↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/100

第17話「次の扉」

第17話です。


ライブを終えた後の時間。

その余韻の中で、新たな動きが生まれていきます。


ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

ライブが終わったあと。


⸻


 楽屋には、まだ少しだけ余韻が残っていた。


⸻


「いやー、よかったな!」


 はじめが大きく伸びをする。


⸻


「めっちゃ反応よかったじゃん!」


⸻


「……はい」


⸻


 ふたばはまだ、少し現実感がなかった。


⸻


 さっきまでのステージ。


⸻


 あの空気。


⸻


 あの拍手。


⸻


 全部が、まだ体の中に残っている。


⸻


⸻


「……よかったよ」


⸻


 美月がぽつりと言う。


⸻


⸻


「え……?」


⸻


⸻


「ちゃんと届いてた」


⸻


⸻


 短い言葉。


⸻


 でも。


⸻


⸻


 それが、何より嬉しかった。


⸻


⸻


「……ありがとうございます」


⸻


⸻


 ふたばは、小さく頭を下げる。


⸻


⸻


「失礼します」


⸻


⸻


 そのとき。


⸻


 楽屋の扉がノックされる。


⸻


⸻


「はい?」


⸻


⸻


 店長が顔を出す。


⸻


⸻


「ちょっといいか」


⸻


⸻


「どうしたんですか?」


⸻


⸻


「……話、来てるぞ」


⸻


⸻


「え?」


⸻


⸻


 空気が変わる。


⸻


⸻


「さっきのライブ見てた人がな」


⸻


⸻


「名刺置いてった」


⸻


⸻


 テーブルに、一枚の名刺が置かれる。


⸻


⸻


 そこには。


⸻


⸻


 見覚えのあるロゴ。


⸻


⸻


「……AIDAレコード?」


⸻


⸻


 はじめが声を上げる。


⸻


⸻


「これ、結構デカいとこじゃん」


⸻


⸻


 ふたばは、その名前に聞き覚えがあった。


⸻


 でも。


⸻


⸻


 それ以上に。


⸻


⸻


 隣にいるれいじの方が、気になった。


⸻


⸻


「……」


⸻


⸻


 れいじは、無言でその名刺を見ている。


⸻


⸻


 表情は、変わらない。


⸻


⸻


 でも。


⸻


⸻


 どこか、空気が違った。


⸻


⸻


「……どうする?」


⸻


⸻


 店長が聞く。


⸻


⸻


「話、聞くだけでもいいと思うぞ」


⸻


⸻


 少しの沈黙。


⸻


⸻


「……いらない」


⸻


⸻


 れいじが、短く言った。


⸻


⸻


「え?」


⸻


⸻


「今はいい」


⸻


⸻


 それだけ。


⸻


⸻


 あっさりと。


⸻


⸻


「マジで?」


 はじめが驚く。


⸻


⸻


「チャンスじゃん」


⸻


⸻


「……そういうのじゃない」


⸻


⸻


 それ以上、何も言わない。


⸻


⸻


 ふたばは、その横顔を見る。


⸻


⸻


 少しだけ。


⸻


⸻


 遠く感じた。


⸻


⸻


(……なんで)


⸻


⸻


 さっきまで。


⸻


 あんなに近くにいたのに。


⸻


⸻


 急に。


⸻


⸻


 知らない一面を見た気がした。


⸻


⸻


「……すみません」


⸻


⸻


 ふたばは、小さく言う。


⸻


⸻


「私、ちょっと外行ってきます」


⸻


⸻


 その場を離れる。


⸻


⸻


 廊下は静かだった。


⸻


⸻


 さっきまでの熱が、嘘みたいに。


⸻


⸻


「……AIDAレコード」


⸻


⸻


 さっきの名刺の名前を、口にする。


⸻


⸻


 どこか引っかかる。


⸻


⸻


 でも。


⸻


⸻


 答えは、まだわからない。


⸻


⸻


 ただ一つ。


⸻


⸻


 確かなことがあった。


⸻


⸻


 自分たちは、今。


⸻


⸻


 何かの入口に立っている。


⸻


⸻


 小さなライブハウスのステージから。


⸻


⸻


 もっと、大きな世界へ。


⸻


⸻


 でも。


⸻


⸻


 そこに進むのかどうか。


⸻


⸻


 まだ、わからない。


⸻


⸻


 音楽も。


⸻


 関係も。


⸻


⸻


 すべてが。


⸻


⸻


 少しずつ、変わろうとしていた。


⸻


⸻


 新しい扉は、もう目の前にあった。


第17話を読んでいただき、ありがとうございます。


ライブの手応えとともに、新しい扉が少しずつ見え始めました。

これまでとは違う世界の気配が、物語に入り込んできています。


そして、れいじの反応にも少し違和感が残る回だったと思います。

その理由や過去が、これから少しずつ明らかになっていきます。


よろしければ、感想や評価もいただけると励みになります。

引き続きよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。