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「あぁ、美味かった」


「そうですね。さぁルイスさん、おかいものですよ。そんなところでだらけていないで、いきましょう」


オリビアが俺の手を引っ張って立たせようとする。


「はーい」


しかし、こんな小さな子にそんな力があるわけもなく、俺は自らベンチを発った。


「まずは何を買うんだ?」


「まずはここからいちばんちかいざっかやさんにいきましょう。そこでしょっきをかうのです」


「りょーかい。雑貨屋の場所知ってるの?」


「おにいさんからかんたんなちずをかいたかみをあずかっています」


「…しっかりしてるね」


「ルイスさんはもっとしっかりしてください」


…すみません。



・⚪︎●○●○●○●⚪︎・



「いらっしゃいませ」


オリビアに案内された雑貨屋さんは、彼方此方に色々なものが置いてあり、ごちゃごちゃしているように見えて実は規則正しく並べてある…ような…。

店番の女の子が奥ではたきを使って商品の埃をはらっていた。

その中でも食器はすぐ近くにあった。

種類別に並べられた食器を順に眺めてく。


「ルイスさん、このおさらはじょうぶそうですよ。これにしませんか?」


「えっでも、それ…」


オリビアが指差した先のお皿は確かに分厚く、頑丈そうではあるけれど…。


「柄が…」


真っ白な皿かと思えば、その中央にはカエルのキャラクターが"Let's eat!"の文字とともに描かれていた。

はっきり言って…ダサい。


「かわいく…ないですか?」


「えっ、いや、そんなわけじゃないんだけど…」


よく見ると可愛いかもしれないけど…チラリと皿の値段を見る。

周りの食器に比べ、ずいぶんとお安いようだ。

へぇ、ほう。


「オリビア…もしかして遠慮してる?」


俺がそう言うと、オリビアはわかりやすく動揺した。


「ふぇ!?そ、そんなわけないじゃないですよ!」


「…本当か?」


「ほ、ほんとです!わたしはこれがかわいいとおもいました!」


「そっか。じゃあ、俺はこっちの方が好きだから、こっちにするわ。いいよね?」


と、他のよりも少しだけお値段高めのお皿を手に取る。

以下にもファンシーな柄で、お花が散りばめられている。

女の子がとても好きそうな柄だ。

店番の女の子の視線が気になるが、俺はそんなものには屈しないぞ…!

オリビアはその皿を羨ましそうに眺めたが、一度言ってしまったことを訂正するのは嫌らしい。

ぷいっと顔を背けた。


「…どうぞ!ごじゆうにしてください!わたしはこれにします!」


「…はいはい」


やっぱり子供だなぁ…。

そんな俺の心を読み取ったかのようにオリビアが睨みつけてきた。


「…なんですか。そのたいどは。つぎはカップやフォーク、スプーン、あとおおざらなどもほしいです。ほかにもふくなんかもひつようなのです。のんびりしてるひまはありませんよ!」


「…はい」


…なんだろう。

この立場の逆転は。


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