表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
廃人の果て  作者:
仲間
4/5

4


メリーの酒場はアクアランドという都市にある。

酒場とは、アイルにある主要都市には必ずひとつはあり、以前はプレイヤーの集合場所として使われていた場所である。

今では、プレイヤー以外にも一般人(プレイヤーではなくゲーム内で生まれ育ってきた人たち)が昼間からお酒をのんだり、談笑したりしている街の憩いの場になっているようだ。


アクアランドにも、酒場同様、プレイヤー以外の人が多く見られ、今までのゲームでは依頼人という形でしか、表現されていなかったのだが、都市というだけあって、人でひしめきあっている。

買い物をする人、手をつないで歩く男女、声を張り上げて店を切り盛りする人など、現代と変わらぬ人々にマヤは口をあけてアイルという世界に混乱していた。



酒場に入ると、マヤは周りを見渡した。

こちらもゲームとは違い、以前は画面ひとつで酒場の様子が確認できる程度の大きさだったのが一変。とても大きく、たくさんの人で溢れ帰り、ゲーム内では登場すらしなかったウエイトレスらしき人がせわしなく料理を運んでいる様子が見られる。


マヤは入り口の前で呆けていたが、ここでは邪魔になる、と少し避けてから、店内を見回した。


店内の最奥、カウンターの一番淵に白をベースに金の細かな装飾、“いかにも”な装備の男が大量の料理を食べ続けていた。


マヤは男に近づくと、改めて料理の多さに少しの胸焼けを感じつつ、声をかける


「…遅かった?」


男はマヤの声に顔を上げると、口元についている食べかすやらなんやらをそのままに「会いたかったぜー」とニカリと笑った。



男の名前はまもる名前の通り、持ち前の体力と防御力でパーティの壁を勤めるパラディンだ。

マヤと同じく4公の一人で、そのフレンドリーもあいまって、誰にでも人気のあるプレイヤーだ。

4公とは実力やレベルなど、他のプレイヤーよりも群を抜いて強いプレイヤーの事を指し、非公式から始まったこの名称も気がつけば公式のものとなり、運営が把握しきれないプレイヤー同士のいざこざなどの仲介に入ることがあったりと、他にもたくさんの権限が運営側から与えられている。

プレイヤーが尊敬する一方、下手をすれば、即罰せられることもあるので、ある意味では恐怖の対象になっているのだ。


「チャラついてるのは、変わらないんだ」


マヤが溜息交じりにそういえば、衛はこれが俺のスタンスだから、とケラケラと笑う。


「で、探検って、どこにいくつもりなの?」

「そうだなー、とりあえず神に挑んでみるっていうのはどうだ?」

「あー、なるほど。会話ができるなら、それもいいかもしれないし。

そうと決まれば、さっさと行ってしまおう。」


行き先が決まった時点で、マヤがちらりとカウンターを見れば、あれだけ大量に置いてあった料理はすでになくなっており、横ではすでに屈伸をしている衛の姿があったのであった。





さっそく4公の一人が出てきました。

次回は戦闘です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ