!」


男二人で盛り上がっているのに疎外感を感じたのか、オリビアが背伸びしながら大きな声で叫んだ。

そんなオリビアを優しく師匠は見つめた。


「あぁ、頼むぜ」


「楽しみにしてるな!」


俺もしゃがみ、オリビアの頭をわしゃわしゃと撫でた。

オリビアは照れ笑いしながら、まかせてくださいと言った。


…あ、脱ニート計画忘れてた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ