プロローグ 処刑!?からの逆戻り
「これにより、リリア・ラピスラズリの処刑を始める!」
大衆の声が響く。
「王はお前のせいでお怪我をなさったんだ!」
「どうするつもりだ!早く死んでしまえ!」
ああ、私はなんてことを……ってなるか!私は何もしていない。これは本当だ。なのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう。私はリリア・ラピスラズリ。王城でメイドをちょうど二週間前に始めたのだが、昨日王様に事件が起こったらしい。とにかく、私は犯人ではないけれど王様の事件も知らされないまま処刑されてしまうのだ。スッと上の刃が落ちてくる。ここで終わりか____
……走馬灯だろうか。この香水と古びた木の匂いは嫌になる程に覚えがある。まだ初出勤の頃に戻ったようだ。初級メイドの寮の中、支度を……あれ、進まない?それに、体が動く?そうだ、カレンダー!今日の日付は…12日。私が、初めてここに来た日。つまり状況を整理すると…二週間前に戻った?
「ラピスラズリさん、もう支度は済んだ?できたら教えてね。研修があるから」
ドア越しの声は、メイド長のホワイトさんだ。
「はーい」
早くしなくちゃ。ホワイトさんは起こると怖いことを最初の私は知らなかったっけ。えーと、確かメイドの準備は着替えと部屋の片付けと…なんだっけ?……いいや!
「準備できました!」
「あら、早いわね。普通は30分ぐらいかかるのに」
そうだ、自分は新米。一回もやることを確認しないで準備を終わらせるなんて。...優秀すぎる!
「えへへ、昔から家事は得意で…」
って、完全スルーされた!でもしょうがないかー、私声小さいし
「じゃあ、研修を始めるわよ。まず、___、___、__。」
そうそう、この感じ!学校でいう自己紹介みたいな感じ、程よい緊張感と自己紹介の後の爽快感!大好きなんだよね。
「___?___ア?リリア?聞いているの?」
「え?あっはい!」
「自己紹介よ、自己紹介」
「すみません……リリア・ラピスラズリ。得意なことは家事で、趣味は手芸です!リリちゃんとかで呼んでくれたら嬉しいです!」
うまくいったかな?ゆっくり顔を上げる
「ここは学校じゃないのだけど。じゃ、リリちゃん。早速だけど、廊下の掃除お願いね。ルナちゃんは…料理を任せられる?見てるから。ラムちゃんは今から案内する接客室の掃除を。順番に見て回るから、分からないことがあったら聞いてね」
リリちゃんって呼んでくれた!けっこう嬉しい。あれ?私、どこやるんだっけ……
「ホワイトさん!私ってどこやればいいですか?」
「話聞いていた?廊下よ。あと、私のことはレファでいいわ」




